「調査特別委員会」で露呈した、上尾市教育委員会の「不都合な真実」その1

10月12日の9時半より、上尾市議会の議場で「上尾市学校施設更新計画基本計画調査特別委員会」(以下、「調査特別委員会」)で《上尾市の教育の方向性について》参考人である教育委員からの意見聴取がありました(小池・谷島両教育委員は「仕事のため」と称して欠席)。

「調査特別委員会」を傍聴していてよく分かったのは、「逃げ」の教育長、「後付けの弁解」の教育委員、「自らの正当化に躍起」の教育委員会事務局、というそれぞれの「不都合な真実」です。
今記事では、その1として、教育長&教育委員についてお伝えします。

記事No.188

🔷「逃げ」の池野教育長
「調査特別委員会」冒頭、「教育長は公務のため11時半に退席する」旨が伝えられました。池野教育長は、8月23日の「調査特別委員会」も「公務」と称して中座しています。なお、8月23日の中座の件については、情報公開請求等から、次のことが明らかになっています。

(8月23日の「調査特別委員会」教育長途中退席の件)
*「調査特別委員会」が教育長に文書で伝えられたのは8月10日。そのあとで「県教育局幹部」が上尾市教委に来訪するということが決められたようである。
*しかしながら、教育総務課職員に確認したところ、「8月23日に県教委幹部が市教委に来たことは、教育総務課職員の誰も知らない」ことが判明した。
*県教委に確認したところ、「当日は、片桐雅之・市町村支援部副部長が教育行政用務で上尾市に出向いたようだが、時間と内容は不明」とのことである。

実に不可解な話です。普通に考えたら、県教委から上尾市教委に来訪するという予定があれば、当日「県教委幹部」が市教委に来たことを教育総務課職員が誰一人知らなかった、ということはないはずです。
同様に、10月12日の「公務のため」というのも、かなり怪しい話だと思います。議員のほぼ全員が集まっている「調査特別委員会」を中座するほどの重要な用件であれば、昼前の11時半という時間設定はしないでしょう。「議員の質問に答える重要な先約がある」ということで、「公務」を午後にするなどが常識的な対応ですが、この点でも非常識であり、結局は「逃げ」の姿勢が明らかになったと言えます(10月12日の「公務」の内容については情報公開請求を申請しています)。

🔷「このへんで勘弁していただけるとありがたい」
井上茂議員からの「基本計画巻末の再編案(学校統廃合案)も含め、教育委員会として決定したのではないか」との質問に、池野教育長は次のように答えています(要旨)。

(井上茂議員の質問への教育長答弁要旨) ※録画 1:14:40~
*教育委員会は独立した予算を持っているものでも何でもない。
*基本計画は「たたき台」である。
*井上議員の発言は正しい。確かに基本計画巻末の再編案も含め、教育委員会として決定した。そのとおりだと思う。
*決定したのは、教育委員会事務局の「とりあえずの案」である。
*総務省の総量抑制の考え方については、教育委員も個人的には意見を言っていた。私もその中に入って意見を言った。
*地域の中で「この学校が無くなったら困る」というのは、当然教育委員も言っていた。
*でも、(学校施設更新計画基本計画には)賛成した。
*決定したが、基本計画はあくまでも「案」である。
*教育委員がこの(基本計画)案を練ったわけではないので、このへんで勘弁いただけるとありがたい。
*他の自治体のことを言ってもしょうがない。
*事務局が市長部局と作った案について(反対するのは)言いづらかった。
*無責任と言われればそのとおり。

池野教育長は、終始「あの計画は教育委員会で決められる問題ではない」と言っています。挙句の果ては、「教育委員がこの基本計画案を練ったわけではないので、このへんでご勘弁を」とまで発言しています。
教育長は、議場を中座するだけでなく、「無責任を言われればそのとおり」などと開き直り、「逃げ」の態度に終始しています。

🔷「後付けの弁解」をする教育委員たち
録画を見ていて、中野・大塚・内田各教育委員のお歴々は、やたらと「第一次案」「素案」などと言っていますが、
果たしてそうした事実はあるのでしょうか。
今年になってからの教育委員会定例会の1月の会議録(9~13頁)3月の会議録(15頁)
4月の会議録(7~13頁)5月の会議録(6~18頁)を読み返しても、この「更新計画基本計画」が「第一次案」であるなどとは書いてありませんし、誰ひとり言っていません
それどころか、池田教育総務課長は次のように述べています。

