上尾市教育委員会による「いじめ問題調査委員」委嘱での致命的な誤り

上尾市内の中学校で起きた[いじめ重大事態]については、「上尾市いじめ問題調査委員会」から『調査報告書』が公表されています。
一方、昨年12月の市議会では、『調査報告書』は多くの不備があることから[いじめ重大事態]についての「再調査」を求める趣旨の請願が採択されました。

『調査報告書』を発出した「いじめ問題調査委員会」ですが、その委員の選出については、以前から当ブログで問題点を指摘してきました。
今回、上尾市教育委員会が「いじめ問題調査委員」を委嘱することに関し、致命的な誤りを犯していたことが明らかになりました。今記事ではこのことについてお伝えします。

No.310

🔸いじめ問題調査委員「委嘱」に関し明らかになったこと
上尾市教育委員会(担当は指導課)が「いじめ問題調査委員」を「委嘱」するにあたり、新たに明らかになった事実は次のとおりです。

①「いじめ問題調査委員会」は教育委員会におかれる附属機関であること。
②上記附属機関を組織する委員の任免は「教育委員会決裁」を経なければならないこと。
③「いじめ問題調査委員会」の委員の委嘱については、教育委員会定例会の議案となったことが一度もないこと。

では、それぞれの事実関係について検証します。

①教育委員会の附属機関とは?
このことについては、上尾市教育委員会事務局の教育総務課に教えてもらいました。

市教委教育総務課の回答 (2024.01.24  メールによる回答
教育委員会の附属機関は、以下のとおりです。

・不登校対策推進委員会
・社会教育委員
・公民館運営審議会
・図書館協議会
・上尾市立小・中学校通学区域審議会
・学校運営協議会
・スポーツ推進審議会
・人権教育集会所運営委員会
・人権教育推進協議会
・いじめ問題対策連絡協議会
・いじめ問題調査委員会
・幼児教育推進協議会
・就学支援委員会
・上尾市立中学校部活動地域移行推進協議会
・文化財保護審議会
・上尾の摘田・畑作用具保存活用検討委員会
・学校給食運営委員会

以上、回答といたします。

問い合わせたところ、現在は教育委員会の附属機関は全部で17あり、「いじめ問題調査委員会」が教育委員会の附属機関であることがわかりました。

②附属機関の委員の任免は教育委員会決裁を経なければならない
「上尾市教育委員会の権限に属する事務の決裁に関する規程」では、次のように定められています。

この規程により、教育委員会の附属機関である「いじめ問題調査委員会」の委員の委嘱については「教育委員会決裁」を経る必要があることがわかります。
「教育委員会決裁」を経るということは、教育委員会定例会・臨時会での議案として審議されなければならないということです。

③「いじめ問題調査委員」の委嘱は定例会の議案となったことがない
教育委員会の附属機関の員の委嘱・任命について、「教育委員会定例(臨時)会」で審議された時期や採択状況、委員の任期等について整理してみました。

教育委員会の附属機関(17機関)のうち、「いじめ問題調査委員会」と「いじめ問題対策連絡協議会」の2つだけが、委員の委嘱・任命について議案となっていない(=審議されていない)ことがわかります。

🔸「必要不可欠」である手続きを経ていない「委員」
以上検証したとおり、現在「いじめ問題調査委員会」の委員と称される方たち5名については、議案として教育委員会定例会にかけられることなく、調査委員会の委員として「委嘱」されたことになります。
このことは、手続き上からも「致命的な瑕疵(※)があり、現委員は委員としての必要不可欠な要件に欠けていると言わざるを得ません。
(※)「瑕疵(かし)」=ここでは「あやまち」のこと。

なお、「いじめ問題対策連絡協議会」委員も同様に教育委員会の決裁を経ていませんが、当ブログでは、当面「いじめ問題調査委員」に焦点を当てていきます。

🔸『いじめの重大事態の調査に関するガイドライン』にも抵触
現行の「いじめ問題調査委員」に関しては、上記以外にも問題があります。
文科省が発出している『いじめの重大事態の調査に関するガイドライン』には、次のように示されています。
では、現行の委員についての「推薦状況」についてはどうでしょうか。
情報公開請求した結果がこちらです。
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このとおり、現在の「いじめ問題調査委員」の就任にあたっては、各種団体・機関等(例:弁護士会など)に推薦依頼をしているわけではないのです。

🔸市教委の杜撰なやり方には「住民監査請求」で
このように一つ一つ検証をしてみると、「いじめ問題調査委員」の「委嘱」については、手続き上の致命的な瑕疵を含め、極めて杜撰であると言えます。
すでに各委員には報酬等が支払われていることから、当ブログでは住民監査請求を起こす必要があると考えています。
詳細については、次回以降の記事でお伝えします。