「調査特別委員会」で露呈した、上尾市教育委員会の「不都合な真実」その1

10月12日の9時半より、上尾市議会の議場で「上尾市学校施設更新計画基本計画調査特別委員会」(以下、「調査特別委員会」)で《上尾市の教育の方向性について》参考人である教育委員からの意見聴取がありました(小池・谷島両教育委員は「仕事のため」と称して欠席)。

「調査特別委員会」を傍聴していてよく分かったのは、「逃げ」の教育長、「後付けの弁解」の教育委員、「自らの正当化に躍起」の教育委員会事務局、というそれぞれの「不都合な真実」です。
今記事では、その1として、教育長&教育委員についてお伝えします。

記事No.188

🔷「逃げ」の池野教育長
「調査特別委員会」冒頭、「教育長は公務のため11時半に退席する」旨が伝えられました。池野教育長は、8月23日の「調査特別委員会」も「公務」と称して中座しています。なお、8月23日の中座の件については、情報公開請求等から、次のことが明らかになっています。

(8月23日の「調査特別委員会」教育長途中退席の件)
*「調査特別委員会」が教育長に文書で伝えられたのは8月10日。そのあとで「県教育局幹部」が上尾市教委に来訪するということが決められたようである。
*しかしながら、教育総務課職員に確認したところ、「8月23日に県教委幹部が市教委に来たことは、教育総務課職員の誰も知らない」ことが判明した。
*県教委に確認したところ、「当日は、片桐雅之・市町村支援部副部長が教育行政用務で上尾市に出向いたようだが、時間と内容は不明」とのことである。

実に不可解な話です。普通に考えたら、県教委から上尾市教委に来訪するという予定があれば、当日「県教委幹部」が市教委に来たことを教育総務課職員が誰一人知らなかった、ということはないはずです。
同様に、10月12日の「公務のため」というのも、かなり怪しい話だと思います。議員のほぼ全員が集まっている「調査特別委員会」を中座するほどの重要な用件であれば、昼前の11時半という時間設定はしないでしょう。「議員の質問に答える重要な先約がある」ということで、「公務」を午後にするなどが常識的な対応ですが、この点でも非常識であり、結局は「逃げ」の姿勢が明らかになったと言えます(10月12日の「公務」の内容については情報公開請求を申請しています)。

🔷「このへんで勘弁していただけるとありがたい」
井上茂議員からの「基本計画巻末の再編案(学校統廃合案)も含め、教育委員会として決定したのではないか」との質問に、池野教育長は次のように答えています(要旨)。

(井上茂議員の質問への教育長答弁要旨) ※録画 1:14:40~
*教育委員会は独立した予算を持っているものでも何でもない。
*基本計画は「たたき台」である。
*井上議員の発言は正しい。確かに基本計画巻末の再編案も含め、教育委員会として決定した。そのとおりだと思う。
*決定したのは、教育委員会事務局の「とりあえずの案」である。
*総務省の総量抑制の考え方については、教育委員も個人的には意見を言っていた。私もその中に入って意見を言った。
*地域の中で「この学校が無くなったら困る」というのは、当然教育委員も言っていた。
*でも、(学校施設更新計画基本計画には)賛成した。
*決定したが、基本計画はあくまでも「案」である。
*教育委員がこの(基本計画)案を練ったわけではないので、このへんで勘弁いただけるとありがたい。
*他の自治体のことを言ってもしょうがない。
*事務局が市長部局と作った案について(反対するのは)言いづらかった。
*無責任と言われればそのとおり。

池野教育長は、終始「あの計画は教育委員会で決められる問題ではない」と言っています。挙句の果ては、「教育委員がこの基本計画案を練ったわけではないので、このへんでご勘弁を」とまで発言しています。
教育長は、議場を中座するだけでなく、「無責任を言われればそのとおり」などと開き直り、「逃げ」の態度に終始しています。

🔷「後付けの弁解」をする教育委員たち
録画を見ていて、中野・大塚・内田各教育委員のお歴々は、やたらと「第一次案」「素案」などと言っていますが、
果たしてそうした事実はあるのでしょうか。
今年になってからの教育委員会定例会の1月の会議録(9~13頁)3月の会議録(15頁)
4月の会議録(7~13頁)5月の会議録(6~18頁)を読み返しても、この「更新計画基本計画」が「第一次案」であるなどとは書いてありませんし、誰ひとり言っていません
それどころか、池田教育総務課長は次のように述べています。

