地方自治法第100条のもうひとつの顔 -議会図書室とは-

 畠山現市長と新井弘治元市長を刑事告発することを全員一致で決めた上尾市議会。これは同市議会の調査特別委員会(いわゆる百条委員会)によるものです。根拠となった地方自治法(以下、「法」)第百条には、19項&20項に「もうひとつの顔」があります。

記事No.46

■「法」第百条 第19項・20項とは?
 市議会調査特別委員会は、現市長と元市長の告発を決めました。根拠となった「法」第100条について、松本英昭著『新版 逐条地方自治法 第9次改訂版』学陽出版,2017年では、以下のように解説されています。

 「本条は、普通地方公共団体の議会の、当該地方公共団体の事務に関する調査権、議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を設けること、議員の派遣並びに調査研究に資するための政務活動費、刊行物の送付及び図書室の附置についての規定である」

 「法」第100条は第1項から第20項まであり、市長らを告発したのは、第3項(証言拒否)と第7項(虚偽の陳述)に抵触したからであり、そのうえで第9項の「議会は、選挙人その他の関係人が、第3項又は第7項の罪を犯したものと認めるときは、告発しなければならない」を適用したことによるものです。

 また、「法」第100条には次の項目もあります。

第19項 (市)議会は、議員の調査研究に資するため、図書室を附置し、前二項(筆者注:第17項=政府から市への官報と刊行物の送付義務 & 第18項=県から市への公報等の送付義務)の規定により送付を受けた官報、公報及び刊行物を保管して置かなければならない。

第20項 前項の図書室は、一般にこれを利用させることができる

 つまり、「法」第100条第19項・20項は、議会の図書室設置義務を定めたうえ、それを一般市民も利用できるというものなのです。

■では、上尾市議会図書室の場合は?
 市議会HPに「議会棟の案内図こちらが記載されています。これを見ると、議会棟3階にある議会図書室は正副議長室より狭いようです。市議会事務局に確認したところ、「法」第100条第20項にもあるように、市民も利用できますが、その実態は、「利用した市民は、数年前にひとり」ということです。
図書貸出も可能ですが、議員・職員・市民は「図書貸出申請書」に記入し提出する必要があります(市民は氏名の他、住所・電話番号を記入)。貸出期間は2週間以内を原則とし、延長は出来ないようです。

■乏しい図書購入予算
 議会図書室の図書購入費を市HPで調べてみました。
2019(平成31)年度上尾市一般会計予算の<歳出/議会費/図書購入費>は、50,000円です。
この予算では、市議会議員が何か調べるための新刊の文献を用意しておくのは、かなり厳しいのではないでしょうか。

 例えば、今記事の最初に引用した、『新版 逐条地方自治法 第9次改訂版』の価格は、16,500円です。
他にも法律の解説書や文献等は出版されているでしょうから、1年間で50,000円という予算では、とても間に合わないと考えるのが普通です。こういう乏しい予算の状況に置かれていることについて、議員さんたちは予算増額をしたらいかがでしょうか。

ここで、なぜブログ筆者が法律の逐条解説の文献を例に出したか簡単に説明します。

 以前の記事(こちら)でもお伝えしたように、上尾市教委は、教育長や限られた職員らにより、極めて恣意的に、しかも非公開で夏休み短縮を決定してしまうという暴挙をおこなっています。
 その際、教育委員会の会議を非公開とする根拠としたのが「審議会等の会議の公開に関する指針」でしたが、あろうことか、現在は「あれは間違いだった」などと言い始めており、だからと言って何をするわけでもありません。到底許されるものではありません。
 では、市教委が現在根拠としているのは何なのでしょうか。それが法令の「逐条解説」なのです。
 教育委員会の公開・非公開に関しては『逐条解説 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第一法規,2015年 を使い、そのまま解釈しています。
(おそらく、こうした書籍等については、教育委員会事務局の予算で購入したと思われます)


議会図書室の話に戻れば、こうした文献・書籍は、法改正がある度に新版が出されますので、その都度揃えていたら、とても議会図書室の図書購入費の年間50,000円の予算では足りないのは目に見えています。

 ブログ筆者は、上記「逐条解説」が上尾市図書館には在庫がないため、県立図書館で貸出を受けました。機会があれば、議会図書室に行って見ようとも考えていますが、議員さんの政策研究が優先のような気がしますので、どうしたものでしょうか。

投稿者: 館の住人

上尾市民。 「ひとりでもできる行政参画」を目指しています。 とりわけ、上尾市教育委員会や上尾市についての情報公開請求を契機として、教育行政や市政が改善の方向に向かって行けばと考えています。

「地方自治法第100条のもうひとつの顔 -議会図書室とは-」への2件のフィードバック

  1. 数年前に一人、とは私の事。
    月刊誌を借りた記憶がありますが、議員そのものが利用している風には見えません。裏付ける貸出統計があるか不明です。
    その時は、議会図書室を市の図書館の中に組み込め、と行政に提案しました。
    つまり分館としての議会図書室です。
    議会費で購入しているから、図書館部門に組み込めない、というような 「やらないことを正当化したい」バカな返事に呆れました。図書館に吸収した一体運営は可能です。少なくとも、蔵書インデックスに載せるべきです
    ラストの一文は、皮肉ですよね (^-^?)

    1. やはりそうでしたか。議会図書室に関心を持つ市民は限られていますからね。
      議会費で購入しているにしては、予算額が少なすぎます。
      もっとも、倉庫と兼用になっているような自治体もあるようですので。
      最後の文は、お察しのとおり、熱心に関係法令を調べたりする議員さんが上尾にはいるかな?いないよね?という意味です。

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