上尾市と杉並区との《議員と教育委員の女性比率》には歴然たる差が

「統一地方選」が終わりました。選挙にかかわる報道の中で、私(当ブログ館主)はとりわけ東京都杉並区議選の結果に注目しました。なぜなら、私の「選挙の結果はこうあってほしい」との願望に近い結果となったからです(もうひとつ、練馬区議選の48位~54位の票数と当落結果は、支持母体の票割りの凄さに驚くと同時に、ゾッとしました)。

今記事では《議員と教育委員の女性比率》に着目し、上尾市と東京都杉並区の比較をおこないます。当ブログの読者のみなさんは、だいたい予想はつくでしょうが、上尾市と杉並区では歴然たる差が生じています。
また、杉並区の女性議員が増えた要因のひとつに、岸本聡子区長の存在があります。
岸本区長のツイッター発信を含めて、当ブログでは「男女共同参画」というカテゴリーで、このことについてお伝えします。

No.271

🔶議員に占める女性比率
まず、今回の杉並区議選の結果を見てみましょう。

杉並区議会定数48人)当選者数 
女性24人 男性23人 性別非公表1人

杉並区議選・各政党獲得議席数( )内は女性
自民   9人(2人)  改選前より7人(※改選前の自民は3会派計16人)
公明   6人(2人)    〃  1人
立民   6人(4人)    〃  3人
共産   6人(4人)  改選前と同数
維新   2人(1人)  改選前より1人
ネット  2人(2人)  ネット=生活者ネットワーク
都民   2人(1人)  都民=都民ファースト
れいわ  1人(非公表) 改選前より1人
緑の党  1人(1人)    〃  1人
参政   1人(0人)    〃  1人
革新   1人(1人)  革新=都政を革新する会
無所属 11人(6人)  (※)
(※)杉並区議会の改選前会派一覧〈 〉内は略称(2022.6.30現在:杉並区議会HPより
〈自杉〉=自由民主党杉並区議団  〈自民〉=杉並区議会自由民主党 〈自〉=自民党
〈公明〉=杉並区議会公明党    〈立無〉=立憲民主党・無所属クラブ
〈共産〉=日本共産党杉並区議団  〈平和〉=いのち・平和クラブ
〈無維〉=自民・無所属・維新クラブ〈革新〉=都政を革新する会
〈正理〉=正理の会        〈杉わ〉=杉並わくわく会議
〈共生〉=共に生きる杉並     〈杉耕〉=杉並を耕す会    〈無〉=無所属

このとおり、今回の杉並区議選では、性別非公開の議員を除き、47名中24名が女性となっています。

今回の選挙は「投票率は43.66%。前回と比べて4.19ポイント上昇したことで増えた約2万票の動向が明暗を分けたようだ」との分析もあります(有権者数=471,473人)。
(※「」内は Tokyo web 2023.4.28記事より引用)。

これは、後述するように、「投票に行きましょう」という本聡子杉並区長の呼びかけが反映しているとも言えます。

では、上尾市ではどうでしょうか。

上尾市では27名中女性議員はわずか5名(共2 公1 無2)です。
(※議員数は 2023.3.23 現在。定数は30名)

∴ 女性議員の比率 = 上尾市は 18.5%      杉並区は 51.1%  です。

この要因は何でしょうか。第一義的には、もともと上尾市では女性の立候補数が少ないことが挙げられるでしょう。
もうひとつ、私が注目しているのは、杉並区には多くの会派があることです。
今回は選挙が終了して間もないためか、まだ杉並区議会のHPには新しい会派についての掲載がされていないようですが、既成政党のほかに、〈いのち・平和クラブ〉や〈杉並わくわく会議〉などの会派がある(あった)ようです。まさに「少数の市民でも市政に参画できる」典型であり、有権者としては、それだけ選択肢が増えることになります。

上尾では、ツイッター等で発信されている投稿を見ると、上尾市議選に向け、すでに何人かの女性候補者が自らの政策を訴えるなどの宣伝行動も見られます。当ブログでは、そうした動きを歓迎します。

上尾市では、とにかく女性の立候補者が増えることを切望します。

🔶議員だけではない! 教育委員の定数と女性の比率にも差が
メディアでは取り上げていないようですが、上尾市と杉並区の違いは、議員の男女比だけではありません。当ブログが強く関心を寄せている「教育委員に占める女性の比率」にも顕著な差があります。

上尾市 杉並区
人口=230.273人(2023.4.1) 人口=572,468人(2023.4.1) 
教育長=男性 教育長=男性
教育委員の定数=5人 教育委員の定数=4人
教育委員に占める女性比率
20%(1人)
教育委員に占める女性比率
75%(3人)

このとおり、人口は上尾市の倍以上の杉並区の教育委員の定数は、上尾市より少ないのです(地教行法に定められている原則は4人です)。
しかも、その4人の教育委員に占める女性比率は、杉並区では 75% となっています。

