《住民監査請求の記録》開示。市教委事務局の隠ぺい体質が明らかに

前記事でお伝えした「住民監査請求」の続報です。
残念ながら、監査委員が「文書が無い」と意見で述べているにもかかわらず、「棄却」という結果になってしまいました。これは市民としては納得できないことから、事実関係確認のため、監査委員あてに「監査の経緯」について情報公開請求しました。
それを受けて、昨日(8月22日)「住民監査請求の経緯が判別できる記録類」の開示がされました。これにより明らかになったのは市教委事務局の「隠ぺい体質」です。
今記事では、このことについてお伝えします。

No.287

🔸定例会で「肝心なことは聞かない」教育委員たち
監査委員事務局から文書の開示を受ける直前、教育委員会8月定例会が開催され、席上、生涯学習課長から今回の住民監査請求についての監査結果が報告されました。
「棄却となった」ことが強調される報告でしたが、「号給の格付けにかかる文書が保存されていなかった」との監査委員の意見については軽く流したように聞こえました。

この8月定例会については、すでに結果の概要が公開されています。
傍聴人非公開の審議(市議会提出議案)も含め、所要時間はわずか45分。
内、「報告事項」は次のとおりです。

報告事項1   令和5年度上尾市立公民館年間事業計画及び令和4年度上尾市立公民館事業の状況及び事業評価について
報告事項2   住民監査請求に係る監査結果について
報告事項3   令和5年7月 いじめに関する状況について

教育委員の発言は、公民館事業に関して、「資料の人数が違うようですが?(=実際は教育委員の資料の見方が悪い)」とか、「人気のある講座は何ですか?(見りゃわかる)」などでしたが、正直、重要な(本質を問う)質問ではないように思えました。

それよりは、住民監査請求での監査委員の意見に関して、「事務局では、なぜ肝心な文書が無かったのか? いったい文書の扱いはどうなっているのか?」と聞いてもよさそうなものですが、今までと同様、上尾市の教育委員は事務局が困るようなことは質問しないのです。おそらく、ことの重大さを教育委員は認識していないか、故意に聞かないかのどちらかでしょう。
また、「いじめに関する状況について」でも、「いじめ調査委員会の報告はいつ公表されるのですか?」と質問する教育委員は誰ひとりいませんでした。
※教育委員たちは知らないかもしれません(定例会で全く報告が無いため)が、私が調べたところ、「いじめ調査委員会報告」は8月末を目処にwebで公表されるようです。
(追記:8月23日にwebで公開されました)

🔸監査委員と事務局とのやり取りから
公表された資料により、監査の様子が明らかになりました。
開示された「議事の経過」の該当部分を見てみましょう(重要な箇所に朱書きで下線を引いてあります)。

🔸請求人の申出に基づく監査委員の質問
上記のやり取りから、基本的に監査委員は私が提出した「上尾市職員措置請求書=住民監査請求」と証拠書類に基づいて市教委事務局に質問しているのがわかります。

教育総務課長は「(家庭教育支援員の職の設置は)具体的な変更理由は説明しなかったが、(教育)委員から質問があったため、会議録のとおり(注:前記事の中ほど参照)の答弁をし、それ以外は説明していない」と述べています。教育委員会定例会での説明にしては、あまりにもお粗末と言わざるを得ません。

また、生涯学習課長は「当時の説明資料等や記録がないため、はっきりしたことは申し上げられない」と述べています。しかしながら、「当時」と言うとかなり前に聞こえますが、わずか2年前のことなのです。
しかも、「これまでの社会教育指導員とは別に家庭教育支援員を新設し、格付を変更したいということを職員課へ伝えたのだと思われる」と説明しています。
この発言自体、教育総務課長による教育委員会定例会での説明「新たな職と言うよりは…」と異なります。加えて「職員課に伝えたのだと思われる」とは、まるで他人事であり、責任転嫁も甚だしい発言です。

さらに問題なのは、「探してはみたのだが、見つからなかった」という発言です。
無関心な教育委員はスルーするかもしれませんが、文書管理が全くできていないという点でも、責任は重大です。

🔸本質をつく監査委員事務局職員の発言
上記の情報の開示の際、私と面談した監査委員事務局の職員が漏らしたひと言を紹介しましょう。何と言ったのかー

「当然保存されるべき文書が、市長部局には間違いなくあるのですが、市教委事務局には無いんですよね」

これは、今回の住民監査請求に限ったものではないと思います。
「あるべき文書が無い」ことは、情報公開請求を何度もおこなっている私も感じていましたが、監査委員事務局の職員の発言は、まさに現在の上尾市教委の本質を突くという意味で大変重要です。

🔸市教委の「隠ぺい主義」を明らかにし、抗うことが重要
監査委員事務局から開示された文書・資料等はこれだけではありません。それらの資料については、機会を捉えて当ブログで発信していきます。
さらに、監査委員事務局だけでなく、別の観点から生涯学習課に情報公開請求をおこなっています。

[生涯学習課あて]  市教委事務局は「家庭教育支援員の号給も業務の専門性の高さに見合う格付けとした」と監査委員に説明している一方で,請求人に対しては「上教生第87号」文書の手交の際,請求人が再三再四「2級9号給にしたのには必ず理由があるはずなので,そのことについて教えてほしい」とお願いしたにもかかわらず,市民が当然知らされるべき情報提供(上尾市情報公開条例第26条に基づく情報提供)がされなかった理由が判別できる文書・資料等。

なお,この問題については,請求人は非常に強い関心を寄せています。
なぜならば,「上教生第87号」文書の手交の際に,生涯学習課が監査委員に説明した内容が請求人に伝えられていれば,今回の住民監査請求には至らなかったとも考えられるからです。
そのことも配慮のうえ,開示請求された内容については,十分に吟味のうえ,上尾市情報公開条例第26条に基づき,市民の知りたい情報を伝えていただくようお願いします。

この情報公開請求の持つ意味ですが、市教委事務局が市民の知りたい情報を提供していれば、今回のような住民監査請求に至らなかった可能性もあるのです。
この問題の根底には、上尾市教育委員会の持つ「隠ぺい主義」があると考えられます。
現在の上尾市教育委員会の本質は「隠ぺい主義」であることを市民に明らかにしたうえで、それに抗(あらが)うことが重要です。

今後も、今回と同様の「情報隠し」「隠ぺい主義」は続くかもしれません。
現在の教育委員の資質や姿勢の問題点を市民に伝えていくことを含めて、教育行政が少しでも改善の方向に向かうようにするため、引き続き情報公開請求(場合によっては住民監査請求)で入手した情報などを当ブログでは発信していきます。