市教委選出<学識経験者>の実像

 教育委員会の事務に関する点検評価報告書』が、昨年の12月11日に上尾市教委HPに公開されました。
この『報告書』に「第三者的立場」から意見や提言を述べる役目を負う<学識経験者>が現在3人います。その中の一人であるY氏は、上尾中学校運営協議会(コミュニティスクール)委員にもなっていますが、同協議会委員による「リレーエッセイ」へのY氏の投稿は「え? なにこれ?」と思わせるものです
(問題の文章は、今記事の最後のほうにリンクがあります。)

 今記事では、Y氏が『報告書』の中で意見や提言をする立場の<学識経験者として本当にふさわしい人なのか甚だ疑問であるということをお伝えします。

記事No.52

『報告書』について
◇市教委HPに掲載されたのは「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下、「地教行法」)」で議会への報告と住民への公開が義務付けられている教育委員会の事務に関する点検評価報告書(以下、『報告書』)』です
※市教委HPからは2019.12.11の更新情報からでないと最新版は見られません。

◇報告書の「事務」とは、教育委員会の業務全般のことを指し、内容は、学校教育はもとより、家庭教育、生涯教育、文化・芸術、スポーツ・レクリエーション等に及んでいます。
◇上尾市教委は、2017年度まで 156頁あった『報告書』を、昨年度と今年度は約60頁に減らしました。これは、「法律で市議会提出の義務があるものの、特に議員から質問も無いことから、そんなに長文の報告書は作成しなくてもよいのではないか」との市教委の判断で頁数の大幅減になったものと思われます。
『報告書』は、<前年度に教育委員会がおこなった事業について、教育委員会自らが点検・評価した報告>に対して、「第三者の視点が必要」ということで市教委が選んだ<学識経験者>が意見・提言を述べるという形式を取っています。
ここでは「学校運営協議会」&「コミュニティスクール(CS)」について『報告書』の中でどう記述されているか、また、それに関連する<学識経験者>の意見・提言に絞って見ていきたいと思います。

■「学校運営協議会」&CSについて
◇「地教行法」が2017年に改正され、コミュニティスクール(学校運営協議会制度)が本格的に動き出しました。上尾では、昨年度は3校(上尾小・東町小・上尾中)が先行実施され、今年度からは市内全校が「コミュニティスクール」になっています。また、この制度の詳細は、文科省HPで解説されていますこちら)。
◇運営協議会の委員は、文科省の解説では、「幅広く適任者を募る観点から、例えば、公募制の活用等選考方法を工夫するとともに、地域住民や保護者等へ広報、周知に努める必要がある」とされているものの、実際には、その学校の地域住民や保護者、「対象学校の運営に資する活動を行う者」や「その他当該教育委員会が必要と認める者」が委員となっているようです。今記事で取り上げるY氏は、「教育委員会が必要と認める者」枠で上尾中の学校運営協議会委員になったと考えられます。

■<学識経験者>のCS関連の記述
◎(前提)2017(H29)年4月1日 地教行法改正(CS関連)
H29報告書(2017年10月教育委員会定例会で全員一致可決)
 <学識経験者3名> 聖学院大特任教授・元上尾小校長(Y氏)・元富士見市職員
学校運営協議会の設置の方向になっていくわけであるが、校長は学校経営方針をしっかり持ち、協議会の方々に翻弄されないようにし、協議の内容も教育委員会と共に決めていく必要があると思う」
<学識経験者>の意見は、各年度『報告書』の記述によります。)

H30報告書(2018年10月教育委員会定例会で全員一致可決)
 <学識経験者3名> 聖学院大特任教授・元上尾小校長(Y氏)・元上尾市職員
「法律に基づいた仕組みであるコミュニティ・スクール(学校評議員会制度)を上尾市全体で推進する施策に期待したい。H30年度に、上尾小・東町小・上尾中の3校にコミュニティ・スクールが設置され、成果が楽しみである」

H31報告書(2019年10月教育委員会定例会で全員一致可決)
 <学識経験者3名> 聖学院大特任教授・元上尾小校長(Y氏)・元上尾市職員
コミュニティ・スクール推進事業においても、学校の要望をもっと出し、地域がそれを受け入れ、協力し、学校がもっと安心して、子どもたちのために活動できるようにさせたい。コミュニティ・スクール設置事業により、学校がさらに忙しくなっては意味がない」

