「識見を有する」教育委員の発言&それを「聞き流す」市教委事務局

先週(6月24日)上尾市教育委員会6月定例会を傍聴しました。
当日は「非公開の議事」が無かったため、傍聴者は最後までいられましたが、会議の所要時間は「結果概要」によれば、わずか37分間でした。

傍聴していて、相変わらず教育委員からは「的外れ」あるいは「当然知っていていいはずなのに知らないことが露見した発言ばかりとの印象を持ちました
定例会では時折、核心を突くように聞こえる質問もありますが、深掘りされることは無く、事務局の説明にまるめ込まれてしまっているように見えます。

正直、「教育委員のお歴々は、事務局に軽くあしらわれているな」という感想です。

地教行法(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)により、教育委員とは「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもの」であるはずですが、実際には教育委員の発言を市教委事務局は「聞き流している」のではないかと言わざるを得ません。
今回は、このことに関連してお伝えします。

No.228

🔶「全員起立して教育委員をお見送り」の薄気味悪さ
ここ何年か傍聴を続けていますが、教育委員会の定例会で非公開の議事が無い場合(6月がそうでした)、傍聴者は会議の終了まで会場にいることになります。
そうなると、「実に薄気味悪い光景」を目の当たりにします。
それは、市教委事務局の職員(部長・次長・課長など12名)が全員起立して、5人の教育委員に頭を下げ、「教育委員のお見送り」をするという図です。
(ちなみに、上記12名の内、女性は1名しかいません)

市教委事務局に聞いてみたいのですが、
何のためにこんな習慣があるのですか?
今回もまた「全員一致・異議なし・全件採択」だったお礼ですか?
私の目には、とても「慇懃無礼」に見えました。

※慇懃無礼(いんぎんぶれい)=うわべは丁寧過ぎるほどだが、実は相手を見下していること(三省堂『新明解国語辞典 第7版』)

さらに言えば、これと似たような光景が、学校現場でも見受けられるようです。
それは、「指導課訪問」の際に指導主事が来校し、全体会の席で、職員が「全員起立」し、出迎える(見送る)という図です。狡猾な校長は、その指示(起立してのお出迎え)を当日職員に口頭で伝えるという話も聞いています。

🔶教育長職務代理者や教育委員からの「信じ難い」質問
6月の定例会に「民間スイミングスクールを活用した水泳授業のモデル事業について」という報告事項がありました。「上尾市立学校の水泳授業及びプール施設のあり方基本方針」という方針が2月頃から検討されていますが、基本方針の中に次の文言が含まれています。

なお、民間プールを利用した水泳授業の実施にあたっては、教育的効果等を検証するためモデル事業を実施する。

これについて、大塚崇行委員(教育長職務代理者)から、次のような質問がありました。

「モデル事業は、いつから実施するのですか?」

この質問に、私は耳を疑いました。なぜなら、大塚委員も出席している3月の教育委員会定例会でもこの話が出ており、そのときに、事務局から「令和5年度からモデル事業を実施する予定」であるとの説明がされているからです。

上尾市教育委員会3月定例会 会議録より

また、「教職員数」の報告について、矢野誠二委員からは次の質問が出されました。

「本務者の用務員さんは(全市で)1名となっていますが、各学校2~3人いるのでは?」

今年度から教育委員になった矢野誠二氏に関しては、昨年度、同姓同名の方が原市中学校の学校運営協議会委員となっています。
原市中学校学校運営協議会会議録(2021年5月)
もし同一人物であれば、中学校の学校運営協議会委員の経験があるのですから、各学校に数名いる用務員さんがシルバー人材センターから派遣されていることくらい、知っていて当然だと私は思います。案の定、定例会の席上で学務課からその旨説明されていました。

大塚委員に限らず、教育委員がこのような「わかりきった」質問を続けていると、事務局から「甘くみられる」ようになってしまうのではないでしょうか。鋭い質問とまでは言いませんが、せめて事務局が多少緊張するような質問をしてもらいたいものです。

🔶「もう少し深掘りすればいいのに」と思わせる発言
今記事冒頭で、「時折、核心を突くように聞こえる質問もあります」と書きました。
その意味で、私は谷島委員の発言に注目しています。直近では、4月定例会では次のような質疑か交わされています。

