[住民監査請求]の「請求人陳述」は2月13日(市HP掲載済)。
前記事でお伝えした「住民監査請求」が受理されました。
監査委員事務局が付けた案件名は「いじめ問題調査委員会委員の報酬および費用弁償の返還に関する措置請求」です。
今回の住民監査請求は、「上尾市いじめ問題調査委員会」の「各委員の委嘱」について、必要不可欠な手続きである「教育委員会決裁」を経ていないことが明らかになったことによるものです。
この事実は教育行政として致命的な瑕疵(かし=あやまち)であり、「いじめ問題調査委員」と称される方たちにすでに支払われた報酬や費用弁償(旅費相当)は「不当な支出」と言えます。なお、地方自治法により、監査の対象期間は過去1年間分としました。
今記事では、私(当ブログ館主)が提出した「住民監査請求=上尾市職員措置請求書」の内容と、市のHPに掲載された「請求人の陳述」についてお伝えします。
No.311
🔸「住民監査請求(上尾市職員措置請求書)」の内容
住民監査請求とは、不法・不当な公金が支出されていることについて監査を請求するという趣旨であることから、「上尾市職員措置請求書」を提出する必要があります。
私が提出した「上尾市職員措置請求書」は次のとおりです。
上尾市職員措置請求書 |
1.請求の要旨 ※文中の[①],[②]…は、事実証明書の[ ]数字と一致します。 |
(1)上尾市内のある中学校で、「いじめ重大事態」により被害を受けた生徒が、3年生の後半から一度も登校できずに卒業せざるを得なかったという、極めて深刻かつ重大な事案が起きました。 この「いじめ重大事態」について、令和5年7月に「上尾市いじめ問題調査委員会」[①] から『調査報告書』が公表されました。 しかしながら、昨年12月の上尾市議会において、当該『調査報告書』については多くの不備があるとの理由から、「いじめ重大事態」についての「再調査」を求める趣旨の『請願第27号/上尾市いじめ問題調査委員会 調査に関する請願』が採択されました。つまり、「いじめ問題調査委員会」の調査は多くの不備があるとの指摘を市議会が認めたということになります。 |
[上記にかかる事実証明書]
[①]=上尾市いじめ問題対策連絡協議会の設置に関する条例
(いじめ問題調査委員会については第3章 第11条~第18条に記載)
(2)上述の「上尾市いじめ問題調査委員会」の委員の就任の要件や経緯について請求人が調べたところ、「法律、条例又は教育委員会規則の定めるところにより教育委員会におかれる附属機関を組織する委員の任免を行うこと」は教育委員会決裁を要する事項とされています。[②] 上尾市教育委員会教育総務課に確認したところ「いじめ問題調査委員会」は教育委員会の附属機関であるとの教示を受けました。[③] |
[上記にかかる事実証明書]
[②]=「上尾市教育委員会の権限に属する事務の決裁に関する規程」
(引用した事項については監査請求対象期間中の改正は無し
[③]=前記事掲載の教育総務課からの回答(17の附属機関)
(3)前項で教示を受けた付属機関の委員の委嘱又は任命については、教育委員会決裁を要する事項であるため、教育委員会定例会の議案となっています。例示した令和5年上尾市教育委員会4月定例会では、4件の議案が審議されています。[④] たとえば、議案21号では「上尾市幼児教育推進協議会委員の委嘱又は任命について」が審議されています。[⑤] |
[上記にかかる事実証明書]
[④]=「令和5年 上尾市教育委員会4月定例会の結果概要について」
(附属機関の委員の委嘱・任命は教育委員会定例会の議案となります。また、「委嘱」と「任命」の差異は、それぞれの条例によります)
[⑤]=「上尾市幼児教育推進協議会委員の委嘱又は任命について」
(上記[④]の議案第21号文書)
(4)一方、請求人が情報公開請求で入手した「委嘱書」には、「いじめ問題調査委員会」の5名の委員の任期は、それぞれ令和4年4月1日~令和6年3月31日であると記されています。[⑥] ところが、令和3年1月~令和5年12月までに開催された教育委員会定例会・臨時会において、「いじめ問題調査委員会」の委員の委嘱については、議案はおろか報告事項にもなっていません。[⑦] すなわち、先に述べたとおり、「教育委員会におかれる附属機関を組織する委員の任免を行うこと」は教育委員会決裁を要するにもかかわらず、必要な決裁を経ていません。 したがって、現在の「いじめ問題調査委員会」の委員の就任については、重大な手続き上の瑕疵があると言わざるを得ません。 |