2021年5月教育委員会定例会 会議録より
池田直隆 教育総務課長 :
「 議案第31号 上尾市学校施設更新計画基本計画の策定について 」でございます。 議案書については、9ページ をお願いいたします 。 提案理由でございますが、 新たな学校環境を必要とする取組に対応する施設整備と学校施設の老朽化状況を踏まえた学校施設の効率的・効果的なマネジメントを目指し、「持続可能な教育環境づくり」を推進するため、 上尾市学校施設更新計画基本計画を定めたいので、この案を提出する ものでございます。
基本計画については、これまで1月定例会からご協議いただき、市民コメントの実施を挟み、一部修正を加えて、前回の 4月の定例会において、継続の案件として協議をいただいたものでございます。そして、委員の 皆様からのご要望を受けて、過日実施させていただきました勉強会において、基本計画に対するご理解を深めていただいたものと存じます。本日提出いたしました計画は、5月17日に
庁内の検討組織である「上尾市個別施設管理基本計画等評価委員会」の承認を 経て、本日の議案提出したものでございまして、本日は策定に当たってのご審議をいただきたいと存じます。

この会議録にあるように、「学校施設更新計画基本計画案」は、教育委員会定例会で何度も協議を重ね、しかも、「勉強会で教育委員の理解を深めた」うえで提案されたものなのです。

すなわち、教育委員のお歴々が言うような「第一次案」などでは断じてありません学校統廃合を含む原案に教育委員は間違いなく、お得意の「全員一致・異議なし」で賛成したのが真実なのです。

🔷教育委員はなぜ地域説明会に出ないのか
「調査特別委員会」では、教育委員の3人とも、「地域の意見が大切」とか「地域の声を聞いて」などとさかんに発言していましたが、それでは教育委員の方たちにお聞きしたい。
なぜあなた方教育委員は、7月の地域説明会に(一般の参加者としてでも)出席して、地域の方たちの意見を聞こうとしなかったのですか?
何も、前のほうの席に座って、とは言いません。地域の参加者と一緒に座って、じっくりと地域の方の意見に耳を傾けることを何故しなかったのでしょうか。ここに教育委員の本質が現れていると私は思います。

🔷言葉の概念の変化を知らない教育委員
池田達生議員からは、教育委員が使っている「中一ギャップ」という言葉に関する質問がされました。

池田達生議員の質問要旨
*「学校施設更新計画基本計画」51頁に、県教委の「小中一貫教育について」という記述があるが、これは2014年の資料である。
その中で、「中一ギャップの解消」とあり、大塚委員も「中一ギャップ」という言葉を使っている。
*ところが、この資料の翌年(2015年)に文科省から出された生徒指導リーフレットには、「中一ギャップ」という言葉は、その信憑性からも、安易に使用してはならないとされている。また、国会でも同様の対応をしている。
これらのことについて、大塚教育委員は知っているか。

これについて、大塚教育委員は「知らなかった」旨答えています。
ただ、そのあとで「事務局から資料を見せられ、中学1年生で不登校が増加しているので」と言い訳をしていました。
しかしながら、これについても池田議員から「その数値も、すでに小学校時代から内在していて、中学で顕在化するのだから、小学校時代の指導が大切である」と指摘されました。
池田議員指摘の資料は → 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」
ですが、そこには、次の記述があります。

国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」
「 中 1 ギャップ 」 という用語の問題点
*「中 1 ギャップ」という語に明確な定義はなく、その前提となっている事実認識(いじめ・不登校の急増)も客観的事実とは言い切れない。
「中 1 ギャップ」に限らず、便利な用語を安易に用いることで思考を停止し、根拠を確認しないままの議論を進めたり広めたりしてはならない。
【いじめは、中1で急増するのか?】
*学校が報告する 「問題行動等調査」 の結果(認知件数)からは中 1 でいじめが急増するように見えますが、児童生徒対象の質問紙調査の結果からは異なる実態が見えてきます。
*「中 1 ギャップ」 の語は、 「問題行動等調査」 の結果を学年別に見ると、小6から中1でいじめや不登校の数が急増するように見えることから使われ始め、今では小中学校間の接続の問題全般に「便利に」用いられています。しかし、いじめが中1で急増するという当初の認識が正しいのか、不登校の中1での増加にしても 「ギャップ」 と呼ぶほどの変化なのかについては、慎重であるべきです。なぜなら、必ずしも実態を表現しているとは言い切れないからです。
*とりわけ、その語感から、中1になる段階で突然何かが起きるかのようなイメージや、学校制度の違いという外的要因が種々の問題の主原因であるかのようなイメージを抱くと、問題の本質や所在を見誤り、間違った対応をしかねません。
 便利な用語を用いることで、目の前で起きている問題を理解した気になっては
なりません。実際に何が起きているのかを冷静に捉えることから始めましょう。

