市長の「タウンミーティング拒否」その真相を議会一般質問から検証

やはり畠山市長はタウンミーティング(=市民との対話)を拒んでいるようです。
上尾市議会6月定例会の一般質問で、井上茂議員は、
畠山市長に対し、タウンミーティングをなぜやろうとしないのかについて鋭く迫りました。
市長の「タウンミーティング拒否」はなぜなのか。
今記事では、その真相について、市議会一般質問から検証します。

No.367

🔸井上茂議員の質問から
井上茂議員の一般質問は、市議会HPの「
議会中継」で視聴できます。
※井上茂議員の質問は、6月17日の2番目。
タウンミーティング関連質問は質問開始から 11分後 ~ 23分頃までです。


では、今記事に関する質疑の概要を見ていきましょう。

井上茂議員:
市政として、市民の声をどういう形で受け止めていくというシステムを持っているのか。つまり、各部・各課で市民の意見を聞いているから、総合的に市長に上がってくるんだよ、というのではなく、市長が市民と直接会話をしたり対話をしたり、市民の要望を吸い上げていくというシステムが私は必要だと思うのですが、そういうことが行われているかどうかをお聞かせください。
榮 市長政策室長:
本市の広聴業務といたしましては、市長への政策提言制度、市政への問い合わせ制度のほか、市民コメント制度や市政相談員制度、市民意識調査、要望書の受理とそれに伴う懇談会などがございます。
井上茂議員:
市民とのタウンミーティングはどうなっていますか?
畠山稔市長:
本市では、市長への政策提言制度市政への問い合わせ制度を中心に多様な手段により広く市民の声を聞く機会を設けております。また、設定したテーマに沿った座談会イベントや会合などを通じて私自身市民と対話をしており、市民の声を直接聞くという点では、タウンミーティングと同様のことをおこなっているものと考えております。
井上茂議員:
タウンミーティングと同様のことをおこなっている、というふうに、今、市長からお言葉がありましたけれども、たとえば、町内行事がありますよね。
夏祭りに来て,市長が立ち話で「どうですか?」と聞き、周囲が「市長、こういうのもどうですか?」と言うと、「そうですか。いいですね」と言いながら「要望は聞いておきます。わかりました。わかりました」と答える。でも,それは広聴活動ではないですよ。

🔸本質的に制度が異なります
畠山市長は、「市長への政策提言制度市政への問い合わせ制度を中心に多様な手段により広く市民の声を聞機会を設けています」と述べています。

しかしながら、「市長への政策提言制度」と「市政への問い合わせ制度」というのは、あくまでも「市民の声を聞く機会」ということであって、「対話」ではありません

たとえば、「市長への政策提言制度」で政策提言をするとしましょう。
この回答に要する時間(期間)は、土日祭日を除きおおむね10日以上となっていますが、私(当ブログ館主)の経験では、10日以上かかります。
これでは、面と向かっての市長と市民との対話ではないことは明らかです。

また、「設定したテーマに沿った座談会」と市長は言っていますが、その中には、今年の年頭の「市長新春座談会」も含まれているのでしょうか?
※この「座談会」については、
当ブログ記事(No.352)で現状と問題点を指摘しましたので、お読みいただければと思います。

政策提言について、市のHPによれば、R6年度の47件の政策提言に対する回答では、
「調査研究していく」
「実施する予定は無い」
「参考とする」
「ご意見として承る」
などの回答が圧倒的に多くなっています。

一方、タウンミーティングの場合はどうかと言えば、市長と市民とが顔を合わせて、その場での意見交流や議論が可能です。
したがって、タウンミーティングと上尾市の「市長への政策提言制度」や「市政への問い合わせ制度」とは、本質的に制度の性格が異なるのです。

