水泳授業の民間委託化に「前のめり」になる上尾市教育委員会

11月24日の上尾市教育委員会11月定例会を傍聴しました。
相変わらず「ツッコミどころ満載・しかも議論ゼロ」の定例会でした。
その中で「上尾市学校施設更新計画=学校統廃合計画」の中でもとりわけ上尾市教委が「前のめり」になっている「水泳授業の民間委託化」についての策定スケジュールが教育委員に示されました。
今記事では、このことについてお伝えします。

No.194

🔷プール整備方針の策定スケジュールとは
これは、11月8日の「上尾市学校施設更新計画基本計画調査特別委員会」(以下、「調査特別委員会」)を受け、教育委員会定例会で説明されたものです(最下部にカーソルを当てるとズーム機能あり。PC画面での閲覧を推奨します)。

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資料を見ると、「先進都市の民間委託による水泳授業の現状及び視察」の中で、「視察実施」が今年の11月・12月となっています。

※そもそも、「先進都市」という表現は適切なのでしょうか。「先進」とは、「発展の段階や進歩の度合が他より進むこと」という意味であることは自明です。反意語は「後進」ですから、上尾市は、プール指導の民間委託していないので「後進都市」ということになってしまいます。
このような、民間委託=先進 民間委託していない=後進 というような先入観を助長するような表現には疑問が生じます。

視察の対象市は桶川市・北本市・志木市となっていますが、ここでは、教育総務課長がいつものごとく「肩をゆすらせながら」名前を挙げた、北本市について見ていきます。

🔷北本市の水泳授業の民間委託化の実態
「水泳授業の民間委託化」をネット検索すると、現在の状況がある程度把握できます。どうやら、北本市が最初に水泳授業の民間委託化を開始したようです。

【資料❶】朝日新聞デジタル版(有料記事のため一部見られません)
(記事の概要)2019年5月27日、北本中学校の2年生186人(うち見学24人)が北本市のスウィン北本スイミングスクールのマイクロバスで学校から移動。スクールのインストラクターがプールに入って技術指導し、教諭らはプールサイドでの安全確認や生徒の評価と役割を分担した。
 スクールへの授業委託は、専門的な指導による泳力向上や、少子化の中での学校プールの維持管理費削減、天候に左右されない計画的な授業実施などを狙って今年度から始めた。

次の資料は「令和元年度 彩の国いち押しの取組事例発表会」というものです。自治体名は「北本市」、事業名は「学校水泳民間委託事業」となっており、おそらく、北本市が県で発表をした資料と思われます。
この中で、「成果」と「課題」について見てみましょう。

※ひとつ押さえておいていただきたいのは、こうした研究や実践の「発表」の際には、「成果(と思われるものを含む)」がことさら強調され、「課題」や「欠点(欠陥)」は過少に扱われる傾向があるということです。
上尾市で言えば、教育長&教育長職務代理者も「委嘱研究発表」に異常とも言えるほど執着していますが、研究発表に関わる職員は多大な負担が生じます。
以前、上平小(石塚昌夫校長:当時)の委嘱研究発表の際には、発表の前月に、なんと141時間余りの時間外勤務を余儀なくされた教職員がおり、市議会でもそのことについての質問がされました(当ブログ記事No.47参照)。
こうした実態は、当ブログを含め、誰かが指摘していかなければならないと私は考えています。

北本市で「課題」として挙げられている「市内他校への事業拡大」ですが、今年度は北本市内4校の中学校に事業拡大されているようです。

【資料❷】北本市立西中『学校だより2021年6月号』より
〇今年度の水泳授業について
今年度の保健体育の授業におけるプール指導については、北本市の水泳授業委託事業に伴い、民間施設(西中はセントラルスイミングスクール  ※注)での実施となります。実施日程等は以下のとおり予定しております。新型コロナウイルス感染症等の影響により日程等が変更になる場合があります。
1 学年  6 月 4・18 日 7 月9・16 日
1・2時間目  計4 回
2 学年  9 月3・10・17 日5・6 時間目
24日3・4時間目  計4 回
3 学年  9 月3・10・17 日3・4 時間目
24日5・6時間目  計4 回

