上尾市議会「予算特別委員会」の質疑

 3月議会の本会議で一般質問を行わないことを決めた上尾市議会。3月16日には、予算特別委員会が開催されましたが、市側の説明と、それに対する質疑応答は、「小中学校体育館エアコン設置」と「図書館運営事業」に関心があるブログ筆者には物足りないものでした。

記事No.67

■「重点事項」予算を説明しない教育総務課長
 すでに録画・配信されている3月16日の予算特別委員会では、次年度の予算説明と、関連質問がされました。その中で「教育費」として「小(中)学校体育館空調設備設置工事設計委託料」5,301万円が予算計上されています(一般会計予算はこちら。137-139頁参照)。
このことに関して、森泉教育総務課長は説明の際「小学校管理運営事業の委託料」と言っただけで、中身については全く触れませんでした
(森泉課長の説明は、前記録画 0:12:55~)。
 これは全くおかしな話です。なぜならば、財政課から示されている「令和2年度予算のポイント」の〈重点事項1-1〉として全小・中学校の体育館にエアコンを整備 5,301万円 とされているからです。普通に考えれば、市としてわざわざ「予算のポイント」を作成し、その中で〈重点事項〉としている施策について取り上げ、詳細な説明を加えるべきなのは当然です。
森泉課長が説明をしなかった理由としては、*そもそも「予算のポイント」に目を通していない=資質・能力の問題。*敢えて話題にせずに、質問が無ければそのままスルーする=すなわち意図的。などが考えられます。
ブログ筆者の経験では、情報公開請求の処分通知手交の際に、生涯学習課や行政経営課は課長が来て処分に関する説明をするのですが、教育総務課長は、こちらが要望しても、言わば「市民との同席を避けている」ように思えます。そのことから推測するに、説明しなかった理由は、おそらく、極めて意図的だと考えられます。

■エアコン設置についての質疑はわずか6分。
 森泉教育総務課長の説明に対して、質問したのは尾花議員。以下はそのやり取りの概要です。

Q .災害に備えてのエアコン設置だと思われるが、停電の際の電力供給は。
A .   危機管理防災担当と教育委員会との共同企画提案である。
停電時に備えての太陽光パネル設置は検討していない。
自家発電については、具体的には検討していない。他市の状況を見るなど
課題となっている。
Q .ランニングコストはどのくらいを想定しているのか。

A .   一日7時間使用・3か月で1校あたり40万円を想定している。

 結局、このやり取りに要した時間はわずか6分。他の委員(予算特別委員会は14人の委員で構成)からの関連質問は、この日はありませんでした。市の負担が3割で済むという「駆け込み」の施策であるという点、2020年度は「設計委託料」の予算であること(2021・2022年度に計14億の事業費)を加味しても、「予算のポイント」では災害発生時だけでなく、「教育環境の整備」や「学校開放による快適な市民活動」を挙げているのですから、設置による利点が強調できるのであれば、教育総務課としてきっちりと説明すべきだと思います。
小・中学校体育館へのエアコン設置については、市民のブログでも取り上げられています。引き続き注目していきたいと思います。

■図書館運営事業について
 ブログ筆者の関心事でもある図書館運営事業について、秋山議員から質問がされました(前記録画の2:39:20頃から約8分間)。

Q .カウンター業務で司書資格を持っている人数は。
A .   本館・分館・支所図書室合計で113名(延べ)のスタッフ中 32名である。
Q .図書館運営事業の「委託料」とは何か。
A .   主にカウンター業務の委託料である。
2020年度は上尾市都市開発からナカバヤシ(株)に変更する。
社員に相当する〈統括責任者〉を配置するので委託料が上がっている。

 秋山議員の質問が無ければ、図書館運営事業についての説明もなかったと思われますが、ブログ筆者が今まで指摘してきたように、上尾市には司書・司書補という職種の職員がいないという事実を踏まえたうえで、上尾市は、専門職員としての司書を採用すべきなのです。

 委託業者が現行の上尾市都市開発(株)から競争入札を経てナカバヤシ(株)に来年度から変更になるようですが、「図書館ジョブ」という図書館の求人サイトでは、ナカバヤシが川口新郷図書館のスタッフ募集で示している時給は930円となっています。
この時給は埼玉県の最低賃金である926円とほぼ変わらず、実際に働く方にとっては、低賃金で雇用されるのではないかとの懸念があります。また、司書の有資格者とそうでない方の時給も川口の例を見ると変わりがないようです。今後もこうしたことも含めての検証が必要ではないでしょうか。

 今記事で取り上げた予算特別委員会を始め、他の委員会も開催されていること、また、3/24には定例の教育委員会も市役所7階大会議室で開催予定であることなどを考え合わせると、本会議での一般質問中止が果たして適切だったのか、非常に疑問です。