『広報あげお(2025年1月号)』掲載「市長新春座談会」への違和感

今記事では、市内で全戸配布されている『広報あげお(2025年1月号)』に6ページにわたって掲載された「市長新春座談会」について、私(当ブログ館主)が抱いた「違和感」についてお伝えします。
私はすでに以前の記事で、上尾市教育委員会がすすめている「イングリッシュサロン」に懐疑的であることをお伝えしています。そのことも含め、果たして、「市長新春座談会」から「上尾の英語教育の未来」は見えてくるのでしょうか?

No.352

🔸冒頭の市長の発言から生じた「違和感」
『広報あげお(2025年1月号)』の巻頭記事に登場する生徒たちは、その発言の内容からもわかるように、前向きであり、将来をしっかり見つめていると思います。

それでも、この巻頭記事は、上尾市が力を入れている「英語力向上プラン」の真の実態を調べている私にとっては、違和感を覚えるのです。

まず、冒頭の部分を見てみましょう。


この巻頭記事で私が最初に違和感を覚えたのは、市長の発言にある

ネーティブな英語」 という表示です。

本物の英語を話すこと」を目指しているのに、いきなりカタカナ英語ですか?
(一方で、英語の縦書き表記が5か所見受けられます。 Why?)

ここでは、まず、「カタカナ英語」の弊害について取り上げます。

🔸「ネーティブな英語」への違和感
市長が「ネーティブ」と言っているのは、おそらく native のことでしょう。
Weblio英和辞書には、次の説明があります。


つまり、native  は「ネーティブ」ではないのです。
もしも市長が「英語を母国語とする外国人が使っているような英語」ができるようになってほしい、と言うのであれば、native  と横書きで表記すればよいのです。

🔸「カタカナ英語」の弊害
カタカナ英語を頻繁に使用することは、英語本来の発音や意思表示の弊害となることは、英語教育においての、言わば「常識」と言えます。

たとえば、
best (最も良い) と
vest(袖の無い上着)
この2つの語は、意味がまったく違います。
(単語の青字クリックて、上述のWeblio 英和辞書に飛びますので、発音と意味の確認ができます)

ところが、カタカナ英語での表示は、どちらも ベスト となってしまいます。

そもそも、カタカナで英語の音を正しく表現することはできないのです。
その理由は、
約600個もの音がある英語と比べて、日本語には約70個の音しか無いからだと考えられます。
カタカナで英語の発音を覚えていると、英語の「音」と正しい綴りや意味を正しく紐付けをすることができないため、「英語を聞き取る力」や「英語を話す力」が伸びにくくなってしまうのは周知の事実です。

🔸「イングリッシュサロン」でも残念な宣伝が
上尾市が「全国初!」と言って憚らなかった(現在はさすがに「全国初」とは言わなくなりましたが)「イングリッシュサロン」の募集には、次のように書かれています。


ここでは、『広報あげお』に表示された「ネーティブ」ではなく、「ネイティブスピーカー」と書かれています。また、

ゲームやディベートなどを通して、「生きた英語」(本物の英語)を楽しみませんか。

この宣伝文自体、矛盾していると言えます。
なぜならば、「ゲーム」はともかく、「生きた英語=本物の英語」というならば、「ディベート」という表示ではなく、debate と書くべきです(少なくともカタカナの後に英語表記をカッコ書きすべきです)。
教育委員会はその矛盾に気がついていないようです。
(以下、今記事では「イングリッシュサロン」なる企画は「ES」と表示します)

🔸ESへの参加者が少ない実態については市民に伝えない上尾市
上尾市では、今までにも市のHP「トピックス」でESについて掲載しています。
ところが、その画像は、比較的参加者の多い会場に限られているのです。

私は毎月、ESへの参加者数を情報公開請求していますが、最も参加者数の多い会場は上尾公民館で、それでも定員30名に対し、多くて半分程度です。
(市内で6か所の会場がありますが、なぜかESの画像は上尾公民館ばかりです)
定員30名の平方公民館(平方東小会場含む)は、毎回「ひとケタ」の参加者です。
また、大石公民館(定員30名)の9月から10月の参加者は、
9人→7人→5人→4人→1人と減っているのです。

もちろん、一部の「小さい頃から英語に親しんでいる」英語が好きな子にとっては、ESで楽しい時間が過ごせると思います。ですが、上尾市が、あえて「ESがうまくいっていると思われる」会場だけを取り上げているのは、「実態の一部のみ伝えている」(=いいとこ取り)と言えるのではないでしょうか。

🔸「上尾市中学生海外派遣研修事業」への疑問点
『広報あげお(2025年1月号)』の巻頭記事には、「海外派遣研修」に関しての発言も掲載されています。
実はこの事業、市民にはあまり知られていませんが、多くの予算が投じられています。
市の予算額については、情報公開請求により、次のとおり、執行額が判明しました。

「R6 中学生海外派遣研修事業」の予算執行額は、 21,084,816 円 となっています。

今年度の参加者は生徒が22名・引率者は5名の計27名
ひとり当たりの予算額(=公費負担額)は、780,919 ということになります。

この状況、みなさんはどう思われますか?

ひとつ言えるのは、今年度の海外派遣事業に行ける生徒は22人
派遣対象となる今年度の上尾市の中学校3年生の数は1848人
つまり、98.8% の生徒は、(実際に体験していないという意味で)今年度の海外派遣とは無縁なのです。

執行額の中で、私が疑問に思うのは、「引率者数が多いのではないか」ということです。
さいたま市では、中学生の海外派遣について、募集生徒数は67名で、引率者は「5名以内」と「実施要項」で定めています。それに対し、上尾市は、「実施要項」に引率者数の定めがありません(あえて決めずに人数を流動的にしている?)。

当ブログでは、現在、海外派遣事業について情報公開請求しています。
2501-2中学生海外派遣事業関連
先述のとおり、とりわけ、私は「引率者数」の根拠について関心を寄せています。
もしかしたら、「お手盛り」で引率者の数を決めているのではないかとの疑問が生じているからです。

これらの点については、情報の開示がされしだい、当ブログでお伝えします。

🔸「上尾の英語教育の未来」は見えたのですか?
『広報あげお』の記事の最後には、次のように書かれています。


巻頭記事の編集担当者が、この「まとめ」でいみじくも語っているとおり、この『広報あげお』の記事で、生徒たちは「幼稚園の頃」や「小さい頃」から英会話教室に通って「英語を身近に感じていた」ことについて発言しています。
そうした環境もあり、今「英語は楽しい」と言えるのでしょう。
それはそれでいいことです。

ですが、一方では、民間の英会話教室に行きたくとも行けない世帯も多いであろうことは、現在のような物価高が生活を直撃していることを考えれば容易に想像がつきます。

残念ながら、この『広報あげお』巻頭記事の最後の「まとめ」からは、とても「上尾の英語教育の未来」は見えたとは言えませんが、上尾市がどんな形で「英語教育を加速させ」ていくのかについて、当ブログでは引き続き強い関心を寄せていきます。

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