(※注)セントラルウェルネス桶川北本のこと。北本西中からは、直線距離で約3kmあります。

🔷水泳授業の民間委託化に批判的な見解は?
こうした状況については、当然批判的な意見もあります。
学校プールの廃止や民間委託を進めていいのか? 体育指導の専門家が訴える「義務教育で学ぶべき水泳の力」】(東京新聞:子育て世代がつながる東京すくすく)
体育指導が専門の筑波大学附属小学校体育研究部の平川譲教諭は、主に次の点から、とりわけ小学校におけるプールの廃止や水泳授業の民間委託化に反対しています(以下、平川教諭の意見です)。

【プールの設置・管理は本来、自治体の義務】
コストの面で言うと、設置費だけでなく、水道代や消毒のための薬品代など管理費用もかかる。ただし、それを整える義務は本来、学校設置者である自治体にあり、きちんと義務教育の教育課程を完遂するのであれば、プールの設置は必要。
【年間10時間の水泳授業について】
年間10時間は、体育の全体の時数からみるとかなり大きい。小学校は105時間がベースで、学年により違いはあるが、その10%が水泳の授業。むしろ問題は、体育の授業時間の10%を使っても、水泳指導の成果が上げられていない学校やクラスが少なくないこと。
【国語や算数を塾に全部任せるか】
世の中全体にある「体育はそんなに大事じゃないよね」という認識もプール授業軽視の背景にあると思われる。国語や算数なら、塾の方が指導がいいから全部任せよう、とならないはず。
【移動時間が授業に食い込む】
体育専門の立場として心配するのは、移動時間が本来の授業時間に食い込むこと。民間のプールで水泳をして学校に戻ると、半日かかるという話も聞く。
また、移動時間がもったいないとなると、どうしても1回に2時間とか3時間とかたくさんやろうとする。でも、運動は40分とか45分の授業を何回もやる方が身に付き、技能が高まっていく。小分けにした方がいい。

🔷「民間委託ありき」の視察では?
今記事の冒頭で示した上尾市教委のスケジュールでは、どうしても今年度中に「先進?都市」を視察して、課題には目をつぶり、良さそうに見える点だけを抜き出して、「水泳授業の民間委託化」を急いで推し進めようとしているように見えます。
移動に要する時間や、教員とインストラクターとの連携や評価の問題など、議論すべき課題を無視して、「水泳授業の民間委託化」を強引にすすめることには、強く警戒していく必要があると思います。
12月までに「視察」とされていることから、年内に情報公開請求をおこない、この問題についての進捗状況を注意して見ていくつもりです。

投票は国民の権利であり尊重すべきですが、投票したい人がいない場合は…

11月28日は上尾市長選と市議補選が実施されます。
ですが、正直に言えば、市長選に関しては、積極的に「この人に投票しよう」と思える人がいないのです。また、市議補選に関しては、新聞報道では、2人が立候補の準備をすすめているということです。
今記事では、市長選に関連して思いついたことを書いていきます。

No.193

🔷公職選挙法における「無効投票」の扱い
私は選挙権を得てから、ただの一度も棄権したことはありません。
ただし、誰に投票してよいか選べずに、投票用紙に「該当者なし」と書いたことは今までに2回あります。では、「該当者なし」と記入するとどうなるのか、公職選挙法を見てみましょう。

公職選挙法第68条(無効投票)
衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙の投票については、次の各号のいずれかに該当するものは、無効とする。
一 所定の用紙を用いないもの
二 公職の候補者でない者又は第八十六条の八第一項、(中略)の規定により公職の候補者となることができない者の氏名を記載したもの
三 (略)
四 一投票中に二人以上の公職の候補者の氏名を記載したもの
五 (略)
六 公職の候補者の氏名のほか、他事を記載したもの。ただし、職業、身分、住所又は敬称の類を記入したものは、この限りでない。
七 公職の候補者の氏名を自書しないもの
八 公職の候補者の何人を記載したかを確認し難いもの