[上記にかかる事実証明書]
[⑥]=「委員」と称される方への「委嘱書」
[⑦]=附属機関委員等委嘱・任命の状況
(2021(R3)年1月~2023(R5)年12月までの状況)
(5)文科省の『いじめの重大事態の調査に関するガイドライン』では、いじめ重大事態の調査組織は「当該いじめの事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者(第三者)について、職能団体や大学、学会からの推薦等により参加を図るよう努めるものとする」とされているにもかかわらず、令和4年度の委員就任に向けての所属団体(埼玉弁護士会など)への推薦依頼は全く行われておらず、この点からも委員の選任については極めて杜撰であったことが判明しました。 [⑧・⑨] |
[上記にかかる事実証明書]
[⑧]=文科省『いじめの重大事態の調査に関するガイドライン』より引用
[⑨]=上教指第2316-2号文書「行政文書非公開決定通知書」
(令和4年度の各委員就任にあたり、各種団体・機関等に推薦依頼を発出したことが判別できる文書・資料等は不存在であることの証拠書類)
(6)以上の事実から、上述の『調査報告書』を発出した「上尾市いじめ問題調査委員会」の委員の就任にあたっては、その経緯に見過ごせない瑕疵が認められ、「いじめ問題調査委員」としての正当性が無いことから、すでに支払われた過去1年分の「いじめ問題調査委員」としての報酬および費用弁償の返還を求めるものです。 |
[返還を求める金額] |
現在「上尾市いじめ問題調査委員」と称される方たちの名簿は事実証明書[⑩]のとおりです。 返還を求める金額は、5名分 計 ¥420,000- となります(内訳は事実証明書[⑪]) |
2.請求者 住所・氏名
上記のとおり、地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。 |
2024(令和6)年 1月 30日
上尾市監査委員 様 |
[上記にかかる事実証明書]
[⑩]=『調査報告書』に掲載されている名簿
[⑪]=上尾市いじめ問題調査委員に支払済の報酬・費用弁償内訳
(過去1年分=R5.2.2~R5.7.18分)
※これらの事実証明書については、情報公開請求で入手あるいはHP等で公表されている資料等で、今回の住民監査請求の裏付けになるものです。
🔸「請求人の陳述」は2月13日(火)10:00から
すでに上尾市のHP「会議の公開・情報公開」メニューに掲載されています。
(監査委員事務局のページに飛びます)
日時:令和6年2月13日(火曜日) 午前10時から
場所:市役所 議会棟4階 第3委員会室 請求の要旨:いじめ問題調査委員会委員の報酬および費用弁償の返還に関する措置請求 その他:公開にて行います。傍聴人の定員は10名です。(先着順) |
所要時間は約30分程度です。
監査委員から請求人に質問はできますが、請求人から監査委員に質問はできません。
興味関心のある方で、時間の許す方はぜひ傍聴においでください。
地方公務員法
(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
第三十二条 職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
上記のように、地方公務員は「規定」に従う義務があります。
「上尾市教育委員会の権限に属する事務の決裁に関する規程」に沿った運用がなされていないのに、もしオトガメ無しとなれば大問題だと思います。
神田 様
いつも法令に基づいた的確なアドバイス、ありがとうございます。
2月13日に「新たな証拠」を追加で提出するのですが、その中の一つにしたいと思います。
おっしゃるとおり、もしもこの住民監査請求が何のペナルティも無しということになったら、大変な問題に発展すると考えています。