市内各中学校長には、現状の《決定的矛盾》の説明責任があるのでは?

前記事の続きです。今記事では、情報公開請求により入手した中学校の教員の勤務実態と、勤務時間や休憩時間を無視するような「部活動顧問」を決定する校長の実態などについてお伝えします。そのことも含めて、「教員の働き方改革」について考えていきます。

No.335

🔸今記事で明らかにする点
今記事では、
①上尾市内中学校における教員の勤務時間
②「部活動顧問」は校長の職務命令なのか
③平日の部活動の時間と教員の勤務時間終了時刻との関連
以上について、情報公開請求等で入手した資料等に基づき、明らかにしていきます。

🔸①上尾市内中学校における教員の勤務時間は?
情報公開請求の結果、市内すべての中学校で、教員の勤務時間は
8:15 ~ 16:45 となっています。
「休憩時間」は、各校まちまちですが、長期休暇(夏休みなど)以外は、昼に20分・夕方に25分など、分割しているのが特徴です(自由に利用できるのが休憩時間の本旨ですが、後述するように、部活動の時間と休憩時間がダブるなど、実際には休憩が取れるようになっていません)。

(具体例:市内のある中学校における教員の勤務時間の割り振り)

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「勤務終了時刻」が 16:45 と明示されていることに要注目です。
つまり、「教員は、
16:45 になれば、退勤できる」ということであり、教員の勤務時間や「働き方改革」に言及する際には、このことが基本であることを忘れてはなりません。

🔸②「部活動顧問」は校長の職務命令なのか
情報公開請求により、各学校の年度当初の職員会議の際に「部活動顧問」が示されていることが分かりました。
(ある中学校の年度当初職員会議資料「令和6年度 部活動顧問」)
※教員名は消してあります。

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このように、年度当初の職員会議で部活動顧問が示されるのは、どの中学校でも共通です。以前は(かなり前ですが)「職員会議は最終的な議決機関であるか否か」の議論がありましたが、管理体制の強化とともに「職員会議」の位置づけが実質的に校長主導となってきました。「上尾市学校管理規則」は次のように定められています。


つまり、各中学校の「部活動顧問」は、職員会議で「職員の意見を聴く」ことがあっても、実際には「校務に関する決定」の一つとして扱われているのです。
したがって、「校長の職務命令」により「部活動顧問」が決められていると言えます。

🔸③平日の部活動の時間と教員の勤務時間終了時刻との関連
次の資料は、ある中学校の陸上部の昨年9月の活動状況です。

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この中学校の「休憩時間(分割された夕方の分)」は、15:55~16:15 とされています。
また、平日の部活動終了時刻の大半は 18:00 となっています。
以上のことを念頭にこの中学校の陸上部の活動状況を見ると、「定められた休憩時間は有名無実となっている」「顧問は16:45 には退勤できていない」ことは明らかです。
また、部活終了時刻が 18:00 だとしても、顧問は 18:00 ちょうどに退勤しているわけではないでしょう(実態としてはその後教材研究や事務作業が待っている)。

🔸事実関係を整理すると
以上のとおり、情報公開請求で入手した資料に基づき、事実関係を整理すると、次の結論となります。
「市内のどこの中学校の教員でも、16:45 に退勤できる」
(にもかかわらず、次の実態がある)
「校長は、年度当初に部活動顧問を命じている」
「平日、部活動顧問として生徒の活動を見ると、教員の休憩時間が無視されるばかりか、定められた退勤時刻(16:45)に退勤できないことが多い」

🔸上記事実についての各学校での扱いは
以上のように事実関係を整理できましたが、各中学校ではどのように扱われているのでしょうか。情報公開請求した結果は以下のとおりです。

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このとおり、平日の部活動の際、「休憩時間をどうするか」や、「退勤時刻になったらどうするのか」についても、どの中学校も文書で明示されていないのです。
これは中学校教員の「働き方改革」をすすめるうえでの、根本的な問題です。すなわち、
「退勤時刻を過ぎての平日の部活動のあり方を根本的に再考する」
「教員の休憩時間を保証する」
「退勤時刻になれば堂々と帰れる」
ことが必要なのです。

🔸問題はまだまだあります
今記事では、中学校の部活動顧問の勤務について、校長の無責任さにより「休憩時間や退勤時刻が無視されている」実態などについてお伝えしました。
教員の働き方改革をめぐっては、今記事で取り上げた他にも、「上尾市立学校教育職員の業務量の適切な管理等に関する規則」の問題点や、「部活動の地域移行」にかかわる問題点もあります。それらについても、当ブログでは記事として取り上げていきたいと考えています。

“市内各中学校長には、現状の《決定的矛盾》の説明責任があるのでは?” への2件の返信

  1. 「上尾市立中学校に係る部活動の方針」の4ページに活動時間が書かれており、4月から新人大会までは午後6時となっています。

    教育委員会が設定したこの午後6時という時間は「下校時刻の限度」と明記しており、活動終了時間ではありません。

    中学校が教育委員会に提出した活動計画では予定・実績ともに終了時間が午後6時となっており、下校時刻はその20〜30分後だと考えられ「部活動の方針」に違反していることになります。

    そのことを全く指摘しない教育委員会は、働き方改革に本気で取組む気がないと断じざるをえないと思います。

    1. コメント、ありがとうございます。

      確かに、上尾市教育委員会の作成した「方針」は、「教員のただ働き」を前提として作成されていますね。
      労基法にも違反し、矛盾が顕在化しているにもかかわらず、教員の勤務時間を無視して作られた方針は、それ自体が自己矛盾の証左であると考えられます。
      当ブログでは、引き続きこの問題について深掘りしていくつもりです。

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