※(略)に興味のある方は、e-GOV 法令検索(公職選挙法)をご覧ください。

すなわち、「該当者なし」や「白票」は、公職選挙法第68号の八の「公職の候補者の何人(なんぴと)を記載したかを確認し難いもの」と扱われ、無効票となりますが、投票者総数にはカウントされます

前々記事で、弁護士の竪十萌子さんの発言「選挙の投票率を上げるには、(政治的判断が出来る)高い国民力が必要」を紹介しました。
それは全くその通りであり、学校でも主権者教育に取り組む必要があると思います。ですが、立候補者の選択肢が狭くなればなるほど、「この候補者しか出ていないのか」と思ってしまうことも否定できません。
選挙で投票するのは国民の権利であり、投票率が今よりももっと高くなっていかなければ、政治は良くならないでしょう。
それには、「この人に投票しよう」と納得させるだけの候補者が出ていることが条件になるのではないか、と考えてしまいます。

🔷候補者の実績や公約を見ると
では、今回の市長選の立候補者の掲げている実績や公約はどうなっているのでしょうか(新聞折込チラシを参照)。
ここでは、私なりの観点、すなわち、情報公開請求から判明した事実等に基づき、特に気になる点を見ていくことにします。

畠山稔候補
(新型コロナ実績)県保健所や医療機関との綿密な連携で自宅療養者を支援
県議会でも明らかになっているように、埼玉県の保健所は24保健所4支所から、政令市・中核市を合わせても17か所へと減らされてきました。
上尾でも、以前あった保健所が無くなりました。
畠山候補は県議の時に、この問題に対して質問や提言はしたのでしょうか。
(子育て世代が頑張れるまち)小中学校に通う第三子以降の給食費負担軽減
※これは9月議会での給食費無料化の請願が可決したことによると思われますが、いつから実施なのかが書かれていません。
先日私が情報公開請求した範囲では、学校保健課に特段の動きは無いことから、「来年度から実施する」など、明言すべき公約です
(誰もが納得できる老朽化する公共施設の再整備)学校施設の更新計画は一旦凍結し、再編案をゼロベースで見直し、良質な教育環境を実現
※先日の市議会「調査特別委員会」でも指摘されたように、「一旦凍結」の意味が不明確です。市長選が終わったら「凍結は解除します」という方針になるのではという不安は拭えません。しかも、「老朽化する公共施設の再整備」の項目に入っており、教育問題として捉えるという姿勢は見られません
深山孝候補
(チラシ表面)自民党との太いパイプにより国・県との強固な関係を築く。
※自民党との太いパイプは、どこにつながっているのでしょうか。許しがたい方言・失言・失政だらけの麻生・安倍・甘利とか?私からすれば真逆の世界です
(チラシ裏面)災害対策、医療の充実で、安心安全な生活を
※表面にある「新型コロナウイルス対策」が、チラシ裏面にはひと言も書いてありません。保健所の問題やブースター接種などの具体策は?
(チラシ裏面)情報公開と説明責任の徹底で、市民の理解を促進
※「情報公開」については、当ブログで何度も指摘しているとおり、上尾市情報公開条例に基づくべきです。その第1条では、「市民の知る権利を尊重し…市の保有する情報の一層の公開を図り、もって市の諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに、市政に対する市民の理解と信頼を深め、及び市民による市政の参加の充実を推進し、公正で開かれた市政の発展に寄与することを目的とする」とあります。したがって、「市民の理解を促進」というレベルではなく、市民が市政に参画するための情報公開条例が定められているのです

もうひとつ、私が注目したのは、畠山候補の「活動報告」の「8.スポーツ環境の整備」に記載されている「オリンピック聖火リレーを誘致し、全中学校にトーチの巡回展示」というところです。
このことについては、当ブログでも情報公開請求を通じて、独自に情報を入手し、批判的記事を投稿しました。
それがこちら(記事No.132)⇒「[市内中学校/聖火トーチ弾丸ツアー]言い出しっぺは市長&副市長だった!

