市民として強烈な違和感を覚える「ネーミングライツ」問題とは
12月上尾市議会での一般質問が終了しました。
私が関心を寄せていること(給食施設問題、教員の時間外勤務問題など)についての質問もありました。どれも上尾市にとって重要ですが、今記事では、私が市民として強烈な違和感を覚える「ネーミングライツ(命名権)」問題を中心にお伝えします。
(記事の中ほどに、追記があります)
No.349
🔸12月議会平田議員の質問で当ブログ資料が活用されました
「上尾市内の教員全員の「時間外在校等時間」を月45時間以内にする」という目標を掲げている市教委。とりわけ中学校の教員は、休憩時間が取れないような勤務を各校長から強いられている現状があり、この目標は不可能と言えます。これに関して、平田通子議員が私(当ブログ館主)が作成した資料(No.347記事参照)を示しながら、市教委の取り組みを求めました(市議会HP 12/17 5番目平田議員質問 44:00頃~ )。
当ブログでお伝えしている資料が活用されるのは、大歓迎です。
🔸ネーミングライツ(命名権)問題についての一般質問
ばんどうともこ議員の一般質問(市議会HP 12/11 3番目ばんどう議員質問、最初の項目)では、ネーミングライツ(NR)の問題が取り上げられました。
(NR『実施要綱』には「除外対象施設」がありません)
ばんどう議員のNR関連の質問は9月議会に続き、12月議会でも取り上げたものです。
9月議会では、「市民の意見は聞かずにNRを進めていく」という市の姿勢が明らかになりました。今回は、『上尾市ネーミングライツ事業実施要綱』には、除外対象施設の記載がされていないことがわかりました。
【上尾市ネーミングライツ事業実施要綱】より該当部分抜粋 (対象となる公共施設等) 第4条 ネーミングライツ事業の対象となる公共施設等(以下、「ネーミングライツ媒体」という。)は、次に掲げるものとする。 (1) 本市が設置した地方自治法第244条第1項に規定する公の施設( → 下記参照) |
【地方自治法】より該当部分 (公の施設) 第244条 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。 |
このとおり、上尾市の『NR 実施要綱』では、「公の施設」とあるだけで、除外規定が無いのです。つまり、『実施要綱』には「歯止め」が無いことになります。
市HP(行政経営課の頁)には、「一部施設(児童館アッピ―ランド、児童館こどもの城、健康プラザわくわくランドなど)および愛称を付するのが適当でないと判断するもの(消防署、公民館、学校、庁舎など)は対象外です。」とありますが、それでは、なぜ『実施要綱』に記載しないのでしょうか? 行政経営課の姿勢が問われます。
(ネーミングライツは「権利」なので使わないこともできる)
ばんどう議員は、質問の中で、鎌倉市の鳩サブレで有名な豊島屋の例を挙げています。
鎌倉市では、NR=命名権を持っていた豊島屋が、海水浴場の名称に屋号を入れることができる権利を使わず、2022年度までの10年間、従来の慣れ親しんだ海水浴場の名前を維持しました。その結果、2023年度からそれらの海水浴場はNRの対象から外されたのです。
【豊島屋のHPより】 |
豊島屋は鎌倉の3つの海水浴場「材木座」「由比ヶ浜」「腰越」のネーミングライツ(命名権)を取得いたしました。翌年、海水浴場の名称を一般募集したところ、「変えないでほしい」という声を多く頂戴し、それぞれの名称を「材木座海水浴場」「由比ヶ浜海水浴場」「腰越海水浴場」とさせていただきました。みなさまに愛される海水浴場であり続けてほしいと願っています。 |
これこそ、企業としての「矜持」と言えると思います。海水浴場の名称を一般募集したところ、「変えないでほしい」という声が多かったので、変えなかったという点が素晴らしいですね。
🔸予算書(歳入の予定額)を確認
ばんどう議員の質問に関して、私も少し調べてみました。
以下はNRの今年度の状況です。
正式名称 | 愛称 | NRパートナー | 期間 | 金額(年額) |
上尾市民球場 | UDトラック上尾スタジアム | UDトラックス㈱ | R4年4月から3年間 | 3,000,000 |
上尾市コミュニティセンター | 三井金属あげおコミュニティセンター | 三井金属鉱業㈱ | R6年4月から4年間 | 500,000 |
上尾市文化センター | あげお富士住建ホール | ㈱富士住建 | R6年4月から2年間 | 1,100,000 |
上尾市平塚サッカー場 | ライフコミュニケーション上尾サッカーグラウンド | ㈱ライフコミュニケーション | R6年4月から4年間 | 300,000 |
この他、NR募集の受付が終了した施設として、
●イコス上尾(担当課:市民協働推進課)
●プラザ館(担当課:施設課)
●上尾市民体育館(担当課:スポーツ振興課)
●都市計画道路(担当課:建設管理課)
=はなみずき通り・市民体育館通り・並木通り・浅間通り・泉が丘通り
市HP検索でわかったのは以上ですが、他にもあるかもしれません。
手を挙げた企業があるのでしょうか。HPには今のところ出ていないようです。
担当課がそれぞれ異なるのも特徴的です。
まさか、各課一つは対象施設を出すようになどという指示はされていないとは思いますが…
【追記】市のHP(行政経営課のページにNR提案募集の記載がありました) |
★企業等からどのような提案がされたのか、その実態について情報公開請求しました。 (情報公開請求の結果は、年明けにわかると思います) |
🔸慣れ親しんだ施設等に企業名を付けて喜ぶのは?
市民の間では、私と同様に「違和感を覚える」という方も多いように思います。
また、「安売りしているのでは?」という声もあります。
慣れ親しんだ施設や道路、イベントに企業名をつけて喜ぶのは、いったい誰でしょうか?
この問題については、当ブログでは引き続き情報公開請求等で実態を把握していきます。