平方幼稚園問題は、教育長と教育委員会の致命的大失策(その1) ※一部追記有

当ブログをお読みいただいている方から、お問い合わせ・情報提供経由で「平方幼稚園についてはこういう問題がある」とのご指摘を受けました。ブログ筆者として、今までこの問題については平方幼稚園廃園の議案が市議会で否決されたことは知っていましたが、それ以上のことについて情報公開等をおこなってこなかったことを率直に反省しなければなりません。平方幼稚園を取り巻く数々の問題については、今記事を含めて、何回かに分けて今後もお伝えしていく予定です。

記事No.122

■教育長と教育委員の<致命的大失策>
平方幼稚園は現在「来年度の4歳児の募集はしない」と同時に「閉園はしない」という状況になっています。様々な資料を検証してみると、この問題は、<池野教育長と教育委員会による致命的大失策>であることが見えてきました。とりわけ、以前から自らの服務のデタラメさや公用車の恣意的使用を住民監査請求等で指摘されてきた池野氏ですが、今回の問題はそれらに増して教育長としての資質を問われることになります。
経緯や資料を検証すると、昨年12月に市議会で出席議員全員により反対されたにもかかわらず、表面は保護者の意見を聞くようなふりをしながら、平方幼稚園の閉園を執拗に狙う教育長や教育委員たちと事務局、それに反対する良識ある保護者や市民という構図が浮かび上がってきます。

■時系列での整理
現在起きている平方幼稚園を巡る主な経緯を時系列で整理してみると、次のようになります(2019.06.26以降)。[一部追記]

2019.06.26 上尾市教委6月定例会(市民に非公開の会議でコソコソと平方幼稚園閉園方針を決める
2019.09.02 市教委から保護者へ文書発出(2022年3月閉園を通知)
2019.09.17 平方幼稚園PTAから市長・教育長へ質問状提出
2019.12.13 上尾市議会 文教経済常任委員会 出席委員全員が否決
2019.12.24 上尾市議会にて平方幼稚園廃園条例否決(出席議員全員反対)
2020.08.06 市特別支援教育推進委員会で教育総務課長が「幼児教育に係る体制が十分ではない」旨の発言
2020.08.31 保護者説明会(教委事務局・園長・市議2名同席)
2020.09. 平方幼稚園保護者有志から市長・教育長へ質問状提出
2020.09.17 教育長・教育委員と保護者との話し合い
2020.09.24 定例教育委員会終了後、議案でも協議でもなく、教育長・教育委員・事務局による秘密の会合
2020.09.28 市長・副市長へ報告(教育総務部長・次長・課長)
2020.10.01 『広報あげお 10月号』にて「令和3年度平方幼稚園の入園は10/15以降市のHPでお知らせします」と掲載
2020.10.02 教育委員会臨時会(報告事項:上尾市立平方幼稚園の令和3年度新入園児募集について)
2020.10.05 市議会全議員説明会
2020.10.07 保護者説明会
2020.10.09 保護者説明会
2020.10.21 定例教育委員会にて、追加で口頭報告事項(上尾市立平方幼稚園について)
2020.11.01 『広報あげお 11月号』にて「平方幼稚園は令和3年度の4歳児の募集を行いません」と掲載

「閉園ありき」だった昨年6月の教育委員会
この問題を考えていく際には、2019年6月の定例教育委員会の会議録を確認しなければなりませんが、この問題を扱った「協議」は非公開とされてしまいました。「上尾市立平方幼稚園の在り方について」という重要な問題についての協議を<非公開>としたのは、「上尾市教育委員会お得意の手口」と言えます。市民に会議を公開せずにコソコソとした話の内容はこちら ⇒ 教育委員会2019年6月定例会会議録(平方幼稚園の関係は10~15頁参照)

この非公開の会議で出された教育委員や事務局による<本音の発言>については、次のようなものがあります。

森泉教育総務課長)注:職名は昨年度時点のもの
毎年、平方幼稚園には、年間約3,500万円から4,000万円の運営管理費がかかっており、園児一人当たりの市費負担について、平成30年度は約124万円、私立幼稚園は 約9万円であり大きな乖離があります。

発言の中の「園児一人当たりの市費負担」の比較は、公立と私立ということを考えれば、全く意味がありません。文脈から見て「平方幼稚園は閉園とする」方向に向けた意図的な発言と言わざるを得ません。

また「3,500万円から4,000万円」と試算する運営管理費についても、本当に捻出できないの額なのか。たとえば指導課・学務課・学校保健課に合わせて15名在籍している指導主事を6名減らせば、人件費として4,000万円程度は捻出できるはずです。もともとは埼玉県で採用され、いずれは学校現場に行く職員ですし、市教委事務局に置かなければならない定数が決まっているわけでもありません。
ブログ筆者が以前から指摘しているように、市教委事務局の指導主事の定数が減ったとしても、学校現場は少しも困りません。むしろ強制的な委嘱研究が無くなることにより、市議会一般質問でも上平小の問題点が指摘されたように、委嘱研究のための時間外勤務や学校への不必要な介入が減り、歓迎されるでしょう。見方を変えれば「指導主事は本当に今の人数必要か」という議論を避けてきたため、平方幼稚園問題が起こったとも言えるのです。

細野宏道 教育長職務代理者)
公立幼稚園の役割ということを考えた時には、ここではもう既に終わったという言い方はおかしいかもしれませんが、私立の幼稚園に代わっても、公教育から私教育も含めた教育という大きな観点から見ると、一つの役割は終わったのではないかなというふうに思います。

このように細野職務代理者は「(市立平方幼稚園の)一つの役割は終わったのではないか」と発言しています。本来であれば「公立幼稚園でなければ出来ない幼児教育とは何か」を真剣に考え、「存続のためには何をすればよいのか」という議論がされるべきだとブログ筆者は考えます。細野氏は思わず本音を漏らしたのでしょうが、この発言を知った保護者の方は、さぞがっかりしたことと思います。このような発言を市民に聞かせたくないのが、会議を非公開にした理由であることは明白です。

池野教育長)※朱書きはブログ筆者によります。
それでは、本件につきましては、教育委員会といたしましては、平方幼稚園の園児数の推移、施設の耐用年数、民間幼稚園の就園状況等を考慮し、閉園することが妥当であるとすることでよろしいでしょうか。
~委員全員から「はい」の声~
池野教育長)
それでは、そのような方針で、今後、利用者の方や地域の方に丁寧に説明し、ご理解をいただくよう事務局にお願いいたします。

それまで黙っていて自分の意見は言わず、補足も何もしなかった池野教育長が「まとめ」をしています。すなわち、池野氏にとっては「平方幼稚園は閉園するのが妥当である」という結論が先にあって、この教育委員会の協議をしたことになります。
しかも池野氏は、「利用者の方や地域の方に丁寧に説明し、ご理解をいただく」のを教育委員会事務局に丸投げしています。

平方幼稚園問題(その2)以降で触れますが、2020.09.17に、保護者に対する説明会席上で池野氏が「自らの考え?」を述べる機会があります。しかしながら、その発言の根底には、池野氏自身に「平方幼稚園は閉園」という考えがあったことは押さえておきたい点です。

今記事はここまでですが、時系列で述べたそれぞれについて、どれもが重要な意味があります。それらについては次記事以降でお伝えします。