無理やり強行したこの「聖火トーチ弾丸ツアー」、情報公開請求の結果開示された大石中の予定表によれば、「全校生徒が(聖火トーチを)各クラス1分で閲覧」となっていました。各クラス毎にわずか1分(60秒)見せたという事実については、果たして、これが誇るべき活動実績となるのでしょうか。甚だ疑問です。

現在私は、オリンピック関連で上尾市に別途情報公開請求をおこない、入手した資料の検証をしているところですが、市長といい、教育長といい、オリパラ関連イベントには並々ならぬ執着があるようです。

🔷どちらが市長になるにしても
私の場合、投票所に行くことは決まっていますが、投票用紙に何と書くかは、現時点での自分なりの「国民力」に基づき、これから考えます。
その際、畠山候補の公約の一つである「小中学校に通う第三子以降の給食費負担軽減
」、「学校施設の更新計画一旦凍結、再編案をゼロベースで見直し、良質な学校環境実現」、あるいは情報開示の結果判明した「無理やり強行された聖火トーチ弾丸ツアー」などのプラス面・マイナス面を考慮することになりますが、今回は3度目の「該当者なし」と記入するようになるかもしれません

市長選挙の結果がどうあろうと、当ブログでは、おかしいことはおかしいと指摘していきますし、
市民が市政に参画するため(上尾市情報公開条例第1条)」の手段としての情報公開制度を活用していくことには変わりはありません。もちろん、竪十萌子さんが指摘する「国民力」を自分自身もつけていくことは忘れないようにしていくつもりです。

上尾市教委の「小中一貫教育校の視察」の中身とは

上尾市9月議会の一般質問で、鈴木茂議員から小中一貫校についての見解を問われた池野教育長は「小中一貫校の設置については、先進都市の事例研究や視察の実施をおこなっている」と答弁しています。
今記事では、教育長答弁にある「視察」の内容と、「学校施設更新計画基本計画=学校統廃合計画」との関連性についてお伝えします。

No.192

🔷情報公開請求で入手した資料の検証
9月議会の教育長答弁にかかわって、「先進都市の事例研究と視察の実施」の内容についての情報公開請求しました。その結果入手したのは次の文書です(下部にズームあり。PC画面での閲覧推奨)。

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この文書と同時に開示された資料から、次のことが判明しました。

◎「先進都市」の事例研究と視察に関して
①視察先は春日部市(旧庄和町)の江戸川小中学校。
②視察日は2020年7月16日。視察職員は4名(指導課・学務課各1名ずつ。教育総務課2名)。
③江戸川小中学校は、2019年4月に、埼玉県内初の義務教育学校として開校している。

春日部市立江戸川小中学校は、2019年4月の開校にあたって学校名を募集し、一度は「江戸川学園」となった経緯がありますが、千葉県にある江戸川学園から校名の再考を求められ、現在の名称になったという「いわくつき」の学校です。

また、江戸川小中学校のHPから、次のことがわかります。

9年間をジュニア・ミドル・ハイに分けており、各学年のクラス数は全て1学級となっています。これを見る限り、「小学校最終学年の6年生としての自覚を育てる」などということはできません。

では、なぜこの学校を視察に選んだのでしょうか。
どうやら、江戸川小中学校を「反面教師」あるいは批判的に捉えて視察をしたというわけではないようです。
それは、「調査特別委員会」の席上で「自分としては義務教育学校が良いと思う」との池野教育長の発言と無縁ではないでしょう。
池野氏が「良いと思っている」学校を教育委員会事務局職員が視察したというのが実際のところだと考えられます。

🔷「更新計画基本計画」との矛盾
「上尾市学校施設更新計画基本計画=統廃合計画」の案について、すでに指摘されていることの一つに、「学校規模の適正化」があります。
以下は、「基本計画」に示されている上尾市教委の「適正な学校環境づくり」から引用したものです。