大塚委員は「中一ギャップ」の概念がどう変化しているのかについて、教育委員として自らリサーチをするという姿勢ではないと言えます。

長くなりましたが、今回はここまで。この続きは次回お伝えします。

企業の意見広告について思うこと

企業広告の中には、時折ハッとさせられる広告があります。
それは、時の政権批判だったり、社会的問題を鋭く指摘するものですが、共通しているのは、視覚に訴えるという点だと思います。
今記事では、このことについてお伝えします。

記事No.187

🔷「宝島社」の意見広告
下の写真は、今年の9月22日の朝日・読売・日経に見開きの全面広告として掲載された宝島社の意見広告です。

国民は、自宅で見殺しにされようとしている」宝島社が新聞3紙に意見 ...

画面が見にくい方のために、この広告には、次のような文章が書かれています。

国民は、
自宅で見殺しにされようとしている。
今も、ひとりで亡くなっている人がいる。
涙がでる。
怒りと悲しみでいっぱいになる。
この国はいつから、こんなことになってしまったのか。
命は自分で守るしかないのか

この広告は、コロナ感染者数が爆発的に増えたあと、減少に転じた中で出されました。感染者数の減少については、「専門家」と呼ばれる人もその理由がわからないようですが、私は 「自宅療養者」に対して、医療的支援の手が差し伸べられることなく、亡くなっていく人がいることが明らかになったことが感染者減少につながったと考えています。
つまり、様々な数値やグラフなどのデータを見せられるよりも、「明日は我が身」、あるいは「この国の為政者は私を守ってくれない」ということを国民が肌で感じ取り、今まで以上に「感染しないようにしよう」と考えたからではないでしょうか。

それにしても、宝島社のこの広告は、国民の感情を言葉で表現しているという意味で、見事としか言いようがありません。

宝島社の「企業広告」というバナーでは、1998年~2021年までの同社が発表した「企業広告」を見ることができます。それぞれの広告は極めて衝撃的であると同時に、共感することのできる「作品」と言えます。

もうひとつ、宝島社の意見広告を見てみましょう。次の広告は、今年の1月6日に読売朝刊掲載の「君たちは腹が立たないのか。」です。
同じ時期に、日経には「暴力は、失敗する。」、また、コロナ感染対策をテーマにした「ねちょりんこ、ダメ 。」は朝日と日刊ゲンダイに掲載されました。

字が少し小さいので、この広告の文章の部分をを次に示します。

君たちは腹が立たないのか
音漏れしているやつ。傘の持ち方なってないやつ。
スマホ見ながら自転車乗るやつ。
まず、いちゃもんつけるやつ。なんでも隠そうとするやつ。
すぐ嘘つくやつ。すぐ戦争しようとするやつ。
この社会の息苦しさは、決してあなたのせいではない。
いきすぎた忍耐は美徳でもなんでもないから。
理不尽にはきちんと怒ろう。不条理には声をあげよう。
怒りを笑うな。怒りとはエネルギーだ。
前例を打ち破り何かを生み出すためのパワーだ。
怒ることから世界は進む。
今年こそ、正しく怒ろう日本人
宝島社

私が共感するのは、この広告の中の「理不尽にはきちんと怒ろう。不条理には声をあげよう」という言葉です。
ちなみに、広告の中の男の子は、ノルウェーの彫刻家グスタフ・ヴィーゲランによる《おこりん坊》という作品です。オスロのフログネル公園(別名ヴィーゲラン彫刻公園)にあり、ずっと昔、私は一度だけ訪れたことがあります。広い公園に置かれている彫刻全てがヴィーゲラン一人だけの作品という点も、日本との違いに驚いた記憶があります。

🔷「視覚文化」としての企業の意見広告
企業による意見広告について、私は通信教育で学んだ大学で「視覚文化論」のレポートを書いたことがあります。そのときに取り上げたのが、次の写真で、これはベネトン社の広告として発表されています。