🔸畠山市長の「言い訳」
井上茂議員の質問の続きと、畠山市長の回答を見てみましょう。

井上茂議員:
市民との対話というのは、市民の要望に対して、市が施策の中でどう位置づけて、それがどう今おこなわれていて、市はそれに対してこれからどうしようと思うのかを含めて、市民との意見交換をして、きちっとした議事録を持ちながら責任をもってそのタウンミーティングで出されたものを市政に生かしていくシステムとしてそういうものがあるかどうか聞いているのです。
タウンミーティングは無い、ということですね
井上茂議員(つづき):
「足を出す」というのは、おっくうですよね。やるほうとしては。
しかし、やはり、23万の市民を日頃から笑顔になるよう思っているということなので、市民がどういうことを考えているか、それを一方通行ではなくて、相互通行で、しかもそれに対してそれぞれ責任を持って話し合いをするという、そのようなシステムは、私はどうしても必要だと思うのですが、もう一度、タウンミーティングをやるつもりはないかどうかお聞かせください。
畠山市長:
タウンミーティングは市民と直接対話ができる広聴手段の一つであり、行政と市民とともに相互理解が深まるという点でメリットがあるものと考えています。
一方で、参加者に対し、公平な発言機会の確保や、運営コストの問題など、実施するには解決すべき課題があると考えております。
そこで本市におきましては、先ほどの答弁のとおり、現行の広聴業務に取り組むことで、広く市民のみなさんの声を聞いているところであります。

上の畠山市長の回答に要注目です。
畠山市長は「タウンミーティングの解決すべき課題」として、「公平な発言機会の確保」や「運営コストの問題」などを挙げているのですが、何か変ですね。
私は、市長が言うそれぞれの「課題」の内容について情報公開請求しましたが、どんな情報が開示されるのでしょうか。

ところで、この質疑の中継録画を見ていると、市長の答弁は、「誰かが書いた原稿を読んでいるだけ」感が伝わってきます。

🔸畠山市長自らの言葉による答弁は?
市議会の一般質問では、あらかじめ決まった「質問」と「答弁」のやり取りがされる、というのが通例ですが、時として「台本にない」答弁を聞くことができます。

井上茂議員:
では、(市民からの要望等については)市長が速記か何かでメモ(記録)を取っているのですか?
畠山稔市長:(中継録画での発言のまま記載します)
いろんな会合とかいろんな集会とか、まぁ、お呼ばれして行きます。
そうすると必ずバーっと来て、「市長、これ、これ、これ」っていうことで、かなりの数が私のところへ来ます。
私は全部その場でメモしちゃいます。
それを、あの、すぐではないかもしれないけれど、すぐ、あの、市長室(注:発言のまま)のほうにおろして、「これを各職場で検討しろ」ということでやります。
中には大きな問題もあるし、あるいは,「言っただけでもいいですよ。聞いてくれただけでもいいですよ」というのもけっこう多いです。
それと、あとは各担当でお願いしたいんだというのもありますから、それは100%かどうかわかりませんけど,できるだけ下におろして,回答するようにしています。

いかがでしょうか。それまでの回答が「誰かが書いた」感が強かったのに、この市長の答弁は、自分の言葉でしゃべっている感じですね(おそらく、原稿が無いのでしょう)。

「私はすぐメモしちゃいます」
「すぐではないかもしれないけれど、すぐ」

あるいは
「これを各職場で検討しろ」

普段、市長の周辺では、このような会話が繰り返されているのだな、と想像できます。

🔸夏祭りの立ち話で聞いた要望のその後は?
さらに井上茂議員の質問は続きます。

井上茂議員:
では、(市長が祭りやイベントなどで聞いた)市民からの意見というのは、昨年1年間で何件あって、市政として参考になった意見は何件くらいあったのですか?
榮 市長政策室長:
市長政策室としてはカウントしていません。各担当課のほうで処理しております。
井上茂議員:
それでは、ちゃんとした広聴機能ではないのでは? もっときちんとしたシステムにすべきです。

この質疑のとおり、畠山市長が「各職場で検討しろ」と下におろした「市民からの要望」についての市長政策室での扱いは、にわかには信じ難いものです。

🔸「市民との対話」を基本にすべきです
今記事では、畠山市長がなぜ市民とのタウンミーティングを拒むのかについて、市議会の一般質問から検証しました。
その結果、明らかになったことは次の点です。

*「市長への政策提言」や「市政への問い合わせ」は、あくまでも市民の意見を聞くだけであるにもかかわらず、市長は「タウンミーティングと同様」と主張していること。

*それらは「市民の意見を聞く」という制度であり、決して対話とは言えないこと。

*「設定したテーマに沿った座談会やイベントや会合」で出された意見が市政に生かされているとはとても言えない現状であること。また、「市長政策室」の役割が極めて曖昧なこと。

これらのことを考えれば、やはり、市長は市民と面と向かって対話をして、要望を聞き、市政に生かしていくべきではないでしょうか。
そのためにも、当ブログで何度か取り上げた、杉並区の岸本聡子区政の「区民との対話を基本とした区政」を見習うべきだと思います。願わくば、上尾市長選では、「岸本聡子さん的」な候補者が出てくることを切に望みます。

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