上尾市教委は、小・中学校とも、適正規模の基準は12学級から18学級であるとしています。ですから、もし「視察」するのであれば、全学年が1学級ずつの学校などではなく、自分たちが適正だと考えている学級数(12~18学級)の学校を視察すべきでしょう。

🔷視察に関して出た市教委の「本音」
視察に行った際に、市教委事務局職員は先方に【スクールバスについて】質問をしています。その内容も入手しましたので転記します。

(上尾市教委からの質問)【スクールバスについて】
スクールバスの運行ルートの決め方について、実際に走行する道路の状況や交通事情、さらに全児童が乗車でき、かつ長時間の乗車とならないようにルートを設定したとあるが、どのように道路の状況や交通事情を調査し、どのようにルートを設定したのかご教授ください(例:調査やルート設定は業者に業務委託した等)
(春日部市教委からの回答)【スクールバスについて】
スクールバスのルートについては、職員が実際に登下校時の時間帯に公用車で巡回し、道路状況を確認しました。その結果、学区内の道路状況(車両規制や細道が多いこと)から最大28人が乗車可能なマイクロバス2台で運行することにした。また、低学年の児童も乗車することから乗車時間を最大で30分程度になるよう検討した。さらに、児童の安全面を考慮し、自宅から概ね300メートル以内にバスの条項場所を設置することも検討した結果、現在のルートとなった。

これは、江戸川小中学校のスクールバス使用に関しての質問です。
ここで上尾市教委の「本音」が出ています。つまり、「調査やルート設定は業者に業務委託した」という前提での質問をしているのです。
「学校施設更新計画基本計画」では、上尾市教委自らが調査をしたり実務を担うことは少なく、様々なことについて外部の業者に業務委託をしているからこそ出てしまった質問と言えます。

🔷上尾市教委による「考察」
この「視察」のあとで、上尾市教委事務局は【スクールバス】についての「考察」を文書として残しています。私が入手した「考察」は以下のとおりです(下部にズームあり。PC画面での閲覧推奨)。

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画面が見にくい方のために、転記したものを次に示します。

考察(※上尾市教委事務局による)
スクールバスの運行について、平方東小学校と太平中学校の統合校から半径2キロ圏外の児童生徒は現状では約23人。
児童の安全確保のためにスクールバスの運行を検討した場合、上野本郷地区の道が狭いため、春日部市のように自宅から300m以内に乗降場所を設置するのではなく、わくわくランドなどある程度広いところに乗降場所を設けるほうが良いと考える。
わくわくランドから統合校までは片道約3キロ(車で約8分)であり、乗車時間は集合場所までの徒歩の時間を合わせても30分はかからない見込み。
統合校から一番遠い児童が乗降場所となるわくわくランドまでの距離は約1.2キロ(徒歩15分程度)であるため、わくわくランドまでの間にもう一つ乗降場所を設けたほうが良いと考える。(浦和実業高校のグランド駐車場を活用できないか要検討、浦和実業グランドから統合まで片道約3.9キロ(車で約11分))
春日部市のスクールバスの予算は以下の内容で1610万4千円
①運行バス台数 28人乗りマイクロバス2台
②運行予定日数220日
③運航路線 2コース各2路線 1日当たり60キロの走行予定
④1日の便数は登校1便、下校3便
⑤時刻表・ルートマップなどは年度毎に作成し保護者や発注者へ、学校に提供する(注:原文のまま)
※上尾の場合、運行路線とバス台数は減らしても良いかもしれない。

あたかも、上尾市でもすぐにでも実施するような書きぶりです。
この「視察」は昨年度実施したものであり、もちろん、地域説明会など開かれる前の段階ですが、これらの資料から、「調査等は業者まかせ」「地域へのていねいな説明等の軽視」の姿勢がうかがえます。

🔷教育委員はどのような観点で「視察」するのか
過日の「調査特別委員会」で、出席していた3名の教育委員がさかんに言っていたのは、「小中一貫校については、これから視察してから考える」ということです。
まさか同じ学校(江戸川小中学校)を「視察」するようなことはないと思いますが、どのような観点で「視察」をするつもりなのか、引き続き注意して見ていきたいと考えます。