(上尾市教育委員会 2022年4月定例会 会議録より)※強調のため色替えあり
(谷島 大 委員)    
報告事項1の市議会の一般質問の中で、 報告資料23ページで、 教員の働き方改革に関連する質問がありました。この問題に対しては 答弁にもありますように、様々な対策が講じられていて、今後の成果が待たれるところだと思っています。
そのような中で、現場の学校の先生と話す機会が先日あり、その会話の中で、今様々な対策により作業内容の負担や時間的な負担が軽減されていてありがたいという話とともに、やりたいことに時間を取りづらくなっている雰囲気や、あるいは休日の行事などに参加しづらくなっているような雰囲気があるというような話を伺いました。
教職員の勤務時間数や、その人数の確保などで数字の 目標を達成するため取組も重要であると思いますが、現場の先生方の意欲ややりがいを損ねるようなことがあってはいけないなと感じ ています。
そこで、教育委員会として、働き方改革などについて現場の先生方から直接意見や希望を吸い上げるような仕組みや機会があるのか伺います。

また、現場からの声としてこの取組に対する課題などを把握していることがありましたら伺います。
(田中栄次郎 学務課長)
教職員からの声という部分については、教職員を集めて意見を聴取するという機会は現在特段設けておりませんが、校長会等を通じて、そのような件の話をしながら、意見を出していただいている ところでございます 。なお、上尾市の働き方改革基本方針が 8月31日で現行の期間が終了しますので、それを更新する過程において、そういった直接職員から意見を聴取する機会を設けていきたいということで、検討しているところでござい ます。

このように、谷島委員は 「現場の先生と話す機会があり」そこで話を聞いたが、「教育委員会として現場の先生方から意見や希望を吸い上げているか」と尋ねているのです。

これに対して、学務課長は
*教職員から意見を聴取する機会は設けていない。
*校長会等を通じて意見を出してもらっている。
と回答しています。
つまり、校長からは聞くが、現場教職員の声は直接聞いていないということなのです。
この要因としては、当ブログで何度か指摘しているように、市教委事務局と校長とが極めて親和性が高いことによります。

谷島委員の質問は、かなり核心を突いていると私は考えています。
できれば、「なぜ現場の教職員の声を聞かないのか」「いつ頃現場教職員の声を聞くつもりなのか」と「深掘り」してほしかったと思います。

また、昨年10月の上尾市議会「学校施設基本計画調査特別委員会」に出席した直後の教育委員会定例会で、内田委員は次のように発言しています。

2021年10月教育委員会定例会 会議録より

「5人の教育委員の中で、会話がいままでになかった」ことを「反省」したはずの内田委員ですが、その後、その反省が生かされていないように思えます。
ぜひ、教育委員会の定例会の場で、教育委員相互の議論を活発におこなってください

🔶上尾市の教育委員報酬の額は白岡市の 5.8倍です
以前から当ブログでは、教育委員への報酬(下記参照)が高すぎるのではないかとの指摘をしてきました。

(上尾市)教育長職務代理者の報酬 月額 75,000円(=年額900,000円)※白岡市の 5.8倍
(上尾市)教育委員の報酬 月額 64,000円(=年額768,000円)※白岡市の 5.8倍

ところが、私が入手した資料によれば、白岡市のそれは以下のようになっているのです。

(白岡市)教育長職務代理者の報酬 年額 154,500円  
(白岡市)教育委員の報酬 年額 132,300円

白岡市でも、教育委員会定例会は毎月開催されています。
いったい、この差は何なのでしょうか

今記事の冒頭で言及したとおり、6月の教育委員会定例会はわずか37分間でした。
今回も、教育委員から事務局に投げかけられる質問や要望はゼロ
教育委員同士での議論も無し
どうにかこの現状から脱却してほしいものです。

“「識見を有する」教育委員の発言&それを「聞き流す」市教委事務局” への2件の返信

  1. この前お寺に行ったら、ある会社の宣伝がやたら目につきました。
    教育委員さんの会社ですね。

    1. コメント、ありがとうございます。
      おっしゃるとおり、相当手広く事業を展開しているようです。

      市のHPトップページ下部に出ている広告によれば、教育委員は「アクティブな社長の社外活動」だそうです。

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