(その2)平方幼稚園問題は、教育長と教育委員の致命的大失策

前記事で、当ブログを読んでくださっている方からの指摘で、平方幼稚園の園児募集停止の問題を取り上げました。経緯を見ると、上尾市教育委員会がいかにこの問題を軽んじてきたかが分かります。
はっきり言って、教育長や教育委員、関係した教育委員会事務局職員は辞任等を含めての明確な責任を取るべきです。

No.123

■時系列で検証(補足修正後)
前記事で掲載した時系列の表を、次のとおり一部加筆修正しました。

2018.12 「上尾市立平方幼稚園の教育・環境整備に関する請願」が上尾市議会で全会一致で採択
2019.06.26 上尾市教委6月定例会(市民に非公開の会議でコソコソと平方幼稚園閉園方針を決める
2019.08 平方地区区長会への報告(閉園の方針を説明)
2019.09.02 市教委から保護者へ文書発出(2022年3月閉園を通知)
2019.09.17 平方幼稚園PTAから市長・教育長へ質問状提出
2019.09.19 保護者説明会(閉園の方針を説明)
2019.11 保護者説明会(閉園の方針を説明)
2019.11.22 上尾市教育委員会11月定例会(平方幼稚園の閉園について12月議会で提案することを質疑・意見なしで了承
2019.12.13 上尾市議会 文教経済常任委員会 出席委員全員が否決
2019.12.24 上尾市議会にて平方幼稚園廃園条例否決(出席議員全員反対)
2020.08.31 保護者説明会(教委事務局・園長・市議2名同席)
2020.09. 平方幼稚園保護者有志から市長・教育長へ質問状提出
2020.09.17 教育長・教育委員と保護者との話し合い
2020.09.24 定例教育委員会終了後、議案でも協議でもなく、教育長・教育委員・事務局による秘密の会合
2020.09.28 市長・副市長へ報告(教育総務部長・次長・課長)
2020.10.01 『広報あげお 10月号』にて「令和3年度平方幼稚園の入園は10/15以降市のHPでお知らせします」と掲載
2020.10.02 教育委員会臨時会(報告事項:上尾市立平方幼稚園の令和3年度新入園児募集について)
2020.10.05 市議会全議員説明会
2020.10.07 保護者説明会
2020.10.09 保護者説明会
2020.10.21 定例教育委員会にて、追加で口頭報告事項(上尾市立平方幼稚園について)
2020.11.01 『広報あげお 11月号』にて「平方幼稚園は令和3年度の4歳児の募集を行いません」と掲載

昨年6月の教育委員会定例会以降の流れはこの表のとおりですが、表の中の⑦と⑧、とりわけ⑦の昨年11月定例会での「粗雑な提案」には呆れます。その会議録がこちら⇒2019年11月教育委員会定例会会議録(平方幼稚園関係は10頁)

この会議録によれば、森泉教育総務課長(昨年度)は「8月に平方地区区長会への報告を行い、9月と今月11月に平方幼稚園の園児の保護者への説明会を開くなどして、関係者に閉園の方針を説明させていただき、現在に至っております」と発言しています。しかしながら、教育総務課長の説明には、上記の表の⑤の質問状については全く触れられていません。

驚くべきは教育委員たちの態度で、この説明に対して「保護者への説明会の様子はどうだったのか」など、ひと言も質問・意見を発していないのです。結果、この閉園案は12月市議会に提案されることになりますが、教育長や教育委員たちの思惑は崩れ去ることになります。

■市議会文教経済委員会でのやり取り
平方幼稚園廃園ありき」で市議会を乗り切ろうとした教育委員会でしたが、そうはなりませんでした。教育委員会事務局は次のように発言しています(2019.12.13市議会文教経済委員会会議録から引用)。

(森泉教育総務課長)
平方幼稚園を取り巻く状況等を総合的に検討し、閉園することが妥当であるとの結論から、本議案を提出するものでございます。

「総合的に検討し云々」というのは、国会でもよく言い訳に使われていますが、上尾市も同様です。
粕谷議員の「説明会で保護者からはどんな意見が出されたのか」という質問に対して、総務課長は次のように述べています。

(森泉教育総務課長)
平方幼稚園を廃園(原文ママ)することに関しましては、やはり保護者の方にとってみると、なかなか承諾はできないという、そういった存続を希望される声を伺っております。

非常に疑問なのは、その1年前に出された請願が全会一致で採択されたり(上記表の①)、説明会での保護者の声は「何とか平方幼稚園を存続させてほしい」ということを知りながら、閉園するという案を市議会にかけるという、教育委員会の冷たい姿勢です。糟谷議員は次のように述べています。

委員(糟谷珠紀)
やっぱり保護者の皆さんからしてみれば、あまりにも話す場、話す余地がないまま、こうやって条例がもう出されてしまって、こういう今やっとというか、今回出されて、初めてこの幼稚園の状況だとかを事細かにそうやって言ってくるというところの不意打ちさ、これは本当に今まで市がどれだけ市民の声を聞いてこなかったかの象徴的なあらわれだと私は思います。もうやり方が本当に市民を無視してやっているというのは、今回に限らないけれども、本当に今までがそうだったように、何かやり方が本当に同じだと、私はもうそこは本当に感じるところです。

まさにこの発言のとおりです。市政もそうですが、とりわけ市教委は市民の声を聞こうという姿勢はありません。もし聞いたとしても、その場限りの言い訳や、耳障りの良いことを言い、あとで冷たく切り捨てるというのは、このあと、教育長の発言を検証すれば、上尾の教育委員会の常とう手段であることは明らかです。

また、井上茂議員は次のように発言しています。

委員(井上茂)
幼児が減少していると言ったら、学校だってそうなってしまうでしょう。学校だって、では廃校ですという、向こうに行ってくださいというふうに、そんな2回の説明会でなると思います? 平方幼稚園だからなると思っているのですか。つまり、そういうやり方そのものが非常に問題だし、そこに例えばこの質問書に対する答弁も、全く教育委員会の意見は書かれていないわけです。厳しい状況でございますとか、要するに行革に位置付けられているとか、検討はしてきましたとかいうことで、教育委員会として平方幼稚園を本当にどうしようと思ってきて、ずっとだって減少してきたのは事実なわけだから、どういう努力をしてきて、もうこれ以上持ちこたえられないということで、ここで決断せざるを得ないというふうな形も出ていないわけだよね。ある意味2回の説明会でご理解しただきましたと、はっきり言い切るわけだから。

井上議員の言うとおり、教育委員会は自らの意見、たとえば上尾市教育委員会としてどう幼児教育を推進していくのか、という意見は全く出していません。
しかも「費用対効果」や「予算が無い」とは言いながら、経費を捻出するための努力や検討は全くしている様子も無いのです。本当に予算は捻出できないのか、前記事で述べたように、指導主事があんなに大人数必要なのかも全く検討されていません。そちらは安泰にしておいて、平方幼稚園を閉園に追い込む必然性がどこにあるのでしょうか。

結局、2019年12月の文教経済常任委員会では、平方幼稚園を廃園とする原案を全員反対で否決しました。

今回お伝えするのはここまでですが、次記事以降で池野教育長の本音はどこにあるのかを明らかにしていきます。