この写真は、イタリアの写真家、オリビエーロ・トスカーニによる作品《Cemetery 1991》です。Cemeteryは「共同墓地」のことであり、彼の心の中のイメージと重なり合っていると言えるでしょう。

トスカーニは、「予告された戦争=湾岸戦争」を目前にしての心境を次のように説明しています

私はずいぶん考え、自分にとっての初めての戦争のイメージを頭に思い描いた。それは、1948年。6歳の時のことだった。「コリエレ・デラ・セーラ」の報道カメラマンだった父に連れられて、戦没者墓地での公式記念式典に参加した。十字架に埋めつくされた大きな墓地だった。すべて死者たちだ! 
この日、私はまだ小さかったが、戦争の不条理さを理解した。一枚の写真でこの時の感じをもう一度つくり出さなければ、という思いにかられた。

そしてトスカーニは、湾岸戦争が勃発した日に、共同墓地の写真をイタリアの有力2紙に2ページ見開きで掲載をすることになります。
そのことについて彼はこう述べています。

私にとって、それは戦争の不条理さを思いおこさせる方法であり、平和へのメッセージだった。あらゆる戦争が墓地を終着点としているのだから

服飾ブランドであるベネトンの1980年代末からのポスターやカタログには、基本的に衣料品などの商品は登場しません。
わずかに、[UNITED COLORS OF BENETON] の文字が見えるだけであり、写真作品により観者(つまり多くの一般の人々)に「何か」を訴えているのが特徴です。
その意図を読み取ろうとするならば、観者は一瞥(glance)ではなく、凝視(gaze)しなければならないのです。

🔷企業は、時には明確な意見表明を
今記事で取り上げた広告の他にも、企業による意見広告を目にすることがあります。5月に日経に掲載された旭酒造の獺祭(だっさい)の広告<飲食店を守ることも日本の[いのち]を守ることにつながります>やYouTubeで発表された「通販生活」の「9条球場」などですが、もしも為政者による不条理が続くならば、企業は明確に反対する意思表明としての企業広告を発表すべきであると考えます。

給食費の完全無償化に道を開く請願が、上尾市議会で可決されました。

上尾市議会9月議会の最終日、市民にとっても、上尾市にとっても画期的な[小中学校給食費無料化に関する請願]が可決されました。
今記事では、このことを中心にお伝えします(少し長いです)。

記事No.186

🔷請願の中身とは
9月議会で市民団体から提出された請願の中身は次のとおりです。
また、署名数は9月28日の時点で9,206筆になったそうです。

小中学校給食費無料化に関する請願   請願代表者 氏名・印
[要旨]
小中学校の学校給食費が高く、保護者の負担が大きくなっています。すべての子どもが給食費の心配なく平等で良質な給食を食べられるようにするため、市として必要な財源措置を講ずることを請願いたします。
[理由]
上尾市の給食費は小学校で月額4,300円(県下で2番目)、中学校で月額5,200円(県下で1番目)と高く、保護者の負担がとても大きくなっています。
平成17年に食育基本法が制定され、成長期の子どもに対する食育は、子どもたちが一生涯にわたって健やかに生きていくことができるよう、その基礎をつくるために行われる大切なものです。子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう、学校給食は教育の一環として、食育に重要な役割を果たしています。
すべての子どもが、給食費の心配なく平等で良質な給食を食べられるようにするためにも、保護者の給食費負担を軽減することが今求められています。
以上のことから、上尾市は将来的な給食費無料化に向けて、段階的に取り組みを行っていくことを請願いたします。上尾市長、教育長宛の学校給食費無料化を求める署名にも8,162名(注:請願提出の時点)の方が賛同しています。

🔷市議会での賛成・反対討論では
 この[小中学校給食費無料化に関する請願](9月議会では「請願第12号」)についての各会派による賛成or反対討論はどのようなものだったでしょうか。市議会中継録画から発言をまとめてみました。
(発言順に掲載してあります。)
◎録画では、議員による発言は「です・ます」調ですが、当ブログでは趣旨をお伝えするために、「である」調に変えています。
また、(※数字)については、数字や用語に関してのブログ筆者による補足です。なお、明らかな語彙の使用の誤り等は( )として補っています。

