国と県からの「すぐに答えよ」指示は、あまりにも強引ではないのか

情報公開請求によって、上尾市の行政だけではなく、県や国の実態が見えてくるケースがあります。今記事では、ワクチン接種にかかわっての国や県の強引とも言える「指示」について見ていきます。

記事No.167

🔷昼に送信されて、〆切は午後4時??
今までの後手・愚策とも言うべきコロナ対策の失策には口をつぐんで、「ワクチン!ワクチン!」としゃかりきになっている政府。菅首相の「7月末までに高齢者にワクチン」という尋常ではない号令のもとで、必然的に、国 → 県 → 市という「指示」の流れが作られます。
以下は、情報公開で明らかになった、埼玉県から上尾市へ流されたメールです。
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PC以外では少し見えづらいかもしれませんが、このメールの中身は、
「高齢者接種の目標率及び7月末までの2回接種見込み数」を報告(文書では「照会」)せよ、というものです。
見ると、送信日時が 4/30   11:37  であり、提出期限が何と当日の16時になっていることには驚かされます。ごていねいに「期限厳守でお願いします」と書かれています。国から県への回答期限も同様に「すぐに回答せよ」ということであることは想像に難くありません。果たして、上尾市は正確な回答を送信できているのでしょうか。
ちなみに、上尾市は「高齢者接種の目標率」を77.5%、2回接種見込み数を50,982人と回答しています。それ以外で開示された資料では、他の市町村はマスキングしてあるため、見えなくなっています。

🔷急いで回答を求めるられるのは日常茶飯
数が多いので、2・3種類のメールをコピーするだけにしましたが、同様の急ぎの調査は他にもあります。
たとえば、次のメールです。

送信日時 2021年5月6日  22:16
「コロナワクチン照会・回答」
照会事項① 5月10日の週(5月16日まで)に高齢者向け接種を実施する予定がありますか。
照会事項② 5月10日の週の接種は、5月3日の週(第4クール)以前に納入されたワクチン、または、医療従事者向けに分配されたワクチンを使用して実施しますか。
回答期限 5月7日 12時〆  ※期限厳守でお願いします。

このメールでは、前日の夜中に県から送信されており、次の日の昼までに回答を求めています。このようなことが国からの指示により、日々繰り返されています。唯々諾々と従わなければならない担当の方には、お疲れ様としか言いようがないと思う一方、何のための調査なのか、何を急いているのかとの疑問も湧いてきます。

🔷県内自治体での2回目終了は7月末だけではない
上の「照会」の結果(5月10日現在)についても開示されました。
それによると、埼玉県内市町村の2回目の接種終了時期が明らかにされています。7月末と「報告」している市町村もありますが、他の時期との報告も見られます。

埼玉県/高齢者向け接種の2回目終了時期の見込み(5月10日現在)
7月末まで   上尾市・さいたま市など  40市(63.5%)
8月中     熊谷市・川島町など    21市(33.3%)
9月中     羽生市           1市( 1.6%)
10月以降   新座市           1市( 1.6%)

これ以降の報告については情報公開請求では開示されていませんが、国や県が無理を強いている最中に、「10月以降になる見込み」と回答している新座市は、むしろ堂々としているようにも思えます。
埼玉県の調査結果からは、「高齢者へのワクチン接種 7月末までに終えられる自治体93%に」というNHKの報道(2021.05.21)は「本当なのか?」と思ってしまいます。

◎情報公開開示の際、健康増進課の職員も言っていましたが、とにかく県から(すなわち、国からという意味)やたらとワクチン接種についての調査を含めたメールが次から次へ届き、提出期限は当日ということがほとんどであるとのことです。

◎あまりに急ぐあまり、ワクチン接種で間違いが起こらないとも限りません。国は、当初言っていたとおり、自治体に任せたらどうでしょう。
「無理が通れば、道理が引っ込む」という状態にならないためにも。

「人流」をわざわざ作り出し、感染リスクが高いという専門家の指摘には耳をかさず、「なぜそこまでしてオリンピック・パラリンピックを強行するのか」との問いにまともに答えられない菅首相。
 感染リスクの高い、多くの国民にとっては安心でも安全でもないオリパラを中止にしたとしても、普通の国民は困らないと考えます。