<住民監査>教育長本人からは何も聞いていなかったことが明らかに。

 驚きました。記事No.92でお伝えした<住民監査請求>の監査の過程で、肝心な教育長に対して、監査委員の誰も、ひと言も本人に事情を聞いていなかったことが情報公開請求で明らかになりました。今記事では、このことについてお伝えします。

記事No.95

■これで「監査」と言えるのでしょうか?
 ブログ筆者は、住民監査請求の結果に疑問を持ち、以下の内容で情報公開請求をおこない、本日(7/10)その「処分」が監査委員事務局から通知されました。

情報公開請求内容
教育長に対して、誰が(すなわち、監査委員の誰が事情聴取したのか、それとも監査委員事務局が事情聴取したのか、また、監査委員が事情聴取した際に監査委員事務局が立ち会ったのか)、いつ(日付)、どのくらいの時間をかけて(所要時間)、どのような内容で監査をおこなったのか、上尾市教育委員の立ち合いはあったのか、市教委事務局職員他の立ち合いはあったのか、それは誰なのか、監査の経過で示された文書や資料は何なのかが判別できる文書・資料等。

この請求に対しての「処分」がこちら⇒ 行政文書非公開決定通知書

つまり、市民目線では考えられないことですが、<監査委員の誰も教育長本人に事情を聞かなかった>ということがバレてしまったということになります。

■多すぎる「知らされていない情報」
 一方、総務課と教育総務課への監査の様子について、情報公開請求で分かった事実があります。今回の住民監査請求のポイントになる〈事情聴取〉を見てみましょう。監査委員と職員とのやり取りに注目してください。

監査委員 連日松本まで日帰りで公用車を使用したことについて、どう考えるか。
総務部次長 住民監査請求があったことを重く受け止め、使用に際し疑念を持たれないようにしなければならない。
監査委員 本日聴取した内容を踏まえ、今後監査を進める。後日改めて追加調査をすることもあるので、協力をお願いする。
監査委員 今回の松本について公用車を使用する正当性があったのか。
前教育総務課長 教育長は3月から4月にかけて連日公務が続き、体調がすぐれないこともあり心配だったこと、電車の乗り換えによる体の負担を考慮したこと、公用車の中で書類に目を通したり、挨拶を考えたりすること。10日は教育長が戻り次第、打合せを数件予定していたこと、公用車の方が効率的で機動性、迅速性がある。そういうことも含めて公用車の使用を判断。運転手を通して車両を押さえてもらった。
監査委員 健康面の配慮ということだが、1か月先まで予測できたか。
前教育総務課長 先のことは予測できないが、教育長は連日公務が続き、体調がすぐれないこともあり心配だったので、健康面を考えて車両を押さえた

 ここまで読んで、前教育総務課長の発言に「はあ??」と思った方も多いと思います。「3月から4月にかけて連日公務が続き、体調がすぐれないこともあり心配だった」のであれば、松本なんか行かなければよかったのではないですか? もともと、関東都市教育長協議会総会なのですから、事業報告や計画、決算報告に予算など、お決まりの総会、夜は懇親会というパターン。記念講演は松本市長だったことを考えれば、「不要不急の出張」とも言えます。
電車の乗り換えによる体の負担を考慮したこと」は、教育長が都内某所から毎朝電車で通勤しているのを考えたら、全くナンセンスな言い訳でしかありません。
公用車の中で書類に目を通したり、挨拶を考えたりする」のは、公用車でなければできないことでしょうか? 教育長が公用車の中で挨拶の練習をしている図は、想像したくもありませんが。

 さらに、住民監査請求に至った市民には知らされていない情報の存在が明らかになりました。以下はそのやり取りです。

監査委員 請求人は公務にあたって効率的かつ安価を主張しているが。
教育総務課長 経費面では検討しなかった。ガソリン代高速料金等は総務部が負担するので、比較計算はしていない。
監査委員 運転手はなぜ日帰りだったのか。運転手が宿泊した場合に、どこの部署が負担するのか。
教育総務課長 電車から公用車で行くことに変更したため運転手の宿泊は予定していなかった。
監査委員 昨年9月の決算委員会で公用車の使用についての質問が議員からあったが。教育長が公用車を使用する何らかの基準はあるか。
前教育総務課長 具体的な基準はできていない。
監査委員 前回の住民監査請求を受けて、教育総務課の改善点は。
教育総務課長 年次休暇や振替などのシステム管理。復命書の作成及び情報提供、教育委員会への報告の徹底を図った。
監査委員 今回の住民監査請求を受けてどう考えるか。
前教育総務課長 出されたことを重く受け止めている。

 やり取りの中にある、「電車から公用車に変更された」ということは、ブログ筆者は全く知らされていませんでした。もし事前に知っていれば、監査請求の文面も大きく変わっていたと言えます。
また、このやり取りには「前教育総務課長」と「教育総務課長」が登場していますが、「前」課長が答えるべきところを、「現」課長が答えているのにも疑問符が付きます。

 事情聴取に答えている「前教育総務課長」とは、この中でも触れられていますが、昨年9月の決算特別委員会で議員から「教育長の公用車の使用について」の質問がされたにもかかわらず、そのことについて答弁しなかったM氏です。これらのやり取りは、2020.05.22の「第3回監査委員会議結果」にも示されています。

前回の監査結果を受けて改善された点もあったが、公用車使用に関しては改善していない。このことは市議会の決算特別委員会で質問があったが、対応を怠っていたため答弁をしていない

  実はこのことが今回の住民監査請求の肝心な点でもあったのですが、監査委員が「第4回監査委員会議結果」で、次のように判断しているのは、今回の問題の本質を逃したと言えます。

公用車の基準策定を行っているという陳述について。
住民監査請求は違法・不当な財務会計行為を対象。基準がないことについては対象外。

 2019年2月の住民監査請求の結果、「教育長の服務関係等について改善が見られたかどうか」について質問し、実際に改善されていることを肯定的に捉えているはずなのに、今回の住民監査の最も重要なポイントである「公用車の使用についての基準」が無い点については、なぜ対象外としてしまったのか、この判断は、どう考えても監査委員の大失策と言えます。

◎以上のように、住民監査請求の結果を疑問に思い、さらに情報公開請求をおこなったことによって、新たな事実が判明しました。それと同時に、新たな問題点も明らかになってきました。ブログ筆者は、引き続きこの問題について強い関心を寄せていきたいと考えています。