〈後援〉とは「事業の趣旨に賛同する」ことです。(文末に関連続報あり)

 コロナ感染対策で全国的にイベント等が中止や延期されていますが、上尾市も例外ではありません。取りやめとなった様々な講座や集会等の中には、市や市教委が〈後援〉するものもあったでしょう。今記事では丸山公園での「釣り大会」を例に、市や市教委による〈後援〉とはどういうことなのかお伝えします。

記事No.63

■市&市教委が「釣り大会」を後援している例
 記事No.61
で触れたように、丸山公園で開催された【第16回県民総合体育大会  2003放流・家族釣りの祭典(釣り大会)】について、上尾市&市教委は〈後援〉しています。
それ以前にも、1991年・1990年に【放流・家族釣り大会】が開催されています(この他にも、もっと数多くあるかもしれませんが)。この「釣り大会」は、『広報あげお』に掲載されているように、上尾市が言わば「お墨付き」を与えた催しと言え、次のように説明されています。

(財)日本釣振興会埼玉県支部では、釣りをとおして青少年の育成、家族の対話、ふれあいを図るとともに、自然環境保護の重要性を浸透させるために「放流・家族釣り大会」を開催します。

 つまり、「釣りをとおして青少年の育成、家族の対話、ふれあいと図るとともに、自然環境保護の重要性を浸透させる」という趣旨に賛同するからこそ、市&市教委は〈後援〉をしたことになります。

■市教委の〈後援〉って何だろう?
 では、〈後援〉とはどういうことを指すのでしょうか。市教委が定めている〈後援〉等の定義は、「事務取扱要綱」に示されています。この要綱は2006(平成18)年3月31日に作成されたものであり、それよりも前(上記の例で挙げたことも含め)になされた[行政実例を文章化したものであると言えます。なお、上尾市も同じ日付でほぼ同一の内容の「要綱」を定めています。
「要綱」では、〈後援〉とは「事業の趣旨に賛同し、援助を行う意思を表示することをいう」となっており、〈共催〉〈協賛〉〈推薦〉についてもそれぞれ定義がされています。

■〈後援〉した事実に「時効」はありません。
ブログ筆者は、年明けに以下の内容で情報公開請求しました。

 本情報公開請求書の受理日(=2020.01.06)以前に、上尾丸山公園における「釣り大会」「釣り教室」「魚類の捕獲」(または同趣旨の催しを含む)について、上尾市教育委員会が後援したことが判別できる文書・資料等。

 これについて、市教委(担当=生涯教育課)は、この情報公開請求書を受け付けたわずか4日後に「文書不存在による非公開決定文書を決裁しています。ブログ筆者が情報の開示を求めた文書・資料等について、紙ベースはもちろん、PCの中もくまなく探すには、3~4日間という期間はあまりにも短いものであり、市教委の姿勢は<「非公開処分」先にありき>であったと言わざるを得ません。おそらく、「後援した証拠になる文書は、存在したとしても1年で破棄してしまえば、市教委には責任は無いから」ということで、こうした処分になったと思われます。
 しかしながら、文書保存年限が過ぎたとしても、例として挙げた、丸山公園の釣り大会を上尾市&市教委が後援したという事実は、決して消えるものではありません

 上尾市情報公開条例でも、次のように定められています。

(情報提供の推進)
第26条 実施機関(※)は、情報公開を総合的に推進するため、行政文書の公開を行うほか、市政に関する正確で分かりやすい情報を市民が迅速かつ容易に得られるよう、積極的な情報提供に努めるものとする。
2 実施機関は、市政に関する情報を効果的に提供するため、市民が必要とする情報を的確に把握するよう努めるものとする
   (※)実施機関=上尾市や上尾市教委を指します。

 つまり、上尾市&市教委は、市民が迅速かつ容易に情報を得られるよう、積極的な情報提供に努めること、そのためには市民が必要とする情報を的確に把握するよう努めるものとする、と明確に言い切っているのです。

 以上見てきたように、〈後援〉するとは事業の趣旨に賛同し、援助を行う意思を表示することです。丸山公園でおこなわれた「釣り大会」の趣旨に賛同したという事実は消えないのですから、市&市教委は確かに〈後援〉したということを踏まえたうえで、市民に向けてわかりやすい情報提供をする責任があります。その意味からすれば、文書保存年限を理由とした「時効」などはあり得ません。

◎(関連続報) 上尾市関連ではありませんが、この記事を投稿した後に、<外務省「原爆展変更を」 被団協に 原発事故除外要求>というニュースが報じられました。それがこちらの報道記事
前回(2015年)から態度を豹変させ、「外務省の〈後援〉がほしいなら、原発事故には触れるな」というのは、<政権への忖度と政権からの圧力>であることは誰の目にも明らかです。
東京新聞の記事によれば、<被団協の木戸季市事務局長は「外務省の言い分は、展示内容がNPTが掲げる原子力の平和利用を妨げるというものだった。だが、福島やチェルノブイリのパネルを削除すると、核の被害や非人間性を訴えることが難しくなる」と指摘。後援がなくても内容を変えずに原爆展を開く方針だ>ということです。政権からの圧力に屈せず、原爆展を成功させていただきたいと思います。

“〈後援〉とは「事業の趣旨に賛同する」ことです。(文末に関連続報あり)” への2件の返信

  1. 議会中継見ました。
    情報公開の件を尾花議員が発言してましたね。

    1. 教えていただき、ありがとうございます。3/2の「予算特別委員会」の録画、見ました(みどり公園課の「説明?」は3h46m頃~,尾花議員の質問は3h52m頃~)。
      「市民による情報公開請求の結果、文書不存在とされたが、『広報あげお』には明示されているので、庁内での情報共有をしてほしい」というのが趣旨でした。取り上げていただいたのは評価しますが、欲を言えば、「なぜそんなことになっているのか」について、みどり公園課に語らせるともっと良かったのではないかと思います。ただ、無作為の市民アンケートに取り組むようですので、今後の市の動きに要注目ですね。

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