「教育委員会って、どういう組織ですか?」との質問が寄せられました

当ブログの「お問い合わせ」経由で、ブログ記事の感想も含め、「上尾市の教育委員会って、どういう組織なんですか?」との質問が寄せられました。

当ブログでは、教育行政の施策や学校での状況について知りたい事項があると、その情報を開示してもらうために、上尾市教育委員会(市教委)宛てに情報公開請求をすることがあります。したがって、情報公開請求の内容によって、市教委の担当課がどこであるかについては、おおむね理解しているつもりです。

しかしながら、通常はよほどのことがない限り、市教委には縁が無い市民の方も多いのではないでしょうか。ですから、「市教委ってどういう組織なの?」という疑問も当然ですし、ましてや、前記事でお伝えした「市民アンケート」なるものが上尾市教育委員会の名入りの大きな封筒で自宅に届いたら、驚くのも無理はないと思います。

今記事では「市教委とはどういう組織なのか?」という質問への回答を、当ブログならではの観点、すなわち、情報公開請求と関連づけてお伝えします(少し長いです)。

No.233

🔶上尾市教育委員会の組織とは?
上尾市教育委員会」と「上尾市教育委員会事務局」とは異なります。
単に「教育委員会」というときは、多くの場合、「事務局」のことを指しているのです。市教委のHPを1度や2度くらい目を通しただけではわかりにくいのも当然です。

上尾市教育委員会教育長+5人の教育委員(男女比は4:1)の合議体です。
※根拠法令は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」です。
役割としては、上尾市の教育行政の「基本的方針」などを決定します。

上記は外形的な「合議体としての上尾市教育委員会」に関する説明ですが、実態としては、当ブログで何度か指摘しているとおり、「少なくとも20年間にわたって異議なし・全員一致」「教育委員からの施策の提案はゼロ」「教育委員同士の議論は皆無」という状況です。
すなわち、「上尾市教育委員会」は、「上尾市教育委員会事務局」の提案する事項を追認する装置であることは明白です。

そうした現状を踏まえたうえで、以下、市教委事務局について、情報公開請求との関連を見てみましょう。

上尾市教育委員会事務局… 狭義では市役所7階にある事務局を指します。
情報公開請求の対象としては、市内の小中学校・教育センター・公民館・図書館・中学校給食共同調理場も入ります。
〇上尾市教育委員会事務局は[学校教育部][教育総務部]とに分かれています。
※担当者の次の( )内は担当職員の人数(部長・次長・課長を除く)。
ただし再任用・会計年度任用職員を除く。
〈⇐ 「教職員の時間外在校時間一覧表」など〉の表記は、情報公開請求の項目を記載しています。
[学校教育部]
〖学務課〗🔷教職員担当(4) ⇐  「教職員の時間外在校時間一覧表」など
〖学務課〗🔷就学担当(5  兼務1) ⇐  「就学援助費の国の基準」など 
〖指導課〗🔷教育指導担当(11)⇐  「委嘱研究関連」「保護者負担金(隠れ教育費問題)」など
〈教育センター〉(4 兼務9) ⇐  「スクールソーシャルワーカーの配置」など
〖学校保健課〗🔷保健・安全担当(4) ⇐  「教職員のコロナ感染や消毒担当者の状況」など 
〖学校保健課〗🔷給食担当(5) ⇐  「給食費の公会計化・無償化関連」など 
〈中学校給食共同調理場〉(5) ⇐  「食中毒防止関連」など 
〈市内各小・中学校〉※各学校の問題(例:「HP上の記載」「校長の学校だより原稿について」など)は、ほとんどが指導課経由での情報開示となります。
[教育総務部]
〖教育総務課〗🔷庶務担当(4) ⇐  「教育長の予定表・勤務の状況」「教育委員の発言関連」など
〖教育総務課〗🔷財務担当(5) ⇐  「学校の公費予算関連」など
〖教育総務課〗🔷施設担当(4) ⇐  「学校の施設関連」など
〖教育総務課〗🔷新しい学校づくり担当(5)
⇐  「学校施設更新計画基本計画」「プール授業の民間施設利用」「市民アンケート関連」など
〖生涯学習課〗🔷生涯学習・公民館・人権教育担当(6) ⇐  「PTA関連」など
〖生涯学習課〗🔷文化・文化財担当(6) ⇐  「刀剣の管理」など
〈市内公民館〉⇐  「公民館の運営・管理」など
〈市図書館・分館〉⇐  「市図書館の運営」「利用者サービス」など
〖スポーツ振興課〗🔷スポーツ振興担当(7) ⇐  「オリパライベントの出演料」など

