(事実なら朗報)上尾市は〖万博首長連合〗から脱退した模様です

〖万博首長連合〗という団体をご存知でしょうか。
同団体のHPには、「2025年日本国際博覧会を契機にして、日本中の首長や政府が連帯する」などと書いてあります。
しかしながら、来春に開催が予定されている万博については、安全性や費用の点などを含め、すでに多くの問題点が指摘され、「気運」も盛り上がらないなど、開催の意味さえ危うくなっているのは周知のとおりで、揺れに揺れています。
この〖万博首長連合〗のHPを見ると、6月まで同連合に上尾市は加入していましたが、どうやら脱退した模様です。
今記事では、これらのことについて、また、最近発刊された書籍『大阪・関西万博「失敗」の本質』を概観し、万博の問題点等についてあらためて見ていきます。

No.343

🔸埼玉県内自治体の〖万博首長連合〗への加入状況は
〖万博首長連合〗HPによれば、同連合は、〖2025年日本国際博覧会を契機として、日本中の首長、政府、多様な業界の企業と連携し、世界に向けた地域文化の発信や、地域の未来づくりを支援することを通じた日本全体の発展を担う目的で設立された市区町村長からなる連合体〗である、と自らを定義しています。
埼玉県内で、どの自治体が加入しているかを見ると、

閲覧日 2024.06.15

閲覧日 2024.11.01
ご覧のとおり、6月の時点では県内63市町村中、上尾市を含む33市町(埼玉県内の約半数)が〖万博首長連合〗に加入していました(意外と思える市も加入しています)。
ところが、11月になると、上尾市は削除されています(草加市と志木市が新たに加入)。
これが事実なら、歓迎すべきであると言えます。

🔸〖万博首長連合〗って何?
そもそも、〖万博首長連合〗とはどのような経緯で設立されたのでしょうか。
簡潔に言えば、〖オリパラ首長連合〗が、オリパラ終了時にそのまま〖万博首長連合〗として「横すべり」して設立された団体です。
私(当ブログ館主)は、上尾市に対して〖万博首長連合〗に加入した経緯について情報公開請求をしました。結果は「文書不存在」でしたが、非公開通知書の備考欄に次のように書かれていました。


担当課がスポーツ振興課であることも不思議でしたが、この備考欄の記述を見て、およその経緯がわかりました。
※「オリパラ首長連合から万博首長連合へ本市の加盟が引き継がれた経緯につきましては、現在調査中です」との説明がありますが、まだ明らかにされていません。

現在、「上尾市が〖万博首長連合〗から脱退をしたのは事実か、事実であればその理由」について、情報公開請求をしているところです。
もし上尾市が〖万博首長連合〗から脱退したのが事実だとすれば、当ブログは「朗報」として受け止めていきます。

🔸『大阪・関西万博「失敗」の本質』から万博を読み解く
今記事の冒頭で、万博は問題点が多いと述べましたが、大阪・関西万博をすでに「失敗」と位置付けている、『大阪・関西万博「失敗」の本質』という本が発刊されています。
(上尾市図書館にも蔵書があります)

万博開幕前から「失敗」と断じることについて、この本の編著者である松本 創氏は次のように述べています。

どんな形であれ、(万博が)終わってしまえば、なんとなく「やってよかった」という空気ができ、それに乗じて関係者は「大成功だった(私の手柄だ)」と言い募る。「成功」の基準がないから、いくらでも恣意的に語られてしまう。
そうなる前に、「失敗」と見る批判的立場から問題を整理し、指摘しておくべだと考えたのである。

ここでは、この本の「章立て」を示すことで、大阪・関西万博の問題点をあらためて浮かび上がらせようと思います。

第1章 維新「政官一体」体制が覆い隠すリスク ー 万博と政治
「歓喜の夜」から一転、次々と噴き出す課題
支え合う維新と安倍政権、絡み合うIRと万博 他

第2章 都市の孤島「夢州」という悪魔の選択  ー  万博と建築
埋め立て安定せず、地盤沈下続く
浚渫(しゅんせつ)土からもメタンガス。爆発の危険は今後も 他

第3章 「電通・吉本」依存が招いた混乱と迷走  ー  万博とメディア
IRにらみで万博を盛り上げる吉本の思惑
「哲学」のない万博に成功はあるか 他

第4章 検証「経済効果3兆円」の実態と問題点  ー  万博と経済
「来場者2820万人」の高すぎるハードル
独自調査で判明「大阪でも低い万博評価」 他

第5章 大阪の「成功体験」と「失敗の記憶」 ー  万博と都市
大阪IR ー 少数の推進派と大多数の無関心
「過去の成功体験」が「同じ失敗」を呼ぶ懸念 他

この本では、最後にこう結んでいます。
過去の成功体験(1970年の大阪万博など)にとらわれた一部の人たちが、[成長の起爆剤]だと喧伝し、不都合の目をつむって万博を強行する。それでも大半が無関心のまま、誰も止めることができない。そして、維新首長の下で府市が一体化し、政治と行政の間の線引きも失われた今の状況では、おそらく誰の責任も問われない。大阪が置かれたその状況こそ、大阪・関西万博「失敗」の本質であろう

このように見ていくと、大阪・関西万博の問題点は多岐にわたり、構造的なものであることがあらためて明らかになります。

当ブログでは、上尾市が「万博首長連合」から脱退したということが事実であり、「上尾は万博とは無縁」であることを望むものです。