“イングリッシュサロン” について「市民的視座」から検証します

《全国初!》と「鳴り物入り」で始まった上尾市の ”イングリッシュサロン” ですが、当ブログは従前からこの「地域英語クラブ」については「本当に必要な事業なのか?」との疑問を持ち、実態に基づく問題点等についてお伝えしてきました。
今記事では、「定員と参加者数」の関係を中心に、市民的視座から ”イングリッシュサロン” について検証します。

No.340

🔸7月と9月の「定員」&「参加者数」は?
上尾市の ”イングリッシュサロン” は、7月に「プレ事業」としてスタートして(8月は台風のため中止)、9月から本格的に始まりました。
参加者(児童・生徒)と定員の関係を見ていきましょう(情報公開請求
により入手した資料に基づき、定員に対する参加者の比率を算出しました)。



見ていただければお分かりだと思いますが「参加者数が少ない」のです。
最も参加者が多かったのは7/20の上尾公民館(プレ)の18人(参加率は60.0%)。
最も少ない回は9/14の原市公民館の1人ですが、原市中の体育祭とダブった(それも考えてみれば
おかしな話ですが)ので例外として、それ以外で最も少なかったのは、9/28の大石公民館で、僅か5人の参加(参加率16.7%)となっています。

(参加者の「減り」も心配)
もうひとつ心配なのは、参加者数が、回を重ねるごとに減っていることです。
(例)上尾公民館プレ 7/20  18人⇒  7/27  13人5人減
大石公民館   9/7   9人 ⇒ 9/14   7人 ⇒  9/28   5人2人ずつ減
★「一度行ってみたけど、もう行かない」など、子どもたちが「英語嫌い」にならなければ良いのですが。

(市長の前で話を盛った? 学校教育部長)
7/23に開催された「令和6年度 第1回上尾市総合教育会議」。
その席上、教育委員の「イングリッシュサロンの参加率は(事務局から)8割と聞いているが」との発言について、瀧澤学校教育部長は次のように述べています(総合教育会議『会議録』より)。


上述の参加率の一覧表で一目瞭然ですが、瀧澤学校教育部長の発言にある「多いところが8割」というのも、「平均しますと6割くらいの参加率」というのも、ともに実際の参加率よりは多くなっています。市長の前なので「話を盛った」のでしょうか。

なぜ定員に対して参加者が少ないのか」については、教育委員会としても検証をする必要があるのは当然です(この点については、検証状況を情報公開請求していきます)。
しかしながら、当ブログ記事で指摘してきたとおり、参加者数が少ないのにはそれなりの理由があるのです。それは「もともと、児童・生徒からのニーズが無かった」からです。
それを市教委の事前調査から見てみましょう。

🔸もともと、児童生徒からの希望は無かった
上尾市立中学校における部活動地域移行検討報告書』という資料があります(現在は市のHP教育委員会のページの奥に眠っています)。これは、部活動地域移行をすすめるにあたり、児童・生徒からアンケートを取った貴重な資料です。
あらためて、中学生の意向を見てみましょう。

【中学生用アンケート】(上記『報告書』P46~P49)

このとおり、中学生のアンケート回答者 3,204名の中で、英語クラブの希望者は僅か1名という結果だったのです。
なお、【小学生用アンケート】結果でも、3,260名中、英語クラブ希望者は2名でした。
つまり、「児童・生徒の英語クラブ希望者は、ほぼ無かった」と言えるのです。

🔸まさに「市長に忖度する」ための企画提案だった
もともと、”イングリッシュサロン” の企画自体、市役所内部での企画提案制度によるものでした。以下は、教育委員会事務局(指導課)から提出された『企画提案書』です。

いかがでしょうか。
「全国初」とは書かずに「埼玉県内初」としているのは「ご愛敬」としても、まず注目すべきは、「児童生徒に実施したアンケート調査で、英語クラブの創設を望む声があった」という記述です。
ですが、上記アンケート結果のとおり、英語クラブを希望した小中学生は、 6,464名中 わずか3名なのです(率にして、わずか 0.46%です)。

加えて、「提案の背景」にも注目です。
「市長の思いとしての英会話サークル・サロンの具現化」のために、「ニーズに応じたクラブの設置が求められている」としているのです。

これらの「児童生徒からの希望ががほぼ無いに等しいにもかかわらず、ニーズがあると強弁する」ことと「市長に忖度する企画」という”イングリッシュサロン” の正体には驚きを禁じ得ません。

🔸 ”イングリッシュサロン” の今後は?
今記事では、”イングリッシュサロン” の定員と実際の参加者数を中心に、市民的視座からの検証結果についてお伝えしました。
一覧表でもお分かりにように、平方・大石・大谷各公民館での ”イングリッシュサロン” の参加者は「ひとケタ」となっています。すなわち、結果的に「少人数指導」となっているのは、『学校施設更新計画』で「適正規模」を目指すという上尾市教育委員会にとっては「皮肉」とも言える状況であるかもしれません。

この ”イングリッシュサロン”ですが、教育長や一部の教育委員が「視察」しているようです(ただし、比較的参加者が多めの会場に行っています)ので、この事業について教育長や教育委員がどのような意見や感想を持っているのか、あるいは、教委事務局が今後どのような検証をするのかについても要注目です。
一方、上尾市のHP「トピックス」で、”イングリッシュサロン” の記事を掲載しています(担当は広報広聴課)。ですが、なぜか「参加者が比較的多め」の会場(原市公民館)に取材に行っているのです(なぜ原市公民館に行ったのか、なぜ同日に参加者5名の大石公民館には行かなかったのか、については情報公開請求中です)。
分かりやすい話としては、参加希望者数から、指導課が「(大石公民館ではなく)原市公民館に行ってほしい」と連絡したのではないか、と推測できます。

当ブログでは、 ”イングリッシュサロン” への例月の参加者数等を調べたうえで、引き続き問題点や課題等についてお伝えしていきます。

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