◇以上のとおり、『報告書』には2017年4月の 地教行法改正を受け、コミュニティスクール(学校評議員制度)についての<学識経験者>による記述があります。

■<学識経験者>であるY氏とCSとの関係
Y氏には教育委員の経歴があります。時系列で見ると、
2012(H24)年10月—2016(H28)
年9月 教育委員(4年間)
2017(H29)年8月 『報告書』の<学識経験者>への就任依頼。
2017(H29)年10月 <学識経験者>として『報告書』に意見。
 ⇒ 第1の疑問点
2018(H30)年4月 上尾中学校運営協議会委員に就任
2018(H30)年12月 上尾中「リレーエッセイ」公表
 ⇒ 第2の疑問点

■Y氏についての「第1の疑問点」
◇以前の記事(こちら)でも書いたとおり、『報告書』は前年度の事業について教育委員会が作成し、<学識経験者>が「第三者的観点から」点検評価するものです。
◇市教委のHP「教育委員会のあらまし」には、「上尾市教育委員会は教育長と5人の委員により組織され、教育、学術および文化に関する事項について大所高所からその基本的な方針などを決定します」と記述されています。
◇それにもかかわらず、Y氏が「自分が教育委員として執行した事業(H28年度上半期)」について「第三者としての観点から」意見を述べているのは、どう考えてもおかしいことでありそれを教育委員会が放置しているのも全く理解できません

■Y氏の「第2の疑問点」 —「リレーエッセイ」—
◇上尾中から推薦を受けた上尾市教委は、Y氏を「学校運営協議会」の委員として任命しました。そのことについて、Y氏は、同校運営協議会委員が輪番で書く「リレーエッセイ」で、信じられないような投稿をしています。それがこちら
◇Y氏の「リレーエッセイ」を読み、まず違和感を覚えるのは、冒頭の「学校運営協議会とは、何?」
という箇所です。
◇今記事で実証データに基づきお伝えしてきたとおり、Y氏がこの文章を書いた時点(最初の委員の投稿が8月なので、2018年4月~7月頃に原稿依頼があったと考えられます)で、すでに<学識経験者>として『報告書』に意見を寄せているので、 学校運営協議会についての知識や認識が十分にあったはずだからです。
◇さらに「あー引き受けなければよかった」という文言にいたっては、呆れるばかりです教育委員であった者や『報告書』に意見や提言をする<学識経験者>が書くべき文章では断じてありません。


■この問題の本質とは
◇上尾中では、Y氏のこの文章をそのまま掲載しています。個人の文章表現が保障されるべきなのは自明ですが、少しでもY氏の経歴や、<学識経験者>としてCSに関してすでに意見を述べていることと、このエッセイとが著しく矛盾するということに考えが及べば、別の対応があったとのではないかと思われます。その意味では、今記事でお伝えしたいこの問題の本質とは、
①「元教育委員」&<学識経験者>であるY氏の資質の問題。
上尾中側と学校運営協議会委員との「極めて親和的で、都合の悪いことはお互いに言わない関係性」 であると言えます。

ブログ筆者は、今記事に関する実証的データの全てを市教委HPとそのリンク先から得ています。
上尾市教委も、各年度の「点検報告書」への意見や提言を担当する<学識経験者>の言動についても、たまには check してみてはいかがでしょうか。

投稿者: 館の住人

上尾市民。 「ひとりでもできる行政参画」を目指しています。 とりわけ、上尾市教育委員会や上尾市についての情報公開請求を契機として、教育行政や市政が改善の方向に向かって行けばと考えています。

「市教委選出<学識経験者>の実像」への2件のフィードバック

  1. 読んで納得、我が町の教育レベルです。
    委員の報告というより、日記ですね。
    公的資料に掲載して、恥をかかせる目的かと勘繰る内容です。
    女性を校長・教頭にしよう運動でもあって、タイミングよく校長になったのでは。
    私の小学時代は朝礼でいつも「命を大切にしよう」と語る校長でした。
    こんな幼稚な文章が校長の文章?
    委員のなり手がないのではないか。
    上尾小・上尾中は「自称」我が町ナンバーワンの学校です。
    レベルが非低いのは市役所・市議会だけじゃないことが、よくわかります。

    1. 今記事で取り上げたY氏は、自分が教育委員であった際の事業に関して、<学識経験者>として「第三者的視点」から意見を述べる役割を引き受けています。普通であれば、「自分のかかわった事業については、客観的な意見を言うことはできない」と断るのが当然ですが。しかし、Y氏はその役を受けています。Y氏を選んだ市教委事務局も同罪ですし、追認した教育委員会の会議で何らの質問も意見も出さなかった教育委員のお歴々も同様です。
      おそらく、Y氏にとっては、上尾中の学校運営協議会委員も同様の感覚だったのでしょう。本来なら「法律や、文科省の説明はこうなっているが、私はこう考える」と根拠法令や解釈を示したうえで受諾の意思を表明すべきです。Y氏の作文が、上尾市教委の現状を雄弁に語っていると思います。

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