「スクールソーシャルワーカー」は今の待遇で良いのでしょうか?
上尾市に「スクールソーシャルワーカー(SSW)」という職員が配置されていることをご存知でしょうか? このSSWについて、教育委員会は役割の重要性を強調しています。
では、SSWの任用や待遇の面はどうなっているのでしょうか?
今記事では、議会質問も含めて今まで取り上げられていない問題、すなわち上尾市で採用されているSSWの任用や待遇などについてお伝えします。
No.391
🔸スクールソーシャルワーカー(SSW)とは?
SSWの役割について、文科省は次のように定義しています。
「問題を抱えた児童生徒に対し、その置かれた環境へ働きかけたり、関係機関とのネットワークを活用したりするなど、多様な支援方法を用いて課題解決を図ること」
SSWは、「教員がアクセスしにくい福祉制度や地域資源を、子ども支援に活かす橋渡し役」として捉えると、「学校に配置されてこそ、SSWとしての役割が生かされる職種」であると言えます。
上尾市では、SSWについて次のように説明しています。
(『令和7年度 教育センターの手引き』P2 より引用)

この中の①から⑤までを見ても、SSWが重要な役割を担っていることがわかります。
ただし、④に「保護者、教職員等に対する支援・相談・情報提供」とありますが、「いじめ重大事態に関する調査」は入っていないことに注目する必要があります(後述の指導課長の発言との整合性の問題)。
🔸上尾市でのSSWの配置状況は?
上尾市におけるSSWの配置状況はどうなっているのでしょうか?
以下は、上述の『令和7年度 上尾市教育センターの手引き』からの引用です。

このとおり、教育センターに8人のSSWの席があることがわかります。
また、次のことが判明しています。
*上尾市では、SSWは学校に配置されていません。
*教育センターにいるSSWは、市の採用が6人、県の採用が2人です。
🔸SSWの任用は年間90日だけ
上尾市で勤務するSSWの任用の状況を見てみましょう。
以下は、情報公開請求で入手した上尾市の募集要項からの引用です。
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一方、県が採用し上尾市に派遣されるSSWはどうでしょうか?
(市町村に任用されるSSW関係について引用します)
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このとおり、市採用も県採用も任用期間(年90日/週2日勤務)・勤務時間(1日6時間)については市も県も同じですが、異なるのは、1日あたりの報酬です。
市採用=日給 12,440円
県採用=日給 10,060円
実に、1日につき2,380円もの差があります。
教育センターに確認したところ、市も県も全く同一の業務であるとのことです。
これでは、「同一労働・同一賃金」とは言えない状況です。
上尾市は埼玉県にこの状況を伝え、改善してもらうか、または報酬の差額を補填すべきではないでしょうか。
🔸前指導課長の発言とは?
SSWが受け持つ業務は上述のとおりですが、「教育委員会は、都合の良い時にSSWを《活用》しているのではないか?」という疑念が生じています。そのことを検証します。
3月4日の市議会・文教経済常任委員会の席上、「いじめ重大事態」の関連で、SSWについて、武田指導課長(当時。武田氏は現在学校教育部長)は次のように発言しています。
(会議録が公表されていないため、中継録画を文字起こししたものです。実際の武田氏の発言は議会中継録画(25:35~)で確認できます。)
| (いじめを受けた被害者の保護者から)「(報告書には)スクールソーシャルワーカーが構成員に記載されているが、協議・検証・報告書作成に関与しておらず、『ガイドライン』で求める専門家の参画が実質的に行われていない」と指摘されておりますが、教育委員会では、第三者性・専門性を担保するため、教育委員会の指導主事に加えて、スクールソーシャルワーカー、教育心理専門員、教育相談員といった第三者性、また専門性を有する委員を調査組織に構成したうえで児童・保護者の聞き取り調査を担当いたしました。 |
上の武田氏の発言は、次の2つについて言及しています。
①R6年のいじめ重大事態の被害者の保護者から「(教委作成の報告書案には)SSWが調査の構成員として記載されているが、実質的には参画していない」と指摘を受けている。
②教育委員会では、SSWを専門性を有する委員として調査組織に構成し、児童・保護者の聞き取り調査を担当している。
しかしながら、武田氏の発言は、次の点で疑問が生じます。
| 上述のとおり、上尾市のSSWの任用は年間90日とされています。 はたして、このような現状で、「いじめ重大事態」について継続的に調査主体の構成員となれるのでしょうか? 「調査主体の構成員」とされたSSWの方は、任用形態(年90日・週2日勤務)から考えて、同じSSWの方が次回の調査に加われることは難しいでしょう。必然的に、他のSSWに状況を伝えることになり、継続性という点で極めて疑問です。何よりも、市教育センターが示しているSSWの業務の中に「いじめ重大事態の調査」は入っていないのです。 |
市議会文教経済常任委員会において、当時「市教育センター所長」でもあった武田氏がこのような発言をしたこと自体、現状の制度との整合性が問われるのではないでしょうか。
🔸お隣のさいたま市では
では、他の自治体でのSSWの状況はどうでしょうか。
さいたま市のR7年度の募集要領が見つかりましたので、次に示します。