2021年5月教育委員会定例会 会議録より
池田直隆 教育総務課長 :
「 議案第31号 上尾市学校施設更新計画基本計画の策定について 」でございます。 議案書については、9ページ をお願いいたします 。 提案理由でございますが、 新たな学校環境を必要とする取組に対応する施設整備と学校施設の老朽化状況を踏まえた学校施設の効率的・効果的なマネジメントを目指し、「持続可能な教育環境づくり」を推進するため、 上尾市学校施設更新計画基本計画を定めたいので、この案を提出する ものでございます。
基本計画については、これまで1月定例会からご協議いただき、市民コメントの実施を挟み、一部修正を加えて、前回の 4月の定例会において、継続の案件として協議をいただいたものでございます。そして、委員の 皆様からのご要望を受けて、過日実施させていただきました勉強会において、基本計画に対するご理解を深めていただいたものと存じます。本日提出いたしました計画は、5月17日に
庁内の検討組織である「上尾市個別施設管理基本計画等評価委員会」の承認を 経て、本日の議案提出したものでございまして、本日は策定に当たってのご審議をいただきたいと存じます。

この会議録にあるように、「学校施設更新計画基本計画案」は、教育委員会定例会で何度も協議を重ね、しかも、「勉強会で教育委員の理解を深めた」うえで提案されたものなのです。

すなわち、教育委員のお歴々が言うような「第一次案」などでは断じてありません学校統廃合を含む原案に教育委員は間違いなく、お得意の「全員一致・異議なし」で賛成したのが真実なのです。

🔷教育委員はなぜ地域説明会に出ないのか
「調査特別委員会」では、教育委員の3人とも、「地域の意見が大切」とか「地域の声を聞いて」などとさかんに発言していましたが、それでは教育委員の方たちにお聞きしたい。
なぜあなた方教育委員は、7月の地域説明会に(一般の参加者としてでも)出席して、地域の方たちの意見を聞こうとしなかったのですか?
何も、前のほうの席に座って、とは言いません。地域の参加者と一緒に座って、じっくりと地域の方の意見に耳を傾けることを何故しなかったのでしょうか。ここに教育委員の本質が現れていると私は思います。

🔷言葉の概念の変化を知らない教育委員
池田達生議員からは、教育委員が使っている「中一ギャップ」という言葉に関する質問がされました。

池田達生議員の質問要旨
*「学校施設更新計画基本計画」51頁に、県教委の「小中一貫教育について」という記述があるが、これは2014年の資料である。
その中で、「中一ギャップの解消」とあり、大塚委員も「中一ギャップ」という言葉を使っている。
*ところが、この資料の翌年(2015年)に文科省から出された生徒指導リーフレットには、「中一ギャップ」という言葉は、その信憑性からも、安易に使用してはならないとされている。また、国会でも同様の対応をしている。
これらのことについて、大塚教育委員は知っているか。

これについて、大塚教育委員は「知らなかった」旨答えています。
ただ、そのあとで「事務局から資料を見せられ、中学1年生で不登校が増加しているので」と言い訳をしていました。
しかしながら、これについても池田議員から「その数値も、すでに小学校時代から内在していて、中学で顕在化するのだから、小学校時代の指導が大切である」と指摘されました。
池田議員指摘の資料は → 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」
ですが、そこには、次の記述があります。

国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」
「 中 1 ギャップ 」 という用語の問題点
*「中 1 ギャップ」という語に明確な定義はなく、その前提となっている事実認識(いじめ・不登校の急増)も客観的事実とは言い切れない。
「中 1 ギャップ」に限らず、便利な用語を安易に用いることで思考を停止し、根拠を確認しないままの議論を進めたり広めたりしてはならない。
【いじめは、中1で急増するのか?】
*学校が報告する 「問題行動等調査」 の結果(認知件数)からは中 1 でいじめが急増するように見えますが、児童生徒対象の質問紙調査の結果からは異なる実態が見えてきます。
*「中 1 ギャップ」 の語は、 「問題行動等調査」 の結果を学年別に見ると、小6から中1でいじめや不登校の数が急増するように見えることから使われ始め、今では小中学校間の接続の問題全般に「便利に」用いられています。しかし、いじめが中1で急増するという当初の認識が正しいのか、不登校の中1での増加にしても 「ギャップ」 と呼ぶほどの変化なのかについては、慎重であるべきです。なぜなら、必ずしも実態を表現しているとは言い切れないからです。
*とりわけ、その語感から、中1になる段階で突然何かが起きるかのようなイメージや、学校制度の違いという外的要因が種々の問題の主原因であるかのようなイメージを抱くと、問題の本質や所在を見誤り、間違った対応をしかねません。
 便利な用語を用いることで、目の前で起きている問題を理解した気になっては
なりません。実際に何が起きているのかを冷静に捉えることから始めましょう。

大塚委員は「中一ギャップ」の概念がどう変化しているのかについて、教育委員として自らリサーチをするという姿勢ではないと言えます。

長くなりましたが、今回はここまで。この続きは次回お伝えします。