「市長への政策提言制度」について『広報あげお』掲載の理由は?

『広報あげお』の8月号が発行されました。
市民への様々なお知らせの中で、私(当ブログ館主)が「あれ?」と思ったのは、「市長への政策提言・市政への問い合わせ」について記載されていることでした。
今記事では、この「お知らせ」について、「なぜ今なのか?」「掲載した意図は?」などを考えていきたいと思います(リンク先も含めると、長目の記事となっていますので、じっくりとお読みください)。

No.370 

🔸目に留まった『広報あげお』8月号記載の「お知らせ」
私が「あれ?」と思ったのは、次の「お知らせ」です(上段)。

一見、「このような制度があります」というお知らせのように見えます。
ですが、まず私が疑問に思ったのは、「なぜ今なのか」という点です。
記載されている内容は、市長への政策提言制度と問い合わせ制度の昨年度の件数、また、市議会関連は9月以降市議会に直接お願いします、というものです。
この「お知らせ」は昨年度の実績が中心なので、『広報あげお』6月号にも十分間に合ったのではないかと考えられます。

🔸「なぜ今なのか?」「掲載の理由は?」
この「お知らせ」を8月号に掲載したのはなぜでしょう。
私は6月議会での一般質問のやりとりが関係しているのではないかと考えています。
6月議会では、「市長は市民と直接対話をしていないのではないか?」との質問に対して、市長は「直接の対話はしていないが、市民から政策提言や問い合わせを受けている」という答弁を繰り返したということがありました。
(市議会でのやり取りについてはNo.367記事を参照してください)
つまり、「なぜ今掲載をしたのか」という理由は、6月議会の一般質問で「劣勢」に立たされた市長サイドが、「言い訳」として掲載したとも考えられるのです。

🔸昨年度の政策提言の件数はわずか47件
では、掲載された内容を見てみましょう。
「市長への政策提言制度」については、「昨年度は47件の貴重な提言・提案をいただきました」とあります(青字下線クリックで提言の内容に飛びます)。
1年間で47件という数、私は少ないのではないかと思いますが、当ブログをお読みの方はどうお考えになるでしょうか。
実は、この47件の中で、私が政策提言したものが8件含まれています。
それに対する「回答」の多くは、提言そのものへの否定的な見解が示されています。
そんな中で、唯一、市が受け入れた私の提言があります。

私のこの提言については、全面的に「その通りです」という回答になっていますが、上尾市のホームページが非常にわかりにくいということが原因であると言えます。
同じようなことでは、現状では市民との対話は無いにもかかわらず、ホームページ上では、あたかも市民対話があるような表記が訂正されたことなど(詳しくはNo.360記事を参照)があります。これらの点なども踏まえて、早急に上尾市のHPは全面的にリニューアルする必要があると思います。

🔸「学校の働き方改革」について政策提言しましたが…
以上見てきたとおり、市長への政策提言をしても、自分が望んだ回答を得られるのは極めて稀(まれ)であると言えます。
つい先日も、私は次のような政策提言をしました(この提言はまだ市のHPに記載されていませんが、回答は郵送で届いています)。

教職員の「働き方改革」についての提言
 『上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針』の目標として「時間外在校等時間については、月45時間以内、年360時間以内の教員数の割合を令和6年度末までに100%に」が掲げられていました。 しかしながら、令和6年度末にこの目標を達成した市内小・中学校は1校もありませんでした。
とりわけ、ある中学校では、時間外在校等時間が月100時間を超えている教職員が25人中11人(延べ24月)もおり、最多の教職員は、月に169時間12分も「残業」をしていたことが明らかになりました。

 この時間数は、要勤務日数が月に22日であるなら、勤務時間終了後、8時間近く学校にいることになり、まさに「異常事態」とも言えることから、何らかの手を打たなければならないのは当然です。
 そこで、市内の小・中学校における「学校を閉める時刻(=警備保障会社によるセット時刻)」を原則として夜7時(遅くとも8時)頃とすることを政策提言します。
  聞くところによれば、警備会社から夜中の12時過ぎに「在校しているか否か」の確認の電話があるとのことですが、「月45時間」を目標にするのであれば、毎日の「残業」は2時間まで(18:45まで)ということになります。なお、「原則として」という文言を付したのは、緊急の生徒指導や事故等の場合があることを想定したことによります。
 上尾市教育委員会としても、上述の目標に向けて様々な施策(スクールサポートスタッフや支援員等の雇用、週1時間の授業数削減、夏休み日数の増加など)を実施することと思われますが、掲げた目標を達成できなかったという現実を直視し、今までとは異なる視点での施策が必要ではないでしょうか。現状では、深夜まで学校の職員室等に明かりが付いていることを不審に思う保護者や地域の方もいると思われます。
 一日も早く、「夜7時には学校(職員室)の明かりは消えている」という状況が定着することを一市民として願っています。

 この政策提言については、根拠があります。
以下は、ある中学校での校長による「指示・伝達事項」です。


「ふれあいデー」というのは、月に1~2度、各学校での定時退勤の取り組みです。
こうした取り組みも踏まえて、私は具体的に提言しています。
これに対し、市(教育委員会)からは次の回答が届きました。

このように、政策提言への「回答」は、市長の職印が押印され、郵送で届きます。

🔸「原則夜7時30分退勤」というのはどこに書いてある?
上記の市長からの回答(元はと言えば教育委員会の回答ですが)では、「最早入校時間を原則午前7時30分、最遅退校時間を原則午後7時30分としております」とありますが、いったいこの文言はどこにあるのでしょうか。現在公表されている『上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針』には、このことはひと言も書いてありません。
私の提言についても、結局は「提言も含めて検討する」に留まっています。
前掲の『働き方改革基本方針』は、今年度8月末までの方針となっていますので、もっと根本的な対策が必要ではないでしょうか。

