上尾市教育委員会の不都合な真実 ーいじめ調査委員の選出経緯の闇ー
2014(H26)年の9月から「上尾市いじめ問題調査委員会」が設置されました。その委員の選出経緯等について調べていくと、またもや上尾市教育委員会の不都合な真実が浮かび上がってきました。
記事No.40
■「調査委員会」設置の経緯と委員の役割
「上尾市いじめ問題調査委員会」は、もともと2013年に国が「いじめ防止対策推進法」を定めたことを受けて上尾市でも設置されたものです。調査委員(定員5名)の活動内容は、委員推薦の依頼状によれば次のように説明されています。
重大事態に該当するいじめが発生し、各上尾市立小・中学校での調査が困難な場合に、当該重大事態について他4名の委員とともに調査をおこなう。 |
ただし、結論から言えば、上尾市いじめ問題調査委員会が発足してから丸5年間、実際に委員が「重大事態」を調査したということは、一度もありません。
■委員の中には不可解な人選も
調査委員の任期は2年。2014(H26)・2016(H28)・2018(H30)と2年毎に発令されていますが、メンバーはほぼ変わりません。
以下、委員会発足時の調査委員名
○大澤一司氏(アーク法律事務所 弁護士)=「弁護士」枠
○平山優美氏(県立小児医療センター 精神科医)=「医師」枠
○相川章子氏(聖学院大学人間福祉部 教授)
=「心理、福祉に関し専門的知識を有する者」枠
○井川 隆氏(元 上尾市立上尾中学校長)=「識見を有する者」枠
○和氣昭祐氏(上尾市人権擁護委員会 委員)
=「その他教育委員会が必要と認める者」枠
前記の人選については、情報開示の結果、5名の内4名の方は、それぞれ所属されている機関等に推薦依頼を出し、推薦された人物を委員として委嘱しています。たとえば「弁護士」枠であれば、「埼玉弁護士会 会長」宛に推薦依頼を出し、大澤一司氏が推薦されています。
ただし、ひとりだけ例外がいて、それは「識見を有する者」枠で委員に委嘱された井川 隆氏です。
井川氏については、元 上尾市立上尾中学校長という「役職」になっていますが、校長会(or退職校長会)に推薦依頼は出していないそうです。情報公開開示の担当者(市教委事務局指導課職員)も、どうして井川氏が委員になったのかは不明であると言っています。
井川氏を除く4名の方は、現在も調査委員として継続しています。井川氏は、2016(H28)年も調査委員となっていますが、その際の「役職」は、「国際学院中学・高等学校 副校長」に変わっています。この時も推薦依頼の文書はありません。
2018(H30)年に井川氏の後を継いだのは、柿崎登氏で、「役職」は井川氏と同じ「国際学院中学・高等学校 副校長」となっています。同様に推薦依頼の文書は無く、不可解な人選と言うほかはありません。まさに「上尾市教育委員会の不都合な真実」です。
■わずか1時間ほどの会合で15,000円の報酬
この調査委員5名には、年度1回の会合とはいえ、報酬が支払われています。上尾市の「支出命令票」が開示されましたが、それによれば、各報酬支払額は、
委員長の大澤氏には 16,000円、他の4名(出席者)は 15,000円ずつとなっています。
担当の指導課職員に尋ねたところ、会合に要した時間は(正確ではないが)およそ1時間位であろうということですので、委員さんたちは、時給 15,000円ということになります。
■市教委は調査委員の人選について再考を
5年前に設置されて以来、一度も活動の実績が無いいじめ問題調査委員会。上述のとおり「重大事態に該当するいじめが発生」しない限り、実際の活動をすることはありません。では、「重大事態」とは何か。「いじめ防止対策推進法」では、次のように定義しています。
◇いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき |
もちろん、こうした事態は無いほうがよいですが、以上述べてきたとおり、少なくとも調査委員の不可解な人選を再考し、透明性を確保することが、上尾市教育委員会に求められているのではないでしょうか。