総合教育会議の会議録から見えてくる「上尾市教委の不都合な真実」
私(当ブログ館主)が入院・手術をしている間(個人的なことですみません)にも、市の行政や教育委員会関係で、様々な審議会・協議会等が開催されました。また、それらの『会議録』や資料等も公表されつつあります。
今記事では、その中から「令和6年度第1回上尾市総合教育会議」の『会議録』から見えてくる「上尾市教育委員会の不都合な真実」についてお伝えします。
No.338
■法律(地方教育行政の組織及び運営に関する法律=地教行法)で設置が定められている「総合教育会議」は、教育施策などについて市長と教育委員会が協議する場であり、市長が招集することになっています。
今年度の第1回の総合教育会議は、7/23に開催されました。
当ブログが総合教育会議の『会議録』の中で注目したのは次の3点です。
① 『上尾市学校施設更新計画実施計画』についての市長と大塚委員の発言
②『触れる地球』が「ベタ褒め」されることへの違和感
③ 『イングリッシュサロン』の参加者の実態
以上に着目しながら、『会議録』を見ていきましょう。
①『学校施設更新計画』に関する市長と大塚委員の発言から
このとおり、市長は「令和7年度から特別教室のエアコン整備を、使用頻度の高い中学校から順次進めていくことにしました」と述べていますが、大事な点が抜けているのでは?
2022年9月に「小中学校における特別教室及び給食調理室へのエアコン設置に関する請願」が市議会で採択されていることを市長は忘れたのでしょうか。
市長にとっては「不都合な真実」であったとしても、「議会において請願も採択されていることから、市民からの要望もあるエアコン設置をすすめていくことにしました」と言うべきでしょう(6月議会でも指摘されたはずです)。
次は「学校施設更新計画」に関する大塚教育委員(教育長職務代理者)の発言です。
大塚教育委員の発言は、例月の教育委員会定例会の会議録を読んでいても、はっきり言って「非常に分かりにくい」のですが、上記総合教育会議でも同様です。
しかしながら、よく読むと、
「(今は平方北小再編の問題があるので)平方北小や平方・原市地区(尾山台小のこと?)の方々に対して私ども(教育委員を指すと思われます)も話をしていくが、市長もぜひ話をしてほしい」という趣旨の発言であることが読み取れます。
私は、この3日後に開催された「第1回上尾市立平方北小学校再編検討協議会」の関係資料を情報公開請求により入手しました(現在は『会議録』等が公表されていますが、『会議録』は要点筆記のため、かなり省略されています)。
注目すべきは「出席者」です。協議会委員の他、教育長&事務局の出席は確認できますが、教育委員は誰ひとり出席していないのです。
総合教育会議で大塚教育委員は「平方北小地区の方々に話をしていく」と述べていながら、その3日後の検討協議会には教育委員の誰も出席していないのです。
大塚教育委員は、この9月末で任期満了となり、教育委員を退任します。任期が満了する時期が目前なのですから、「思いつきの発言」は避けてほしかったと思います。
ここにも、「上尾市教育委員会の不都合な真実」が見て取れます。
②『触れる地球』が「ベタ褒め」されることへの違和感
この記事をお読みになっている方は、『触れる地球』というものをご存知でしょうか。
教育委員会HPには、昨年の11月に「感謝状贈呈式」の様子が掲載されています。
また、同月の教育委員会定例会では、次のような説明がされています。
この中で、下線部の「平成30年にも大石小に寄贈し、中学校ではもっと活用できるのではないか(ということから今回寄贈された)」との説明に要注目です。
なお、「大石小で『触れる地球』がどのように授業で活用されているか」情報公開請求した結果は「文書不存在により非公開」でした。
総合教育会議の席上、教委事務局から、次のように『触れる地球』についての説明がされています。
事務局の説明では、『触れる地球』を活用した授業研究会が、今年の7月5日に大谷中学校で実施されたというのです。
その様子を参観した矢野委員は次のように述べています。
このとおり、『触れる地球』について「ベタ褒め」しています。
しかしながら、一方では、次のような事実もあります。