結果的には、市教委のほとんどの課に情報公開請求していることになります。
請求していて不可解なのは、「学校で保護者から集めている教材費等の集金」についての担当課が指導課ということです。開示まで1か月以上待たされましたが、「どこの課が担当なのかわからなかった」というのがその理由のようでした。
学校で保護者から教材費等の名目で集金がされていることは明白な事実ですが、そのことに市教委のどの部署も関心が無いということの表れだと考えられます。

🔶現在おこなっている情報公開請求の例から
当然のことですが、私たちには、市民として行政(教育行政を含む)が保有している情報について「知る権利」が保証されています。
なぜならば、行政の職員が作成したり入手した文書や資料は、職員や市当局が独占(私物化)するものではなく、市民と共有するべき、言わば「財産」とも言えるからです。
ですから、個人が特定される文言や文書等を除き、情報公開請求があれば、すべて公開されなければなりません。

一つの例を出しましょう。
今年の5月14日に、「平方幼稚園閉園に係る地域説明会」が開かれました。
私はこの説明会の記録の開示を求めて、情報公開請求しました。
教育総務課経由で開示された文書は、A4版30枚にわたるものでした。
この発言記録は、本来であれば(地域の発言者の名を隠すなどの配慮をしたうえで)市教委のHP等で公開すべき文書であると私は考えます。

発言記録では、まず、教育総務課長の長い説明がされています。しかしながら、その中身は市教委事務局として本気で園児募集に取り組まなかったことは棚に上げ、「事業の選択と集中などという言葉で閉園に突き進んだ「言い訳」であることが読み取れます。

これに対して、地域からの参加者からは「大変残念」「決まってもいないのに、平方幼稚園閉園を『くらしのガイド』に載せてしまったではないか(※当ブログNo.163記事参照)」「平方幼稚園は存続させてほしかった」など、切々と訴える発言が続いています。
市長からは5回発言があり、量的にはA4版で3頁半ほどになっています。しかしながら、西倉教育長の発言はわずか1回。読んでみても全く心に響かないものです。

教育長の発言は、なぜこのような通り一遍のものになってしまったのでしょうか。
ヒントとなるのが、情報公開請求し、教育総務課経由で入手した教育長の 5/11~5/13 の執務予定表です(終了後なので予定ではありませんが)。

これを見ると、教育長は5/11の午前~5/13の夜間まで、3日間丸一日ずつかけて「全国都市教育長協議会定期総会並びに研究大会」(以下、山口大会)に出向いています。
そこで、次の仮説や疑問が生じます。

❶5/14の「平方幼稚園閉園に係る地域説明会」での教育長の発言が極端に少ないのは、山口大会に出向いていて、地域説明会の準備が不足していたのではないか。
❷報道資料によれば、当該山口大会は 5/12 午前から 5/13朝までとなっている。それにもかかわらず、5/11の午前(朝イチ)から出向く必要があるのか。
❸そもそも、山口大会にわざわざ出向く必要性はあるのか。

「教育委員会の責任者」である西倉教育長について、果たして上尾市の教育行政を担うだけの資質を有しているのかを判断するうえでもぜひ知りたい情報でもあることから、次のような情報公開請求をおこないました。

