『学校だより』と市議会一般質問で【自校給食】の良さを再確認

以前の記事(No.326)で取り上げた「学校給食施設基本計画(素案)」への市民コメントを提出することで、「やっぱり自校給食が良い」と考えた方も多いと思います。
上尾市内の各学校HPを閲覧していたところ、自校給食の良さについて特集している『学校だより』(大谷小学校)
があり、とても印象に残りました。
今記事では、『学校だより』に掲載された「給食の工夫」という文章と、6月市議会の一般質問で「学校給食」に言及しているお二人の議員の発言などについてお伝えします。

No.328

🔸大谷小『学校だより 6月号』「給食の工夫」から
大谷小学校『学校だより 6月号』に掲載された「給食の工夫』は次のとおりです。
(PCで閲覧の方は、最下部にズーム機能があります)
大谷小学校だよりブログ用

この文章から、大谷小での学校給食についての様々な情報が読み取れます。
*児童の会話で、給食の話題が含まれていることがよくあること。
*子どもたちは給食を心待ちにしていること。
*大谷小の給食開始は今から62年前であったこと。
*給食は「食育」という学習の場でもあること。
*年間189回の給食は、様々な工夫がされていること。
*1食あたり月平均 650kcal 以上の献立になっていること。
*給食室前に「食育関連の掲示コーナー」があること。
*毎月『食育だより』が発行されていること。
*できるだけ手作り調理を取り入れるようにしていること。
*中でも、ルーから作るカレーは大人気メニューの一つであること。
これだけ見ても、「自校給食」の良さが伝わってくるのではないでしょうか。

🔸市議会でも「自校給食の継続を」という発言がされています
昨日閉会した上尾市の6月議会では、中継録画を視聴した限り、坂東知子議員と井上淳子議員から「自校給食」の継続を求める発言がありました。
以下、該当部分の発言について文字起こしをしてみます(登壇順)。
まず、坂東知子議員の意見(抜粋)から。

坂東知子議員(6月12日  一般質問より抜粋)
学校給食のアンケートによりますと、小学生が93.9%、中学生が85.6%と、現在の給食に満足しているため、小学校については、今の自校方式を望みます。

今現在、小学校に野菜を提供されている農業従事者の方が、自校方式の場合は数百人分の野菜なので提供できるているが、センター方式になれば数千人分の野菜が必要となり、提供する野菜の量が確保できず、地産地消の給食は難しくなると話されていました。
地元の農家さんが地元の子どもたちのために丹精込めて作る野菜で、おいしい給食を提供する今の状況をもっと充実させていただきたいですし、逆行するようなセンター方式を望む人はいるのでしょうか。
「(素案には)今後の計画実現に向けて食育を推進する」と書かれていますが、センター方式になって食育が促進されるとは到底思えません。子どもたちからの手紙の中にも「地産地消だと、地元の食材をたくさん食べることができ、良いと思います」という意見もいただいています。
今後の整備スケジュールには、「PFI手法の検討も含めた事業の決定」と書かれていますが、PFI方式=民間委託です。民間企業は営利目的です。利益を出すために給食の質が落ちることが一番の懸念ですので、反対です。
民間のノウハウを活用するのではなく、大阪府箕面市のような自治体(※)を参考に、行政が取り組んで子どもたちにおいしい給食提供していただきたいと思います。
「施設更新計画」では、市民への説明がまったく足りていません。「学校給食施設更新計画」では、市民の声に寄り添って、市民の望む学校給食の提供ができるよう、最善を尽くしていただきたいと思います。
今後の誠実な対応を期待しています。

(※)箕面(みのお)市「学校給食について」参照。
坂東知子議員の一般質問フルバージョンはこちら(5番目。学校給食関連は18:55~)

次に、井上淳子議員による意見(抜粋)から。

井上淳子議員(6月17日  一般質問より抜粋) 
「調理後2時間以内の喫食」が、おいしさや、とりわけ食中毒事故を防止するという観点、から重要だと思います。学校給食運営委員会でも、「2時間以内の喫食を守る」、また、加熱の時間や温度の管理をおこなうことについてもしっかり検討してほしい、という委員の方からのご意見もあったかと思います。「2時間以内の喫食ができるか」の検証をあらためて要望したいと思います。

「子どもの意見聴取のためのガイドライン(こども家庭庁 令和6年3月)」(※)が出ています。
「学校給食の提供方式が変わる」これは多くの子どもたちにとっての楽しみである学校給食について、本当に大変な大きなことだと思います。一番に聴くべきは、実際に給食を食べている子どもたちの意見だと思います。基本計画策定にあたり、あらためて子どもたちの意見を聴く機会があるのか伺います。

(→ 学校教育部長から「R4にアンケートで聞いているので、予定はない」との答弁あり)
前回のアンケート結果を反映すると言うのであれば、現状の給食についての満足度、特に自校方式で提供されている小学生児童の満足度の結果(93.9%)を尊重してほしいと思います。
給食は教育の一環です。栄養教諭の下で、生産者・つくり手の顔が見える授業がおこなわれ、あたたかい、いい匂いの、おいしい給食は、自校方式でこそ得られるものではないでしょうか。
給食運営委員会での意見、パブリックコメントで出された意見、何よりも子どもたちのアンケート結果を十分考慮した「基本計画案」にすることを強く要望いたします。