反対討論 田中一崇議員(上尾同志会) 録画 1:19:46~
現在、上尾市をとりまく環境において最優先事項はコロナ対応であると考える。
本請願にかかる財政負担は、年間約8億円(※1)かかる見込みである。この予算を恒久的に支出する財源確保にも課題が残ると考える。
小中学校の給食にかかる事業費としては、総額約18億円、内訳は人件費、施設改修費、無償化対象者(※2)への支援、食材費である。市は、そのうち人件費・施設改修費・無償化対象者への支援総額約10億円をまかなっている。
無償化をすすめる趣旨は理解できるものであり、部分的には賛同もできるところであるが、今おこなうべきかと考えるには、時期尚早と考える。
また、子ども・子育て支援として児童手当、子供医療費の助成や個別に応じた支援をおこなっていることから、[小中学校給食費無料化に関する請願]について、現時点においては反対とする。

(※1)年間の財政負担については、9月議会の答弁で、市の当局(学校教育部)は、次のように説明しています。
*小中すべて無償化  7億7,400万円
*小学校のみ無償化  4億8,300万円
*中学校のみ無償化  2億9,100万円
*第3子以降無償化    2,700万円
*小学校6年生無償化   9,350万円
*中学校3年生無償化 1億 950万円
(※2)「無償化対象者」とは、「就学援助制度」を受けている世帯への補助額を指すと思われます。

賛成討論 海老原直矢議員(政策フォーラム・市民の声あげお)
録画 1:22:30~
本請願は、保護者負担の軽減を主な理由として、学校給食費の無料化に向けた段階的な取組を求めるものである。まずもって、「保護者負担の軽減」という一点をもっても、子育て世代が安心して子育てができる環境をつくるという、あたりまえのまちづくりをすすめていくうえで、補助等の枠組みの再検討を含め、早急に着手しなければならないと考える。
さらに言えば、この無料化に向けた段階的な取組をすすめるということは、多くの議員の方々が推進すべきとしているSDGs[持続可能な開発目標]のターゲット2-1(※1)「脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分に得られるようにする」という点とも一致するものであり、今のコロナ禍でこそ検討をすすめるべきものであると考える。
また、文科省がとりまとめた【学校給食費の無償化等の実施状況】(※2)によれば、「無償化による成果」として、(児童・生徒)では、自治体・地域への感謝の気持ちの涵養、(自治体)においては、定住・転入の促進が挙げられており、こちらの多くの議員の方々が言及している定住促進の方針にも合致するものである。
以上の内容を踏まえても、学校給食費について、請願中にもあるとおり、即時の一括の無料化ではなく、無料化に向けた段階的な取組に着手することが、本市においても不可欠であるという考えから本請願に賛成する。

(※1)SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。ターゲット2-1は、「2030 年までに飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする」とあります。
(※2)文科省「学校給食費の無償化等の実施状況」によります。

賛成討論 平田通子議員(日本共産党)  録画  1:24:57~
学校給食は、生涯を通じて健康で文化的な生活を送り、望ましい食生活の基礎・基本を養い、感謝の心や伝統的な食文化の理解を深めるなど、本当に重要な機会となっている。上尾では、小学校は自校給食、中学校はセンター(セントラル)&サテライト方式で温かくおいしい給食が提供されている。
給食費は自己負担として、小学校は月に4,300円、中学校は5,200円で、この金額は小学校は県内で2番目に高く、中学校では県内で一番高い(※1)。
小中学生の子どもをもつ世帯は、水光熱費など公共料金の支出なども大変多いうえに、消費税が2019年10月から10%になり、負担が増えている。さらにコロナ禍によって非正規雇用やパートなどの仕事も打撃を受け、生活費を切り詰めて捻出しているなど、本当に家庭にとっては大きな負担になっている。
また、子どもの貧困が社会問題となる中で、成長・発達を保障する食事が学校給食のみ、という子どもも少なくない。貧困対策からも無償化が求められている。
憲法第26条は「義務教育は無償とする」(※2)と定めている。給食は、子どもたちの心身の健全な発達に資するものであり、(学校生活)を豊かにするものとして、(学校教育)の一環となっている。
1954年に<学校給食法>ができた時に、食材費は保護者負担で始まったが、負担割合は地域の実情を考慮してという通達が出されており、現在も文科省は(保護者に補助すること)を禁止したものではないとしている。(※3)
全国でも大阪市や明石市など無料化を実施している。県内では滑川町・小川町など4町村が全額無料となっている。今年度は春日部市と熊谷市は第3子の無償化を始めた。昨年度はコロナ禍ということで、桶川市・行田市・蓮田市・富士見市など県内6市町が減免や一部補助を実施した。
給食費の無償化は子育て世代を応援するとともに、ほかのみなさんも言うとおり、子育て世代を呼び込み、市の人口増につながる施策である。
9月28日、「学校給食無料化をめざす上尾みんなの会」から、小中学校給食費の無料化を求める請願署名9,206筆が市長に届けられた。上尾市はこの9,206筆の一筆一筆に込められた市民の願いや思いをしっかりと受け止めるべきである。

