給食調理員さんの仕事を考えることで「自校給食」の良さが見えてくる
現在、「上尾市は今ある学校をいったいどうするのか」あるいは「学校給食を全校センター化するつもりなのか」など、保護者ばかりでなく市民の間で話題になっています。
今記事では、学校の給食について、とりわけ給食調理員さんの仕事を考えることで「自校給食」の良さが見えてくることについてお伝えします。
No.341
「自校給食」と「給食調理員さんの仕事」について、今記事では3つの切り口からアプローチしていきたいと思います。
まず、市内A小学校の『学校だより』から、給食調理員さんの仕事を考えていきます。
二つ目は、市民団体と上尾市との懇談会席上での、市民からの発言を見ていきます。
最後に、先日実施された学校給食に関する市民アンケートから、給食調理員さんの果たしている役割や、自校給食の良さについて言及します。
(1)市内のA小学校の『学校だより』から
下の投稿は、市内A小学校の『学校だより』10月号からの引用です。
普段、私たちは給食調理員さんの仕事の全工程を見る機会はほとんど無いでしょう。
この『学校だより』の投稿では、「野菜のカット」や「回転釜の使われ方」あるいは「火が通っていることの確認作業」など、朝8時半の調理開始から、12時過ぎにクラスへ配るまでの給食調理員さんたちの作業が克明に描かれています。
そして、文章の最後のほうでは、「調理員さんが安心・安全でおいしい給食を届けるために日々奮闘・努力されていることを知る良い機会になりました」と書かれています。
この投稿を読めば、誰もが自校給食の良さにあらためて気づくのではないでしょうか。
『学校だより』への校長の投稿の中には、誰かの意見や主張を無批判に載せたものや、読んでいて疑問符が生じる文章もあるのですが、上の投稿は違います。
何よりも、給食調理の開始から昼まで、つまり「数時間の見学」をしたうえで書かれた文章なので、非常に説得力があるのです。
なお、市内各学校の『学校だより』を見たい方は、上尾市教育委員会(トップページ)→市立小・中学校(校舎のイラスト)に進むと、各学校のページに行くことができます。
(2)市民団体と上尾市との懇談会席上の発言から
10月11日、「学校給食費無料化をめざす上尾みんなの会」と「上尾の統廃合を考える市民連絡センター」と上尾市&教育委員会との懇談会が開かれ、私(当ブログ館主)も参加しました。残念ながら市長と教育長は「欠席」でした。
懇談会の席上、学校給食については、自校給食を求める多くの意見が出されました。
ここでは、出された意見の幾つかについてお伝えします(『発言記録』はE.Y氏提供)。
*市民アンケートで130人187件の全てが現行(小学校=自校方式。中学校=セントラル&サテライト方式)を支持。パブコメでの関心が高い。 *教委9月定例会で教育委員も「圧倒的に美味しいのは自校方式。食育等を考えるとセンターではない。安心安全な給食であってほしい」と発言している。 *(自校方式には)給食を通じて児童生徒と調理員栄養士が交流できる良さがある。 *調理員さんの働く姿を見て感謝の気持ちを育ててもらいたい。美味しい匂いが漂ってきて給食を食べたいなと思ってほしい。 |
*子どもが食べる安心な食材と、栄養士さんや調理員さんの顔が見える自校が良い。 *上尾は温かくて美味しい給食と言われていて、その為には食育を担う栄養教諭や栄養士を減らさないでほしい。給食調理員の増加、エアコンの設置、労働環境の改善の要望、老朽化した調理場の改修を民間委託ではなく正規採用で食育に生かしてほしい。 *栄養士・調理員さんが食育として教育の一環を担っている。外部委託になると、最後まで教育に責任を持てない。(センター化は)教育の放棄につながる危険なやり方である。 |
『上尾市学校給食施設基本計画』の案文については今のところ明らかにされていませんが、市のHP(上尾市教育委員会のページ)→学校教育部→学校保健課から、上の枠内に示した意見を含めた『上尾市学校給食施設基本計画(素案)に関する市民コメント結果』(青字クリックで『市民コメント結果』に飛びます)を見ることができます。
(3)『学校給食施設基本計画(素案)』への市民コメントから
では、学校給食や給食の施設について、どのような意見が出されたのでしょうか。
コメントの幾つかを見ていきましょう。
いかがでしょうか。
『市民コメントの結果』では、とりわけ、現在小学校でおこなわれている「自校給食」の継続を求める意見が多いのが特徴です。
「食育」は教育の一環なのですから、食育推進のためには、同じ学校内で調理がされ、良い匂いが漂ってくる環境が必要なのです。子どもたちが給食調理員さんたちと直接触れ合う機会が「自校給食」では可能であることが、コメントからもよくわかります。
🔸市教委(案)がセンター給食でないことを望みます
今記事では、学校給食が今後どうなるか、主に給食調理員さんの仕事の大切さに触れながら「自校給食」の良さについてお伝えしてきました。
もしかしたら、『学校だより』で給食調理員さんの仕事の重要性に言及した校長先生も、「自校給食」の継続を願って上述の投稿をしたのかもしれません。
また、上記(2)で紹介した「学校給食無料化をめざす上尾みんなの会」は、『温かくておいしい自校方式の学校給食を守る署名』を市長と教育長あてに提出しています。
このような背景や市民の運動がある中で、「学校給食施設基本計画(案)」は、おそらく年度内には示されると思われます。ぜひとも、市教委の(案)がセンター給食ではなく、現行の方式の継続を維持するものであることを望みますです。
同時に、今後提案された(案)に対して、議会や教育委員がどのような見解を表明し対応するのか、当ブログでは引き続き高い関心を寄せていきます。