(※)子ども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」参照
井上淳子議員の一般質問フルバージョンはこちら(4番目。学校給食関連は23:55~)

🔸子どもたちや市民の声が反映された「案」を望みます
今記事では、大谷小学校の『学校だより』と市議会での一般質問を手がかりにして「自校給食」の良さについてお伝えしました。
先日実施された『学校給食施設基本計画(素案)』には、100通を超える
パブリックコメントが寄せられたということです。それらの一つ一つの貴重な意見や、市民の間で取り組まれている自校給食を求める署名活動なども考慮のうえ、子どもたちの意見が反映された「基本計画案」が示されることを望むものです。

“『学校だより』と市議会一般質問で【自校給食】の良さを再確認” への6件の返信

  1. 館の住人さま
    はじめまして。お邪魔いたします。
    小平市で市議会議員をしている安竹と申します。
    いつも興味深く読ませていただいています。
    (小平市でも教委に対して請願が出せるということを
     恥ずかしながらこちらの記事で初めて知りました。)

    投稿に関係ないコメントで申し訳ありません。

    小平市も上尾市とほぼ同様な教育行政の課題を抱えています。
    人事の仕組みの問題が根本にあると思っていまして、恐れ入りますが、
    「教育委員会と学校(やその他教育関係機関)の人事がどのように回っているのか」が
    その一端でも分かるような書籍などを、もしご存じでしたら教えていただけないでしょうか。

    見ていると、狭い世界の中で人事が回っているようでして、行きつく先も似たようなところ、
    そのポストを目指して、多くの人が保身に走っていると感じています。
    責任があやふやにされたり、着任期間に問題が起きなければよいという態度だったり、
    教育行政の課題を捉えるために、人事の全体的な流れの把握は必須だと思っています。
    国も分かっていながら、利権や保身のため、この流れを温存しているようにも感じています。

    突然のコメントでのお願いで恐縮です。

    1. コメント、ありがとうございます。

      お尋ねの件=「教育委員会と学校(やその他教育関係機関)の人事がどのように回っているのか」がその一端でも分かるような書籍などを、もしご存じでしたら教えていただけないでしょうか。

      ⇒ 書籍(文献や論文など)については、残念ながら情報を持ち合わせていません。
      ですが、「教育委員会と学校その他教育関係機関の人事がどのように回っているか」については、上尾市の例では、次のように整理できます。

      教育委員会事務局の職員=上尾市採用の職員[市費職員]または小中学校から異動してきた職員[指導主事]
      指導主事は学校にいた時(つまり、教育委員会に異動する前)は、埼玉県から給与が支給されています(=県費負担教員)
      教育委員会事務局で指導主事として勤務した後は、必ず学校現場に戻ります。
      (なぜならば、「退職金を市が払うか、県が払うか=採用したところが払う」という大原則があるからです)

      *現在の上尾市教育委員会事務局に[指導主事]が何人いるか⇒

      学校教育部部長1名(部長・課長も「指導主事」で、学校からの異動)
      学務課    3名(課長・主幹・副主幹)
      指導課   11名(課長・主幹・副主幹)
      教育センター 2名(主幹・副主幹)
      学校保健課  1名(副主幹)
      合計    18名

      これだけの人員が学校から教育委員会に在籍しており、おおむね、3年程度で学校に戻る人事となります。
      教育委員会に異動となる(=指導主事になる)には、上尾市の場合は管理職試験に合格していることが条件となっているようです。
      これは、地教行法第18条第4項「指導主事は、教育に関し識見を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者でなければならない。」との定めを、狭義に解釈し、教頭試験の合格者または現職の教頭・校長のみを対象としているものです。その結果、小学校教諭しか経験の無い「指導主事」が中学校の教員を「指導」する、といった矛盾点も出てきています。
      これらの人事案については、例年2月の教育委員会定例会で案が示され、教育委員の全員一致・異議無しで承認されています(会議録は公表されています)。
      ただし、「どの学校から誰が教委事務局に異動になるのか」「教委事務局の誰がどこの学校に異動するのか」などの人事案の「原案」については、誰が決めているかも含めて、全くのブラックボックスとなっています。

      一方で、現在、学校では教員(産休・育休・病休などの代替教員や加配教員)が足りない状況が続いています。
      私は、個人的にはこれほどの人数は教委事務局に必要がないのではないか、もっと学校現場を大切にしたほうがよいのではと考えています。

      教育委員会への「請願」は、直近では「平成30年7月定例会」で審議されています(結果は不採択)。
      「請願」を審査するか否かが教育長と教育委員の「さじ加減」による、という現状は何とかしたいものです。

      1. 詳しくお知らせくださりありがとうございます。
        とても参考になります。小平市もまったく同様と思いますが、調べてみようと思います。

        > 個人的にはこれほどの人数は教委事務局に必要がないのではないか、もっと学校現場を大切にしたほうがよいのではと考えています。

        私もそのように感じます。
        ある学校の先生が「児童・生徒と向き合うことを避けてきた人が指導主事など管理の方に行く(だからこの状況)。」とおっしゃっていました。

        この問題が長期間そのままにされていることが、とても不思議です。

        1. はい、小平市を含め、他の自治体でも同様の状況であり、調べる価値があると思います。

          1. どこの自治体でも、教育委員会は「伏魔殿」と言われているようです。
            臆することなく、調査をしてみてください。応援しています。

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