🔷市民への情報公開は行政の当然の責務
今記事でお伝えした文書・資料については、私は情報公開請求で入手しました。
ところで、最近、情報公開制度についての「誤解」あるいは「制度についての無理解」ではないかと思われる市民の方の意見を目にしました。それは、「時間をかけて行政に余計な仕事を増やすことは望まない(ので情報公開請求しない)」というものです。
こうした意見の方には、ぜひ上尾市の情報公開条例を一読していただくことをおすすめします。条例の目的には次のようにあります。

上尾市情報公開条例(強調のために色替えあり)
(目的)
第1条
 この条例は、市民の知る権利を尊重し、行政文書の公開を請求する権利につき定めること等により、市の保有する情報の一層の公開を図り、もって市の諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに、市政に対する市民の理解と信頼を深め、及び市民による市政の参加の充実を推進し、公正で開かれた市政の発展に寄与することを目的とする。

すなわち、情報公開制度は、市民(住民)の「知る権利」を尊重するための手段なのです。
当然、上尾市の職員は、この条例の目的を意識したうえで日々の職務にあたっているはずです。
しかも、通常は情報公開請求の申請をしてから、約2週間経過したのち、「処分通知(公開・非公開の決定)」を手渡す日程の調整をする段取りとなっています。ですから、市の職員にとって「余計な仕事を増やす」という指摘は的外れもいいところです。私は、市の担当者にアポを取らずにいきなり市役所に行き、「話を聞かせてくれ」「資料を見せてくれ」という手段は避けています。
また、文献としては、浅野詠子『情報公開ですすめる自治体改革』(自治体研究所)があります。著者は「加工されていない書類を入手できることが、情報公開制度の最大の特徴といってもいい」と述べています。

今記事でお伝えした、上尾市教委の「小中一貫校」の視察の資料も、浅野氏の言う「加工されていない書類」です。こうした実際の文書や資料等から、上尾市や上尾市教育委員会の「不都合な真実」が浮かび上がってくると言えるでしょう。

竪十萌子さんの「憲法」の講演を聴いて

11月1日、弁護士の竪十萌子(たて・ともこ)さんの講演「憲法のこと知っていますか?」を聴きに行きました。衆院選挙開票の翌日というタイミングでしたが、あらためて憲法の大切さを学ぶことができた講演会でした。今記事では、このことについてお伝えします。

No.191

🔷わかりやすい竪十萌子さんの話
文化センターで開かれたこの「憲法のこと知っていますか?」という講演会について、私は『広報あげお 10月号』で知りました。
主催は「上尾市消費者団体連絡会」です。

講演会では、まず、レジメがとてもわかりやすいのに感心しました。
コロナ禍以後、私たちは毎日のようにTVのニュースやらネットで、様々な数字やグラフだのを見せられています。もちろん、それも大事なのでしょうが、竪十萌子さんのレジメを見て、「本質をつかむ」ことの大切さをあらためて教えられたような気がします。

たとえば、こんな感じです。

日本のあり方を決める人、日本の主役は?
A 国民   B 政治家  ⇒ (   )主権

衆議院選挙開票の翌日ということもあって、頭では国民主権ということはわかっているはずなのに、なんだか政治家が主役のように思わされていたことにハッとしました。

また、こういう設問もあります。
日本国憲法の存在意義は、国家権力を縛るための法律
(国民)の人権や自由を(国家権力)から守る役割を担う。

「憲法は権力者を抑制するために存在する」ということは、もちろん、頭ではわかっていることです。ですが、ともすれば忘れがちなこの原則を、たえず私たちは確認することが必要だとあらためて思いました。

🔷日本国憲法の「中身」とは
竪十萌子さんが強調した、憲法の中身をいくつか取り上げてみます。
どれも、講演のサブタイトル「みんなハッピーに暮らすには」につながっていくものです。