また、杉並区では、「杉並区教育ビジョン2022意見交換会」という取り組みをおこなっており、教育委員も参加しています。この取り組みのコンセプトは次のとおりです。

 「杉並区教育ビジョン2022」に掲げた「みんなのしあわせを創る杉並の教育」が共有され、豊かに育てられていくためには、子どもを含む誰もが、「思いを尊重する」ことや「ちがいを受け入れる」といった、教育の当事者として心がける視点をもって、自分らしく学び合い、教え合い、かかわり合うことの意義を理解することが必要です。
 より多くの児童生徒が「みんなのしあわせを創る杉並の教育」について対話をしながら考えを深められるよう、各学校で意見交換会に取り組んでいます。

上尾市の教育委員は、定例会での現在のような「当たり障りの無い」発言を繰り返している限り、5人も必要ありません。
20年間《異議無し・全員一致》で市教委事務局案を追認する装置ならば4人でも十分です。ただしその場合でも、教育委員の女性比率は高めるべきです。

🔶岸本聡子杉並区長の努力
杉並区議選で、前回から投票率がアップしたのは、岸本聡子杉並区長の努力があります。
以下は、自ら投票を呼び掛ける岸本聡子区長自身のツイッター投稿です(動画視聴の際は、中央の▶をクリックすると音声が出ますので注意してください)。

岸本聡子氏は、2022年の杉並区長選挙で現職を187票差で破って当選しました(下の表の得票数の小数点以下は切り捨ててあります)

候補者名 年齢 所属 新旧 得票数 推薦・支持
岸本聡子 47 無所属 76,743票 (推薦)立憲民主党・日本共産党・れいわ新撰組・社民党・杉並生活者ネットワーク・緑の党グリーンズジャパン・新社会党
田中 良 61 無所属 76,556票 (推薦)連合東京
田中裕太郎 46 無所属 19,487票

推薦の欄に要注目です。まさに「理想的選挙共闘」と言っていいと思います。
岸本区長は、区役所に登庁の際、自分の自転車を使っているそうです。また、公用車は「杉並区」と名前が入っている普通の車(上尾市にもありますよね)を使っているようですが、このあたりも、岸本区長の人柄が出ているというか、上尾市長とは違いますね。

今記事では、議員と教育委員に占める女性比率について、上尾市と杉並区との違いについてお伝えしました。

正直に言って、同じ地方自治体としてあまりの違いに情けなくなる思いですが、当ブログでは、これからも「男女共同参画」という観点で市の行政(教育行政)に強い関心を寄せていきたいと考えています。

“上尾市と杉並区との《議員と教育委員の女性比率》には歴然たる差が” への2件の返信

  1. 杉並区は小学校4年生から中学3年生の時に小中学校に通い、小学校の音楽の岩上先生(一生の恩人ともいえる方で市原悦子を千葉県の演劇部で教えた方、91歳でお亡くなりになりましたが)とお会いしました。杉並公会堂でオペラの発表も行い、器楽部の一員として全校集会の指揮もやらせて頂きました。そんな先生が私たちの卒業と共に番町小学校に異動され、暫くして会った時に先生から聞いたお話にみんなビックリしました。それは、先生が番町小の授業の最初に「君たち、音楽好きか?」と聞いたら、番町小の児童は何と「先生、それ成績に関係あるのですか?」と答えたというのです。それを聞いて私たちは本当にのけぞってしまいました!この話は色々なところで紹介しています。それでも先生は数年後には土曜日朝の全校集会(歌と器楽部の伴奏)を行ったと聞いて「さすが岩上先生」と思いました。杉並区は高校も西高校だったので通学していましたが、本当に懐かしい所です。そういう杉並区の区長が女性になり、市議も女性が多数になったという話は本当にうれしいことです。上尾市の女性市議が少ないのはとても問題です。市教委の議論も内田さんが最近、とみに頑張っていますが、女性が一人と言うのは大きな問題だと思います。11月には市議選が行われますが、無所属の新人女性も立候補しているとのこと、そういう動きが広がり、杉並の様な結果になれば良いなと思っています。

    1. 長文のコメント、ありがとうございます。

      そうでしたか、杉並区には深い思い出があるのですね。
      印象深かった恩師については、後々までも覚えていることを考えると、小中学校時代の教師の果たす役割の大きさがわかります。
      岸本聡子杉並区長の取組が素晴らしいのは、動画にあるように、自ら投票率アップを呼び掛けていることです。
      事実、投票率が上がっていることから、「こうすれば投票率は上がる」という良い見本だと思います。
      **********
      >市教委の議論も内田さんが最近、とみに頑張っていますが、
      =確かに、上尾市教育委員会の内田委員は、似たような年恰好の男性教育委員の中にあって、唯一の女性です。
      ただし、発言の内容が全て的を得ているかというのは、会議録等で検証をしなければなりません。教育委員同士の教育的議論が無いことも問題ですね。
      **********

      >無所属の新人女性も立候補しているとのこと
      =私がTwitterをフォローしている女性の立候補予定者は、ポスター貼りや住民との対話を重ねているようです。「自民・公明支持ではない」と明言しているので、一定の票は集めるかもしれません。
      最近維新に加入した現職の女性議員もいることから、現職の女性議員のみなさんは相当な頑張りが必要になると思われます。

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