上尾市とさいたま市の違いは明らかです。
上の募集要項で、少なくとも次の違いがあると言えます。
上尾市では教育センター、さいたま市では学校にSSWが置かれていること、
任用期間も上尾市=90日、さいたま市=185日、1日の勤務時間は上尾市=6時間、さいたま市=1日7時間となっています。
なぜこのような差があるのでしょうか。
このような実態について議会で質問してもらいたいと考えますが、市議会での一般質問では、SSWの待遇面に関する質問はされていないようです。
🔸市議会でのやり取りから
直近では、市議会R7年 12月議会の一般質問で、SSWに関する質疑がありました。そのうち、今記事に関連すると思われるやり取りを見てみましょう。
| (前島るり議員)……何かしらの課題を抱えている子どもたちのことを一番お分かりなのは学校現場かと思います。そこで、そのような子どもたちへの学習支援以外の支援についてお聞かせください。 |
| 学校教育部長(瀧澤誠) 学習支援以外の支援につきましては、教育センターにおいて学校からの依頼を受け、スクールソーシャルワーカーを家庭に派遣し、保護者から直接相談を受け、生活支援等について助言をしたり、家庭の状況に応じて関係機関につないだりしております。 |
| (前島るり議員)……ヤングケアラーや虐待などのほか、保護者の生活面での課題など、子どもたちへの影響は大きいものであると考えます。スクールソーシャルワーカーさんも小・中学校33校に8名体制、お一人2週間の勤務と伺いました。…(略)… また、高校の先生もこんなことをおっしゃっていました。ソーシャルワーカーなどに相談をつなぐと、担任に解決能力がないという評価を受けてしまうのではないか、そのような考えでなかなかソーシャルワーカーにつなぐことに抵抗がある、そういう教員の方がいらっしゃるかもしれない、そんなことも伺ったことがあります。専門職への相談が少ないのがよいのか否かは、一概には判断できませんが、悩みのあるお子さん、ご家庭、もっとたくさんあるのではないでしょうか。さらに十分な支援の手を差し伸べていただきたいと強く強く要望いたします。 |
| (稲村久美子議員)……家庭に対しての支援強化についてお尋ねしたいのですけれども、ではこの不登校児童のいる家庭というのはやはり孤立しやすいわけです。相談がしづらいというものもありますし、自分の子がそうなってしまうというのは親にとったら非常にショックな出来事でもあるので、孤立しやすいため、家庭への伴走型支援員の導入というのはどのようになっていますでしょうか。 |
| 学校教育部長(瀧澤誠) 本市では、学校からの派遣依頼を受け、家庭への訪問相談や関係機関につなぐ支援などを行うスクールソーシャルワーカーを教育センターに常に配置し、対応しているところでございます。 |
| (稲村久美子議員) そのスクールソーシャルワーカーの存在すら知らないというのが割と聞かれるのです。こういう方いますって言うけれども、誰ですか、それという、まだまだ本当に認知されていない。 何でそういうことが起きるのかって、先ほどもちょっと前島議員なんかも話したけれども、やはり幾らあったってつながらなかったら意味がないではないですか、利用できる制度があったとしても。 どうしたらそこがうまくつながるのか、課題としていただきたいなと思います。せっかくつくったわけですから。(後略) |
以上のやり取りで、前島議員の発言の中で「スクールソーシャルワーカーさんも小・中学校33校に8名体制、お一人2週間の勤務と伺いました」というのは、明らかに事実関係の誤りです。
募集要項に明記されていますが、「お一人2週間」ではなく、「週に2日」です。
「伺いました」ということから、おそらく市教育センターの担当者から話を聞いたと思われます。議会で質問する内容なので、数字は正確に担当者が伝えるべきです。また、議員の方も、根拠となる「募集要項」や「市教育センターの手引き」を手元に用意して質問すべきではないでしょうか。
また、稲村議員は「(せっかくつくったのだから)どうしたらそこがうまくつながるのか、課題としていただきたいなと思います」と述べていますが、課題として提示するだけではなく、「なぜ学校に配置しないのか」「SSWの現状は他の自治体と比べてどうなのか」などについて質問してもらいたかったと私(当ブログ館主)は考えています。
さもないと、学校教育部長の「本市では、学校からの派遣依頼を受け、家庭への訪問相談や関係機関につなぐ支援などを行うスクールソーシャルワーカーを教育センターに常に配置し、対応しているところでございます」という答弁のままで良いということになってしまうのではないか、という懸念が生じます。
🔸SSWの役割と待遇について再考を
今記事では、市教育センターに席が置かれているスクールソーシャルワーカーの配置状況や市採用SSWと県採用SSWとの待遇の差、さいたま市との差、議会質問でSSWの待遇については質問されていないことなどについてお伝えしてきました。
不登校の児童生徒が急増している現在、上尾市には、SSWの果たす役割とそれに伴う任用や待遇について再考していただきたいと私は考えます。
🔸カタカナ英語?の職種について
今記事でお伝えした「スクールソーシャルワーカー=School Social Worker は英語由来なのでまだしも、このところ、市教委はやたらとカタカナ英語?を使った職種を新設したり、予算化したりしています。
たとえば、次に掲げるものです。
スペシャルサポートルーム(SSR)=教室に入れない子のために各学校に設ける部屋
サポートルームティーチャー(SRT)=SSRで子どもたちの面倒を見るスタッフ
アッピー部活動コーチ(ABC)=部活動の「地域展開」でのコーチ役
アッピー部活動サポーター(ABS)=部活動の「地域展開」での補佐
スクールサポートスタッフ(SSS)=掲示物の作成や資料印刷など教員の補助
まだあるかもしれません。
それぞれ、カタカナ名とその英字略のようですが、ちょっとどうかと思うのは、
アッピー(A)部活動(B)コーチ(C)の略が「ABC」ですか??
「部活動」がBとは? もしかして、Bukatudou のBでしょうか?
(英語圏に「部活動文化」は無いでしょうから、あえて言えば、Clubの”C”?
そうなると、「ACC」になりますが…?)
「英語教育に力を入れている」はずの上尾市で、カタカナ英語を撒き散らしてはよくないのでは? でも、実際にはこのようなことがまかり通っているのが、何とも奇妙ですね。
その関連で言えば、「スクールロイヤーの活用」という事業が予算化されています。
次回以降の記事では、スクールロイヤーについて考えていく予定です。



