授業をしない教諭=拠点校指導教員(初任者研修対応)の「不可解さ」

学校教育法で「必置義務」が課されている「教諭」。
その職務は「児童(生徒)の教育をつかさどる。」と定められています。
ですが、学校に勤務しているにもかかわらず、授業をしない「教諭」がいるのです。
それは「拠点校指導教員」と呼ばれる人たちです
今記事では、不可解な「拠点校指導教員」の役割や人選などについてお伝えします。

No.309

🔸基本的事項の整理
冒頭で「拠点校指導教員」について少し触れましたが、今記事の基本的な事項や用語等(小・中学校関係)を整理します。

基本的事項・用語など 説明(令和5年度 埼玉県教委資料による)
初任教員(養護教員を除く) 新採用(本採用)1年目の教員。職名は「教諭」
初任者研修(一部除外あり=他県での経験者など) *教育公務員特例法第23条による研修
*学校研修=週5時間以上、年間150時間以上

*機関研修=年間14日
学校研修の「指導教員」 *学校内の教頭・主幹教諭・教諭が担当する。
学校研修の「教科指導教員」 *初任者の所属する学校または近隣の学校の教頭・主幹教諭・教諭が担当する。
「拠点校指導教員」
職名は「教諭」である
*初任者の所属する学校において、月3日以上、初任者の指導及び助言にあたる(上尾市では、7名全員が元校長の再任用者)。
*職名は全員が「教諭」。「拠点校指導教員」は職名ではない
*「拠点校指導教員」は、ひとつの学校(=拠点校)に属し、他の学校(=兼務校)にも出向いて初任者を指導する。

 🔸「学校教育法」の条文をどう読むか
次に、今記事に関連する「学校教育法」の条文を見てみましょう。

学校教育法第37条(37条は小学校についての条文。中学校は49条)
小学校には、校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。
② 小学校には、前項に規定するもののほか、副校長、主幹教諭、指導教諭、栄養教諭その他必要な職員を置くことができる。
(中略)
⑪ 教諭は、児童(または生徒[=49条])の教育をつかさどる。

 この条文から、校長・教頭・教諭・養護教諭・事務職員は学校に必置の職員であることが読み取れます。なお、上記に書かれている「副校長」・「指導教諭」については、埼玉県では置かれていません

今記事で焦点を当てるのはです。
「教諭は、児童(生徒)の教育をつかさどる」と明示されています。
この条文の解釈としては[『逐条 学校教育法』学陽書房、2023年]が参考になります。
それによれば、以下のように解説されています。

学校教育法第37条 の解釈
教諭は児童(生徒)の教育をつかさどることをその職務の特質とするものであるが、その職務はこれのみに限定されるものではなく、教育活動以外の学校の管理運営に必要な校務も学校の所属職員である教諭等の職務とされている。

ここで解説されているのは、教諭の職務の特質は「児童・生徒の教育をつかさどる」ことにあり、付随して所属学校内の分掌(=校務分掌)も職務である、ということなのです。
ですから、教諭の職務は「児童・生徒の教育をつかさどる(つまり、授業)」が前提となっているということになります。

🔸授業をしない教諭=「拠点校指導教員」の不可解さ
以上のとおり、「教諭」であれば、授業をするのが前提となっています。
ですが、
「初任者研修の指導者」として配置されている教諭である「拠点校指導教員」は、授業をしていません。このことについては、情報公開請求を通じて、上尾市の教育センターに確認をしました。上尾市の拠点校指導教員の配置状況は以下のとおりです。

この表はイニシャルで表示しましたが、情報公開請求で入手した資料は全て実名で公開されます。目につくのは、「拠点校指導教員」として配置されているのは「元校長」ばかり7名である、という点です。
「元校長」が再任用の職種として希望していると思われますが、不可解な人選であるとも言えます。「本当に初任者にとって有益な研修になっているのだろうか?」という疑問も生じてきます。

🔸評価制度の例示では「示範授業」が入っているが?
埼玉県教育委員会が県費負担の教職員を対象におこなっている「評価制度」。
「拠点校指導教員」についても、「評価領域及び行動プロセスに関する着眼点」が示されています。
「教諭なのに授業をしないのか」という疑問が生じたため、「示範授業」に着目して、情報公開請求しました。以下はその結果です。

結果は「文書不存在により非公開」でした。担当である市の教育センター職員にも確認しましたが、「拠点校指導教員」が自ら示範授業を初任者に見せるということは、おこなわれていないことがわかりました。

🔸「初任者研修」で教えていないこと
情報公開請求を通じて、市と県の初任者研修担当者に確認したことですが、次のことも明らかになっています。
[学校研修・機関研修で初任者に教えていないこと]
*「学校教育法」についての解説(とりわけ、今記事で言及した37条関連)
*「給料」・「給料表」・「諸手当」などについて
*税金・社会保険について
*就学援助制度について
*保護者負担金についての考え方
まだあると思いますが、「基本的なこと」について教えていない(教えることができない、とも言えますが)のではないでしょうか。

🔸「初任者研修」は負担になっていないか
今記事では、「初任者研修」の担当となっている「拠点校指導教員」の職名が「教諭」であること、「教諭」は学校教育法で授業をすることになっていること、上尾市における「拠点校指導教員」の不可解な実態などについてお伝えしてきました。
この問題については、情報公開請求や問い合わせ等で、市教委や県教委の担当者とも何度か話をしましたが、
*「拠点校指導教員」は職名ではないこと。
*「教諭」の職務は学校教育法に定められていることがすべてである。
市・県の担当者からは、以上についての反論や異論はありませんでした。
つまり、実態として「違法状態」に置かれているという指摘をすることができます。

教員の「初任者研修」については、次のような問題もあります。
*新任者にとって、「初任者研修」が負担になっているのではないか。
*臨時的任用者(非正規教員)でありながらクラス担任となる場合も多いが、「初任者研修」の対象外となってしまう。初めて臨時的任用者になる教員へのサポートの問題。
当ブログでは、これらの問題についても、今後とも関心を寄せていきます。

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