「本当に授業で活用されているのですか?」という疑問が生じたため、情報公開請求しました。その結果の一つが次の文書です(PCでご覧の方は最下部にズーム有り)。
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これは、明らかに総合教育会議での教委事務局の説明と異なり、「上尾市教育委員会の不都合な真実」と言えるものです。
「今年の8月末までに各中学校で授業等で活用していることが判別できる文書・資料等」を求めているのですから、7月5日に大谷中で授業研究会が実施されたのであれば、その指導案なり資料が開示されるはずです。ところがそうはなりませんでした。つまり、矢野教育委員が参観した「授業」は「教育委員(会)に見せるためのイベント」だったのでしょうか? 非公開決定通知書の備考欄の説明も、昨年11月に操作説明会をおこなっているのですから、疑問が生じます。
(本当に必要な備品なのか?という疑問)
さらに、これも情報公開請求で明らかになったことですが、過去5年間にわたり、上尾市内のどの小中学校からも『触れる地球』や「デジタル地球儀」を購入してもらいたいという希望は皆無なのです。
驚くのは、大石小学校からも『触れる地球』を増やしてほしいという希望が出されていないという事実です。本当に必要な備品であれば、「1台だけでなく、数を増やしてほしい」という要望があるはずですが、それはありません。
③ 『イングリッシュサロン』の参加者の実態
この『イングリッシュサロン』に関しては、私は非常に懐疑的です。
その主な理由は次の点です。
(1)市内中学校には、もともと「英語クラブ」が無い。
(2)英語クラブについての児童・生徒のニーズが無い。
※中学生3,204名対象の調査で、[英語クラブ]を希望した生徒は、わずか1名
(3)実施するにしても、委託会社のジョイトークとの契約の範囲内で可能。
(詳しくは、当ブログ記事『イングリッシュサロン=英語クラブ創設の検証(1)と同(2)を参照してください。
これらを踏まえて、『イングリッシュサロン』について、総合教育会議での教委事務局の説明を見てみましょう。
これだけ聞くと、どんなに素晴らしい取り組みかと思いますね。
では、実態を見ていきます。
まず、『イングリッシュサロン』を見に行ったという大塚委員と、それについての事務局の「言い訳」です。
7月20日(土)に開催された『イングリッシュサロン(プレ版)』の会場は、上尾公民館と平方公民館で、ともに定員は30名でした。
大塚委員は「参加者が18名で少なかったのでは」と述べています。
それに対し、事務局は「多いところが8割ということで、平均しますと6割ぐらいの参加率です」と言い訳しています。
では、これについても情報公開請求で得た資料がありますので、確認しましょう。
注目すべきは、7月27日の平方公民館の回です。何と参加者は定員30名に対して6名という状況でした(つまり、2割の参加率)。
おそらく、事務局は「教育委員やマスコミが来なくてよかった」と思ったのではないでしょうか。こうした状況はまさに「上尾市教育委員会の不都合な真実」と言えるものです。
🔸「良さげなもの」の落とし穴
学校は一見「良さそうに見える物」や「良さそうなこと」を有効活用しようとする傾向にあります(特に教委事務局や校長)。
「触れる地球」も「イングリッシュサロン」も、現場の教師から望んだものではない、ということを教育委員会は肝に銘じるべきです。「良さげなものに見える物」や「良さそうなこと」の陥穽に陥ることなく、現場教職員の意見を最大限尊重すべきでなのです。
今記事では、今年度「第1回総合教育会議」の『会議録』から見えてくる「上尾市教育委員会の不都合な真実」についてお伝えしました。1点だけ付記しますが、総合教育会議の会議録は、要点筆記とは言え、事務局の説明も明文化されており、その意味では読みやすくなっています(だからこの記事も書けるわけです)。
当ブログでは、今記事で取り上げた「触れる地球」が実際に授業で活用されているのか、教員にとってむしろ負担になっているのではないか、などについて深掘りしていきます。
また、「イングリッシュサロン」の参加者については毎月情報公開請求を通じて正確な資料を入手していきます。
これらの問題については、引き続き当ブログ記事としていく予定です。