(※1)資料として、埼玉県HP[埼玉の学校給食]があります。
同資料には、給食費の月平均額、調理方式(自校 or センター)、給食費徴収方法等のデータが掲載されています(平成30年度分)。

(※2)日本国憲法第26条
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
(※3)(文科省通達:学校給食費の法的根拠
「学校給食法第11条の規定は、経費の負担関係を明らかにしたものであるが、保護者の負担を軽減するために、設置者が学校給食費を予算に計上し、保護者に補助することを禁止した趣旨のものではない。」とあります。

賛成討論 津田賢伯議員(日本維新の会) 録画 1:29:30~
反対されている方々の論拠としては財源論がある。今、財源が苦しい中で(無償化を)やる必要があるのか、このコロナ禍からの脱出を最優先すべきではないのか、そういった主張がある。十分にそれは理解しているつもりである。
しかしながら、この上尾市をとりまく環境、上尾市の人口、数十年後には少子高齢化や人口減少などの理由で市としては消滅してしまう、市から町になってしまうといった未来が数十年後には予測されている。我々政治家としては、この消滅を出来る限り先に延ばすといった延命策が求められると考える。
「給食費に関しては、貧困家庭に対しては無償の援助をしております」という答弁があった。しかしながら、それは起こったことに対する対処療法といったものである。今我々に必要なのは、先手の攻め、そういった子育て支援策の目玉政策への転換が必要とされていると考える。この目玉政策の必要性は、コロナ禍からの脱出を凌ぐ、実は喫緊の課題ではないか、今すぐに着手しなければ手遅れになるのではないかと考える。
他市の例では、兵庫県明石市は中核市であるが、従前より子育て支援策に重点を置いてきた。医療費中学生までの無料、これは上尾市でもやっているが、給食費の無償化を数年前から取り組んでいる。(※1)
2021年7月からは、医療費の無償化を高校まで拡大するといった子育て支援策を重点的におこなっている。 その明石市においては、ここ5年間での人口増加が1万人を超えている。明石市の人口増加を見た隣の政令市である神戸市までもが子育て支援策を重点的にやっていくといった方針転換をするという、切磋琢磨の好循環が生まれているのである。
この例を見てもわかるとおり、子どもへの投資というものは、実は一番「割りの良い」投資である。自治体の大きな負担の先に必ず地域活性化、人口増、税収増という見返りがあると考える。
「受益者負担の原則から、保護者負担と考えている」と執行部から聞いたが、この「受益者負担」という考え方をもう少し拡大して、本案件に対して取り組んでいただければと思う。そして、埼玉県の他の自治体が躊躇している、実現できないでいる今こそが、決断の時であると考える。
給食は、まちの食堂で単にお金を払ってする食事ではない。子どもの未来を創り、上尾市の未来を豊かにしていく大切な事業、大切な投資であると捉えていただきたいと考える。そして我々選挙で選ばれる政治家には、行政職員ではできない決断をするといった使命が課されている。その決断に対して責任を果たすのがまた仕事である。
そして冒頭述べた財源論に対して反論するが、無償化にかかる追加の費用、必要な費用と、令和2年度の決算の繰越額・不用額を比較していただければ、この財源論に対しては反論できると考える。
先輩諸氏の反対に回っておられる方々のご決断を期待しつつ、賛成討論とする。

(※1)これについては、教育新聞の記事「来春から中学給食無償化 政令・中核市で全国初、明石市」があります。

 

以上のとおり、反対・賛成の討論がされ、15名の議員の賛成で、市民からの画期的な請願が採択されました。署名を集めたり、請願の意味を周囲に広めていった市民の方々に心から敬意を表します。

今後は、上尾市教育委員会(実務は学校保健課)が真剣に取り組むことを市民的視座から見ていく必要があります。