「全国初!英語の地域クラブ」と市長は自慢しますが、本当ですか?

上尾市のHPに「市長公約に係る上尾市の取組状況」が掲載されています。
これもやりました、あれも実現しました…というようなことが羅列されていますが、それぞれの記載が「本当にそうなのか」について検証する必要があると思います。
その一例として、今記事では「全国初!英語の地域クラブ(イングリッシュサロン)」という記載が本当に「全国初」なのかについて検証していきます。

No.373

🔸「市長公約に係る上尾市の取組状況」とは?
上尾市のHP「市長のページ」に、「市長公約(2期3年目)に係る上尾市の取組状況」が掲載されています。中身を見ると、項目が1~8まであり、「達成」や「着手」との自己評価(注:市長の評価であって、市民の評価ではありません)が記載されています。
では、「市長公約」と「取組状況」との関連性を、[子育て世代が頑張れるまち]を例に見ていきましょう。

【市長公約】
[子育て世代が頑張れるまち]についての市長の公約は上の4項目です。
これが「市長公約に係る上尾市の取組状況」として、書き加えられています。


あれ? ずいぶんと項目が増えましたね。4項目の公約が16項目になりました。

🔸「全国初!英語地域クラブ」は事実ですか?
では、項目の一つである「全国初!英語地域クラブ(イングリッシュサロン)」が事実かどうか検証していきます。

上尾市の「イングリッシュサロン」とは、もともと職員の[政策企画制度]によって実施された企画です。「政策企画提案 概要調書」には次の記述があります。

[事業実施の効果]の欄に「埼玉県内で初の英語に係る地域クラブの設立であり…」と書いてあります。 ん?? 市長が「★★★ 達成」と強調する「全国初」ではないですね。

「全国初」ではなく、企画提案の段階では「埼玉県内で初」だったことが資料から明らかになりました。 どうして「県内初」→「全国初」に変わってしまったのでしょうか。

もうひとつ、[事業実施スケジュール]の欄を確認しておきましょう。
令和6年度 4月から6月 各校へ参加者募集及び説明会の実施
7月から8月 英語クラブの活動開始  と記載されています。

上尾市でイングリッシュサロン(ES)がいつから始まったのかがわかりやすい資料として、総合教育会議での学校教育部長の発言があります(No.338記事参照)。
その発言を確認してみましょう。

【2024.07.23 令和6年度第1回総合教育会議 会議録より学校教育部長発言】

学校教育部長の発言のとおり、上尾市ではイングリッシュサロンを2024.07.20(土)に「プレ事業」としてスタートさせたのです。

🔸「全国初!地域英語クラブ」は本当?
では、市長が言っている「全国初」が本当かどうか検証します。
検索してみると、すぐに出てきたのが次の資料です。


このとおり、奈良県生駒市では、2023年11月から「地域英語クラブ」がはじまっています。もうひとつ資料がありますので見てみましょう。


この資料で、「新たな地域クラブ活動」としての英語クラブの体験会が実施されたのが、10月14日(土)と10月28日(土)であり、曜日から2023年であることが判明しました。
上尾の「プレ事業」は、学校教育部長の発言どおり、翌年の7月20日からですから、生駒市のほうが9か月早かったことになります。

なお、「リトルパイン」というのは、生駒市が委託している会社で、上尾市で言えば「ジョイトークイーストジャパン」と同じ立場と言えます。
※ジョイトークイーストジャパンは、上尾市のALTを全面的に受託している会社で、今年度のALT委託の予算額は 1億6千156万8千円が計上されています。また、「イングリッシュサロン」も同社が請け負っています。

[他の自治体では?]
生駒市以外の例では、群馬県高山村の「どよう英語クラブ」の取り組みがあります。
参考のために、microsoft copilot に訊いてみましょう。


これらの事実関係から、次の結論が導き出されます。

当ブログの結論:市長が「公約達成」とする「全国初!地域英語クラブ」という記述は「全国初」ではありません。

🔸「市長公約に係る上尾市の取組状況」のさらなる検証を
今記事では、【「全国初!英語の地域クラブ」と市長は自慢しますが、本当ですか?】というテーマで、資料や事実関係に基づきお伝えしてきました。
「県内初でも全国初でも、どちらでもいいじゃないか」という方もおられるかもしれませんが、私は些細な問題だとは考えていません。上尾市のHPに掲載しているのと全く同じ内容が、先日配布された市長のビラにも「活動報告」として挙げられています

また、これ以外にも、「英語に力を入れている」ことが強調されています。
たとえば、「教育課程特例校」の実践について書かれていますが、5年経過しているにもかかわらず、教育委員会としての効果検証がされていません。
さらに、「触れる地球 SPHERE」を活用した授業を実施と記載されていますが、「触れる地球 SPHERE」は、もともと寄贈されたもので、市が予算化して購入したものではありません(このことに関しては、当ブログNo.338記事を参照してください)。

今記事で検証しただけでも様々な事実が浮かび上がってきました。このことからも、他の「市長公約に係る上尾市の取組状況」の検証も必要だと考えています。

なお、今記事でお伝えした事実関係については、市当局や教育委員会としてどのように捉えているかを確認するために、情報公開請求をおこなっています。何らかの結論が得られれば、当ブログで再度お伝えします。

“「全国初!英語の地域クラブ」と市長は自慢しますが、本当ですか?” への2件の返信

  1. 市長への質問

    令和7年3月上尾市議会定例会において、教育長の再任を求める市長答弁があり、その中で英語の地域クラブ(イングリッシュサロン)について触れている箇所がありました。

    市長答弁
    「就任後、全小学校1、2年生への英語活動やALTの全校配置を継続するとともに
    全国初となる英語の地域クラブ イングリッシュサロンに取組むなど英語教育の推進に尽力している。」

    この答弁について、上尾オンブズマン様から頂いた情報をもとに市長へ質問をしました。

    質問1
     
      「就任後、英語教育の推進に尽力している」ということですが、実際に児童・生徒の英語の力が伸びたか否かの検証はおこなわれておらず、成果は不明です。

    成果が不明のままで何故英語教育の推進に尽力していると言い切れるのかを
    ご説明ください。

    質問2

    英語の地域クラブは存在している(群馬県高山村など)ことから、取り立てて「全国初」と強調する必要は無く、そもそも、上尾市内中学校には英語部がありません。

    また、アンケート結果から、英語クラブ希望者は、中学生は3,204名中1名、小学生は3,260名中2名しかいないにもかかわらず、「ニーズがある」と言って無理やり「施策提案制度」に入れたというのが実態です。

    このようにして発足させたイングリッシュサロンは、定員を大きく下回っており、令和7年度は仕方なく公民館等6か所を4か所にせざるを得なかった、いわば失敗の企画です。

    アンケート結果を無視した強引な施策を推進し、危惧された通りに失敗を犯した教育長が、何故英語教育の推進に尽力していると言い切れるのかをご説明ください。

    この質問に対する市長の回答は・・・

    質問は、市長への政策提言制度を利用して行い、同制度ではどんなに遅くとも1か月以内に回答することとなっています。

    しかしこの質問をした4月16日から、既に5か月近く経過しているにもかかわらず、未だに回答がありません。

    余程都合が悪い質問だったのでしょうか・・・

    1. コメント、ありがとうございます。

      よほど都合の悪い質問だったんだと思います。
      引き続き、「あの質問の答えはまだでしょうか」と聞き続けることをおすすめします。
      私も、市長にとっての「不都合な真実」を市民に伝えていきたいと考えています。

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