🔸現在、他の「政策提言」もしています
上記以外でも、私は幾つか「市長への政策提言」をしています。
そのうちの一つを紹介します。

イングリッシュサロンの参加者数の公表を
上尾市の「政策企画提案制度」により採用され,現在部活動地域移行推進事業として実施している「イングリッシュサロン」(以下、ESと表記)の毎月の公民館別参加者数について、市のHP(教育委員会のページ)で公表することとします。
(当政策提言公開の際の分野は「教育・文化・スポーツ」とし、下記(1)〜(4)までの「本政策提言の理由」は全文掲載していただくようお願いします。)[本政策提言の理由]
(1)採用された『政策企画提案 概要調書』によれば、ESは「市長公約に掲げる政策に合致するもの」であり、事業効果として、「参加生徒が生きた英語に触れ、実践的な英語力の向上を図ることができる」とされていること。
(2)前掲の『概要調書』では、ESは「市長の思いとしての英会話サークル・サロンの具現化」にあたるとされており、参加者数を含めたES事業の効果は、市民に向けて公表されて然るべきであること。
(3)例月のESの公民館別参加者数を公表することで、年度の中途から参加しようとする児童・生徒にとって「参加者が多いから(または少ないから)参加してみよう」といった動機付けの一つになると考えられること。
(4)現在、情報公開請求することにより各公民館別のES参加者が公開されており、参加者数は個人情報には当たらないことから、HPで公表しても何ら問題がないこと。以上です。

イングリッシュサロン(ES)については、当ブログでも何回か記事にしてきました。
その際、毎月各公民館の参加者を情報公開請求して、その数を把握しています。
ですが、政策提言の理由でも述べたとおり、「公表するのが当然」と考えられる数値やデータは、情報公開請求をせずとも、公表されるべきです。

🔸市民のみなさんとともに、積極的に「市長への政策提言」を
今記事では、市長への政策提言に関して、具体的提言内容を含めてお伝えしました。
現在、上尾市のHPに今年度の「市長への政策提言」の件数が掲載されていますが、5月末現在で4件しかありません。(最終閲覧日時 8/1   10:00 am
今記事で述べたように、市長からの回答は物足りないものが多いことは事実ですが、それでも、市民が市政に参画するためにも、積極的に「政策提言」をしていきましょう。

※市長への政策提言や市政への問い合わせを市のHP経由でおこなう場合は
→ 「市政への政策提言・お問い合わせ」からすすんでください。

“「市長への政策提言制度」について『広報あげお』掲載の理由は?” への2件の返信

  1. 市民からの要望に対する上尾市の対応

    市民からの要望に対して上尾市はどのように対応しているのかを確認するために、
    上尾オンブズマン様が開示請求で入手された文書「市長がイベント等で直接受けた
    要望一覧」について以下のように市長政策室へ問い合わせを致しました。

    *「市長がイベント等で直接受けた要望一覧(令和7年度分)」には、市長政策室確
      認日、要望事項、担当課、市長政策室から担当課への伝達日が記載されており、
    要望は全部で38件でした。

    質問1(市長政策室確認日が、38件全てが4月2日となっていることについて)

      市長は「イベント等で直接受けた要望については、その場でメモし、すぐに市長室におろし、これを各職場で検討しろ、として対応させている」と議会で答弁しているので、市長政策室確認日も異なった日付となるはずですが、38件全てが4月2日となっているのは何故ですか。

    回答1

      4月2日に市長政策室が確認を行ったためです。

    〇イベント等は異なる日に行われているにもかかわらず。確認日が全て4月
    2日となっている理由を質問していますが、全く回答しておらず、市長から
    のメモを放置していた可能性があります。

    質問2(担当部伝達日が、38件中36件が4月3日となっていることについて)

      4月3日の担当部伝達はメール、文書、口頭等どのような方法でおこなったか、
      36件の伝達の方法の内訳件数をお教えください。

    回答2
      市長政策室の職員がそれぞれの部署の担当に伝えております。

      〇どのように伝達したのか、伝達方法とその内訳件数を質問していますが、全く回答していません。市長からのメモ内容を担当課に伝えていない可能性があります。

    質問3(要望を受けた担当課の対応状況の把握について)

     市長から「これを各職場で検討しろ」と指示が出ているので、その指示に
    ついて担当部署でどのように検討したかを市長政策室で確認しているはずですが、担当部署からの報告はどのようにおこなわれたか、メール、文書、口頭等38件の報告の方法の内訳件数をお教えください。

    回答3
     個々の部署で対応しておりますので、内訳の集計はしておりません。

    〇市のトップである市長から直接指示を受けた案件について、市長政策室は進捗
    状況を把握せず、市長に報告もしないという常識では考えられない職務の進め
    方をしていることがわかりました。

       以上のやり取りから上尾市が市民からの要望を軽視し、市民の要望が市政に反映されていない可能性が極めて高いことがわかりました。

       尚、「市長がイベント等で直接受けた要望一覧」の作成は令和7年度分から
       始まったとのことで、市長が議会で答弁した「イベント等で直接受けた要望についてはすぐにメモして市長政策室におろしている」としたメモは、令和7年度より前のものは行方不明となっているようです。

    1. コメント、ありがとうございます。
      情報公開請求で入手した資料を深掘りしていただき、感謝いたします。
      おっしゃるように、市議会での市長の答弁と矛盾がありますね。
      そもそも、「立ち話で市民から要望を聞く」「その要望を各課に対応するように伝える」と言いますが、どう見ても無理があります。
      私もこの問題は徹底的に深掘りしていくつもりですので、引き続きよろしくお願いいたします。

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