「いじめ認定」が調査委員のメンバー構成によって変わった桶川市の例

上尾市立中学校で起きた「いじめ問題」については、「上尾市いじめ問題調査委員会」から出された『調査報告書』の公表により、教育委員会や学校の対応の拙さが浮き彫りになっています。当ブログでは、被害者側の『所見』で述べられた要望などが今後どのように扱われるのかについて高い関心を寄せています。

今記事では、お隣の桶川市における「いじめ問題調査(&再調査)委員会」のあり方(とりわけ調査委員の属性など)を確認し、いじめ事案を調査する委員の人選がいかに重要であるかを考えていきます。

No.290

🔸現在公表されている資料だけでは分からない事実
当ブログで記事として取り上げている「いじめ事案」の問題点と、桶川市のケースとは事情が異なります。共通しているのは、「いじめ問題調査員会」(再調査委員会ではない点に注意)が報告書を提出し、それに対して被害者側が『所見』を明らかにしているという点です。

桶川市のケースでは、その後、被害者側から『要望書』が出され、それを受けて「いじめ問題調査委員会」が立ち上げられました。

以上については、次のように整理できます。
現在、桶川市のHPでは上記の表最下部にある「いじめ問題再調査委員会」の『再調査報告書』が期間限定で掲載されています。
しかしながら、問題の本質を捉えるには、それまでに公表された「調査委員会」の報告書や被害者側の『所見』も確認する必要があります

その意味で『報告書(委員名等を含む)』や『所見』が、現在は桶川市のHPで閲覧できないのは、桶川市の姿勢が問われるべきと言えるでしょう。

🔸消された『所見』に書かれていたこと
当ブログでは、国立国会図書館ウェブリサーチの機能を使い、削除された『桶川市立中学校いじめに関する調査報告書(令和3年6月)』と被害者側の『所見』を復元しました。
上記表の中の「現在はwebで閲覧できない」となっているものです。

ここでは、桶川での事案の被害者側の『所見』の冒頭部分を見てみましょう。

いかがでしょうか。『報告書』を読んだ被害生徒の感想、すなわち、

ここで書かれていることは、私のことですか?おじさんとおばさんの妄想としか思えません

は、極めて率直に被害生徒の心の内を吐露しているものと思われます。

🔸桶川における「調査委員」と「再調査委員」の違いとは
これについては、以下のように整理してみました。
「調査委員会」と「再調査委員会の」委員の差は、ただ1点。
「学校経営経験者=元校長」が含まれているか否か、ということなのです。
いじめ問題の調査委員は、それぞれの専門家です。ですが、こと学校現場の話になると、元校長の発言力は強くなると考えられます。
そうしたことを背景に、調査委員会の議論にミスリードがあったのではないでしょうか。
それが被害生徒にとっては「おじさんとおばさんの妄想」と言えるものになったと考えられます。

🔸「認定困難事実」がひっくり返った
調査報告書』では、P17~p20にわたり、「認定困難事実」が羅列されています。すなわち、「生徒Aが主張する複数のいじめについて、以下の事実は、証拠上明らかではなく、または、生徒Aの主張と相反する証拠が存在することなどから、具体的な事実認定をすることまではできない」と記述されています。

しかしながら、「調査委員会」では「認定困難事実」とされた行為が、「再調査委員会」では「いじめと認定できる」に変わっているのです。
つまり、調査(再調査)委員の「構成」(今回で言えば「元校長」が調査委員に入っているか否か)と「判断」によって、「いじめ認定」の尺度が変わってしまう、ということが桶川市の「いじめ問題」の特徴であると言えます。

🔸再度、被害者側の『所見』から
今記事冒頭で紹介した桶川市中学校(「再調査報告書」では学校名が具体的に示されています)の被害者生徒のご両親による『所見』の記述をもう一度見てみましょう。

「人の命と人生を蔑ろにしている当該中学校の先生方、教育委員会、調査委員会に激しい憤りを感じます」

この言葉を、調査委員会のメンバーをどう受け止めたでしょうか。
結局、桶川市のケースでは、代理人を通じて『所見』が出された後、代理人を通じずに直接被害生徒および保護者から『要望書』が市長あてに出され、それを受けて「再調査委員会」が立ち上げられました。

🔸近々の内に上尾市長・教育委員会への情報公開請求の結果が
前記事でお伝えした情報公開請求の結果(33項目あります)は、近々判明すると思われます。
ひとつひとつの開示請求は大変重要なものばかりですので、担当職員との面談も時間を要すると考えられます。
結果については、当ブログでお伝えしていきます。

 

🔸蛇足(個人的なことですが、みなさんも要注意)
最後に、個人的なことで恐縮です。
4,5日前から発熱があり、自宅から近い医院(いわゆるかかりつけ医)に診察を受けに行ったのですが、受付で「平熱ですよね?」と聞かれました。「いえ、38℃くらいあるのですが」と答えると、何と診察を拒否されてしまいました。平熱以外の患者は診ない、というのです。その時気づいたのですが、待合室に患者さんがほとんどいないのです。
おそらく、私と同じように診察拒否をされた方もいらっしゃるのだと思います。
市販のコロナ検査キットでは陰性と出ましたが、発熱は数日続き、やっと今日あたり元に戻ってきたような気がします。
「かかりつけ医でも、あまりあてにならない」ことを実感したしだいです。
みなさんもお体をお大事になさってください。