(1) 西倉教育長が出向いたとされる「山口大会」の開催文書一式。
(2) 西倉教育長が「山口大会」に確かに参加したことが判別できる文書・資料等。
   (参加費や宿泊料の領収書等が考えられます)
(3) 西倉教育長の「山口大会」にかかる「旅行命令簿」またはそれに類した文書。
(4) 西倉教育長が出向いた「山口大会」の翌日には「平方幼稚園説明会」が開かれています。
請求人が別途情報公開請求で入手した「説明会」
の発言記録によれば,西倉教育長の発言回数はわずか1回のみであり,それもごく短い発言であったことから考えて,「説明会」出席のための準備が不足していたことは明白です。請求人は,このような西倉教育長の姿勢について,「説明会」の直前3日間かけて山口市に出向くのではなく,「説明会」のための資料を事前に目を通すなどの準備をすべきであったと考えています。
また,「山口大会」は,山口市の報道資料によれば,対象者は(804市+23区=827名),内,出席予定者は480名であり,参加率は約58%。すなわち,42%は不参加であることが読み取れ,山口市に出向く必要性に疑問が生じます。
以上のことを含めて、西倉教育長が「山口大会」にわざわざ出向く必要性が判別できる文書・資料等。
(5) 「山口大会」は2022年5月12日の午前9時に開始されるので,前日(5月11日)の午後に出 発すれば,6時間ほどで到着するはずです。それにもかかわらず,西倉教育長の5月11日の勤務の状況は朝から夜まで「全国都市教育長協議会定期総会並びに研究大会」となっています。
 そこで、2022年5月11日の「午前」「午後」「夜間」における西倉教育長の勤務の状況が判別できる文書・資料等。なお,新幹線を利用しているとすれば,出発時刻および利用した新幹線の便名が判別できる文書・資料・メモ等であること。
(6) 2019(平成31)年4月19日付け「住民監査請求に係る監査結果」の「判断」において、監査委員は次のように述べています。
  「教育長は、出張用務を終えたときは、その概要を教育委員会等に報告しなければならない」
 そこで、西倉教育長が出向いた「山口大会」についての「出張報告書」・「復命書」または「出張の概要」が判別できる文書・資料等。

この例のように、たとえば教育長についての勤務の状況について知りたい場合、情報公開請求をすると中身がわかります(手続き的には「行政文書公開請求」となりますが、電子申請が比較的簡単な手段です)。

🔷現在申請中の情報公開請求
上で挙げた例のほかにも、現在、次のような内容で情報公開請求中です。
(市教委以外の分も含む)

担当課 情報公開請求の内容等

図書館
*業務委託先である㈱ナカバヤシ従業員への「指示」に関して。
*同じ図書資料にもかかわらず、本館と分館で貸出可・不可が異なる理由。
*上尾市図書館の[禁帯出]の基準。
スポーツ振興課 *上尾シティハーフマラソン関連(実行委員会会議録・会計監査等)。
学務課 *2022年6月分教職員の「時間外在校時間」一覧表。
※とりわけ「委嘱研究」の指定校の教職員は時間外在校時間が多いのではないか、という仮説に基づいています。
教育総務課 *教育委員による小中一貫校視察の中身。
*超マンモス校である戸田東小について教育委員が評価する理由。
契約検査課 *公募型プロポーザル方式事務取扱文書。
*随意契約によることとした理由が公表されていない件について。

今記事では、市の教育委員会の組織(各課等)について、情報公開請求との関連を含めて示してきました。上の表に関しての開示の結果は、来週以降にわかりますので、その中身については随時当ブログでお伝えしていきます。

“「教育委員会って、どういう組織ですか?」との質問が寄せられました” への2件の返信

  1. 貴ブログには毎回感心して見させてもらっています。私も、上尾市教育委員会の傍聴をして九年位経ちますが、いつも市教委の事務局がリードしていて、教育委員は「お飾りびな」か「形式的な決定機関」と化しています。現に6月の教育委員会では驚くべきことがありました。前日に調査特別委員会(市議会議長以外の市議全員で構成)で「アンケート」が出され、その「誘導質問(貴ブログ参照)」について質問が出て、「こんな誘導質問はおかしい、変えるべきだ」と言われたにもかかわらず、「もう印刷してしまった」として変えようとせず「それではこのアンケートの結果は信用ならない」と言われました。こんなに重要な事項なのに、翌日の教育委員会にはアンケートをどう行うかの実務的な報告のみで前日の報告は一言たりともありませんでした。しかも教育委員会にアンケートの中味が出されて論議されたことは一度もありません。事前に配って意見を頂いたというのですが、市民に開かれた委員会とは言えません。こんなに大事なことを報告さえしないということは全てが事務局先行で行われ、教育委員は「お飾り」の様な存在になっています。ただ、実際に決定するのは教育委員ですから、きちんと情報を伝えない事務局は本当に良くないと思います。

    1. コメント、ありがとうございます。

      おっしゃる通りです。ブログにも書きましたが、「現在の教育委員会の会議は、事務局の提案を追認する装置」であることが貴コメントからもわかります。
      各教育委員にそのことを指摘し、「活性化するにはどうしたらよいか」を尋ねる書簡を出したことは拙ブログでお伝えしましたが、今のところ返事はありません。
      やはり思い切って教育委員をあと3名増やし8名とし、男女比は半々にすることが良いかもしれませんね。

現在コメントは受け付けていません。