◎「個人」の尊厳ひとりひとりが大切にされる社会を

憲法第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

*みんなちがって、みんないい
*私も大切  あなたも大切
*私の幸せは私が決める

自民党の憲法草案との比較

現行憲法 自民党案
第13条: すべて国民は、個人として尊重される。(以下略) 第13条: 全て国民は、として尊重される。(以下略)

※反意語を考えてみる
「個人」 ⇔ 「全体」
「人」   ⇔ 「人でない」

つまり、「人」であることは当たり前であって、「個人」として尊重されることが重要なのです。

◎家族生活における個人の尊厳と両性の平等

憲法第24条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
② 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

※戦前の家制度=「男の支配」
※憲法24条=「家制度」=「男の支配」の否定=個人の尊厳
※「両性の合意で結婚」の意味は「家制度」の否定です。
ですから、同性婚も含まれると解釈すべき。

◎「生存権」と国の社会的使命

憲法第25条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

①憲法25条を具体化した法律は⇒(生活保護法)
②生活保護費は、近年下げられている。⇒国が、主権者である国民の価値を低く見た、ということ。
③子供の貧困率は13.5%(2018年)7人に1人
④日本社会の真ん中は245万円。相対的貧困基準は122万円。
(1997年には298万円と149万円だった)
⑤「文化的」とは、「人間らしい生活」ということ。
⑥高齢になると下げられる=どんどん貧しい国に。

◎義務教育は無償

憲法第26条
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

子どもたちが大切にされていない!
①義務教育は無償になっていますか?憲法違反では?
最高裁判決は「授業料のみ」
②義務教育は「小中学校のみ」とは書いていない。
⇒改憲はいらない。
③大学進学率57.9%(2018年 過去最高)
④奨学金 約2人に1人が借りている
⑤奨学金自己破産 過去5年で述べ1万5千人

🔷憲法「改正」の動き
竪十萌子さんの講演は、時間がいくらあっても足りない感じでしたが、憲法改正についての動きにも言及がありました。

(改憲したい人たち)
=9条に自衛隊を加えようという動きと緊急事態条項

*自衛隊の形
①災害対応(非武装)
②専守防衛=従来の政府解釈
③安保法制下=今の政府
④通常の軍隊=自民党改憲草案

*「緊急事態条項」は災害対応に本当に必要?No!
*災害が起きたら、誰に仕切ってほしいですか?
*災害対応に必要なのは、現場に権限を下すこと。
*そのための法整備はできている。
◎現場の人(職員等)に任せるのが最も良い。
⇒内閣ではありません。

改憲勢力の伸長には最大限警戒が必要

ここまで、竪十萌子さんの講演の一部を取り上げてきましたが、憲法を意識して暮らしていくことの重要性を再認識しました。
気になるのは、「改憲」をすすめていこうとする勢力の動きです。

🔷必要なのは私たちの「国民力」
最後に、参加者から、次のような質問がされました。

Q. 衆議院選も、投票率は低調で、国民は政治に関心が無いようにも見えます。どう考えたらよいですか?

これについての竪十萌子さんの回答は明快です。

A. 私たちひとりひとりが「高い国民力」を付けることに尽きます。
「国民力」とは、今、政治がどうなっているのかをきちんと把握し、国家権力に憲法を守らせることです。そうした国民を育てるためには、何よりも「教育」が重要です。

🔷本性をあらわした「維新」

竪十萌子さんの講演が終わってから数日経って、警戒すべきニュース(朝日新聞デジタル版)が
飛び込んできました。
「日本維新の会の松井代表(大阪市長)は2日の記者会見で、来年夏の参院選までに国会で憲法改正案をまとめ、参院選と同時に国民投票を実施すべきだとの考えを示した」というものです。

維新が衆議院選挙の結果を受けて、本性をあらわしたと言える動きであり、「自分たちは何でもできる」と勘違いしているとも言えます。
こうした動きに対しては、竪十萌子さんが力説した、「憲法は権力者を縛る法律である」ということを盾に、広範な人々の力で、何とか阻止していかなければならないと考えます。