コンプライアンス研修の中身を市民に公開しない上尾の市長って?!?

自治体の首長や教育長、職員がどのような研修を受け、それを住民や行政にどのように反映させていくのかを知るのは、市民(住民)の権利であることは当然です。ましてや、それがコンプライアンス(compliance=法令遵守)に関わる研修であればなおさらです。
ところが、上尾市では昨年の夏に市長や教育長、部長や課長などが「コンプライアンス研修」を受講しているにもかかわらず、どういう研修を受けたのかについて市民に公開しないのです。今記事では、このことについてお伝えします(少し長い記事です)。

No.362

🔸教育長がどのような研修を受けているか情報公開請求しました
私(当ブログ館主)は、教育長がどのような「ハラスメント研修」「コンプライアンス研修」を受けているのか知りたいと考え、次のとおり情報公開請求しました。

(1)令和5年度・令和6年度に上尾市教育委員会教育長である西倉剛氏自身が「ハラスメント防止研修」・「コンプライアンス研修」(名称が異なるが同趣旨の研修を含む。どちらかひとつまたは両方)を受けたことが判別できる文書・資料等。
(2)上記(1)の研修を西倉剛氏が受講していた場合,当該研修会のすべての資料。

この結果ですが、上記(1)について、まず、コンプライアンス研修の開催通知です。

 この研修会は、課長職以上103名が受講していることが判明しています。
出席簿により、市長・副市長・教育長が受講していることがわかりました。


🔸肝心な研修の中身は「闇の中」
問題は、コンプライアンス研修の中身です。
上記情報公開請求の(2)についての対応は、令和7年4月11付け上職第17-2号文書の中で次のような説明がされました。


つまり、「研修資料については、著者本人から非公開の申し出があった」ことから、非公開の処分とする、というのです。
……何か変ですね。どうしてこのような講師を選んだのでしょうか

🔸研修会の講師はどんな人?
講師派遣のサイトには、講師の田中正博氏のプロフィールが紹介されています。

早稲田大学卒業後、 電通PRセンター(現電通パブリック・リレーションズ)に入社。常務取締役、専務取締役、顧問を経て、2001年に独立。現在、株式会社田中危機管理広報事務所 代表取締役社長。クレーム対応、訴訟問題、企業不祥事など、2000件を超える危機管理のコンサルティングに従事。

講師の方は、「電通」の関連会社で長く勤務をされていたようですね。
研修会の講師料として上尾市が支払った額については情報公開請求していませんが、上尾市の令和6年度の予算書(総務管理費)には次のように掲載されています。
(予算額は千円単位)

このとおり、職員対象のコンプライアンス研修の講師料が20万円計上されていますので、上述の研修会の講師に支払われたと思われます。

🔸5年前にも同じようなことが…
実は、「講師の都合により、コンプライアンス研修の中身について公開しない」という対応は、今に始まったことではありません。5年前にも同様の事案がありました。

その時の研修会の様子が、上尾市のHPに掲載されていました(現在は上尾市HPから削除されていますが、国立国会図書館のアーカイブにより復元しました)。

私はこの時も研修内容について情報公開請求しています。
その結果は次のとおりでした。

2019年7月9日に上尾市文化センターにおいて開催された、「コンプライアンス研修」の研修資料については、公に公開されていないものであり、著者本人から研修資料を含めた研修の一切を著作物として非公開としたい旨の申し出があったことから、著作権の保護を図るため、上尾市情報公開条例第7条第1号により非公開とする。

あれ?どこかで見たような気がしませんか?
そう、上で紹介した令和7年4月11日の文書とほぼ同じ説明なのです。
つまり、5年前から何も変わっていないということになります。
ただし、5年前の時は、「市民ファーストはもちろんだが、目の前の市民だけではない。公務員は全体の奉仕者であることを自覚して行動すべき」ということを学んだことがHPで明らかにされています。

🔸研修講師について市長に政策提言しました
以上の事実があることから、私は上尾市長に政策提言しました。

上尾市職員の「コンプライアンス研修」や「ハラスメント防止研修」が実施されているかどうかを調べたところ、直近では昨年の7月末に「コンプライアンス研修」が開催されていることがわかりました。この研修には、市長や教育長を含めた特別職及び課長級以上の職員103名が出席しています。
どのような研修の中身なのか知るために当日の資料開示を求めたところ、拒否(=非公開)との処分とされてしまいました。非公開の理由は「研修会講師から資料を著作物として非公開とする旨の申し出があった」ということでした。
すなわち、市の担当課は、市民からの開示請求を受けて初めて講師に「資料を公開してよいか否か」を聞いていること、同時に、研修会開催前に講師に「開示請求がされた場合には研修資料を公開してよいか」を確認していないことが明らかになりました。
実は5年前にも同様の事案が起きています。その時の担当課の説明は「2019.07.09に上尾市文化センターにおいて開催されたコンプライアンス研修の研修資料については、公に公開されていないものであり、著者本人から研修資料を含めた研修の一切を著作物として非公開としたい旨の申し出があったことから、著作権の保護を図るため、上尾市情報公開条例第7条第1号により非公開とする。」というものであり、今回とそっくり同じ理由で資料の公開を拒んでいます。したがって、今回研修資料を非公開としたことは、5年前の事案の「前例踏襲」とも言える対応となっています。
市長や教育長を含めた上尾市の職員がどのようなコンプライアンス研修やハラスメント防止研修を受けているのかについて、市民はその中身を知る権利があることは当然のことです。
今後、コンプライアンス研修やハラスメント防止研修を実施する際には、事前に講師に「研修終了後、開示請求があった場合は資料の中身を公開する」ことを前提としたうえで研修をおこなうようにすることを政策提言いたします。

🔸驚くべき市長の「回答」
この政策提言について、上尾市長から「回答」が届きました。

この回答、何かおかしいですね。とりわけ、
『今回のご提言に当たり、本市で研修実績がある5者に確認したところ、いずれの者も「研修資料の公開を前提とした場合は、講師の依頼は受けない」とのことでした』
つまり、「研修実績がある5者」に限って確認していることになります。
これを解消するためには、「(研修資料を市民に公開することを可とする)新たな講師を選定する」ことです。

たとえば、YouTube で「コンプライアンス研修動画」で検索すると、研修の内容がそのまま動画としてアップされています。こうした動画を市の担当者は見ずに「公開を前提としない」条件の講師を選定しているのでしょうか。甚だ疑問です。

市の予算から多額の講師料を支払ったうえに、その中身を公開しないというのは、市民としては納得できるものではありません。すぐにでも改善すべきではないでしょうか。

🔸上尾市行政の姿勢や体質が次々と明るみに
今記事では、教育長がどのような「ハラスメント防止研修」や「コンプライアンス研修」を受けているのか知るために情報公開請求したところ、上尾市が依頼している講師が研修会の資料を公開させないこと、また、市長がそのことを是認しているという事実が判明したことについてお伝えしました。
今までの記事でも言及してきたとおり、上尾市では市長も教育長も自らが出席してのタウンミーテイングを開催していないことも含めて、上尾市行政・教育行政の姿勢や体質が明らかになりつつあります。

当ブログでは、引き続き、事実関係の資料等に基づき、上尾市行政や教育行政の真実に迫っていくつもりです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA