図書館協議会を傍聴して

8月3日、上尾市図書館協議会を傍聴しました。そこでは、昨年度図書館協議会からの「答申」(=上尾市図書館の今後のあり方について)に基づき、今後の図書館サービス計画をどうするか等が話し合われました。しかしながら、ブログ筆者にとっては物足りなさを感じさせるものでした。今記事ではそのことについてお伝えします。

記事No.102

HPの〈お知らせ〉に掲載されない「協議会」
8月3日に開催された今年度第1回図書館協議会は、上尾市図書館HPの「お知らせ」はおろか、市教委HPの新着情報にも掲載されませんでした。
ブログ筆者は、そろそろ図書館協議会の開催があるのではないかと考え、図書館HPの<図書館協議会>を開き、協議会開催の日程を知りました(これは7月27日に更新されています)。
本来であれば、少なくとも図書館と市教委両方のトップページに掲載されるべきです。会議が始まる前に、そのことを図書館職員に指摘すると、図書館の「お知らせ」に掲載されていなかったことに気づかなかったようです。つまり、大切な情報が図書館職員の間で共有されていないということなのです。

そのせいもあり、当日の傍聴者は3名。ブログ筆者の他には、たまたま市役所の貼り紙を見た方と、その方から連絡を受けた方でした。
市民が傍聴できる他の会合では、例えば8月5日には、市教委関連で〈臨時教育委員会〉が開催されている他、文化センターで〈あげお未来創造市民会議〉が開催されています。とりわけ後者は、会議の開催に気がついた市民の方は極めて少ないでしょう。以前〈市長へのはがき〉で要望したこともありますが、市民が傍聴できる会議等については、市役所HPのトップページにまとめて掲載するべきです。

■第1回図書館協議会から
今年度は、来年度からの10年間(前期第3次・後期第4次各5年ずつ)を見据え、上尾市図書館のあり方を考えていくということのようです。
ブログ筆者が関心を持ったのは、図書館のあり方を考えていく際、前記5年については、文科省が2012年に示した「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(以下、「基準」と略記)を参考にしていくということです。

この「基準」が示されてから8年近く経過していますが、特筆されるのは、配置される職員についての以下の記述です。

(職員の配置等)
1 市町村教育委員会は、市町村立図書館の館長として、その職責にかんがみ、図書館サービスその他の図書館の運営及び行政に必要な知識・経験とともに、司書となる資格を有する者を任命することが望ましい。
2 市町村教育委員会は、市町村立図書館が専門的なサービスを実施するために必要な数の司書及び司書補を確保するよう、その積極的な採用及び処遇改善に努めるとともに、これら職員の職務の重要性にかんがみ、その資質・能力の向上を図る観点から、関係機関等との計画的な人事交流(複数の市町村又は都道府県の機関等との広域的な人事交流を含む)に努めるものとする。
3 市町村立図書館には、前項の司書及び司書補のほか、必要な数の職員を置くものとする。

今年度の図書館協議会がこの「基準」を参考にし、これらの記述を念頭に置くというのであれば、「上尾市図書館には職名としての司書や司書補が一人も置かれていない」ことや、「館長は司書有資格者ではない」という現状について、どの程度踏み込んだ議論がされるのか(あるいは全くスルーしてしまうのか)を見ていきたいと考えています。

■本質的議論は期待できる?
さらに、今後の上尾市図書館のあり方を考えるうえで重要な観点があります。そのひとつは<現在の施設をどうするのか>であり、もうひとつは<運営管理のあり方は現状のままでよいのか>です。

しかし、施設設備に関しては、<「市のマネジメント計画」の進捗状況を見ながら考える>とされました。これはある意味〈逃げ〉の姿勢とも言えます。「こういうサービス計画があるから、これだけの配架のスペースが必要」あるいは「このような企画には、そのための部屋がこれだけ必要である」といった議論は当然必要だと思われます。

そのためには、『駅前の商業施設のワンフロアが使えれば、これだけのことが出来る』など、施設面での極めて具体的な提案が図書館協議会からされれば、その是非について市民的な関心を呼び、新たな議論が生まれるのではないでしょうか。「市のマネジメント計画を見ながら」というのは、つまりは「具体的なことには言及を避けている」ということになってしまうと言えます。

また、運営方式についても、現在のようなカウンター業務の民間委託の方式で良いのか、別の方式(完全直営方式や指定管理者方式)は考えられないのか、についても本質的な議論がされるべきです。

現状の運営方式(とりわけ、職名としての司書・司書補が配置されていない状況)をそのままにしておいて<上尾市図書館には、司書有資格者が何人いるか>といった議論は、あまり意味が無いということを認識する必要があります。
給与面や労働条件、あるいは職の内容が変わらなければ、責任ばかり「有資格者」に押しつけられることになりかねません。そうした本質的な議論を、今年度の図書館協議委員会に期待するのは無理なことでしょうか。

次回〈第2回図書館協議会〉は10月12日(月)の予定だそうです。どんな話がされるのか、ブログ筆者は引き続き関心を寄せていきたいと思います。

“図書館協議会を傍聴して” への2件の返信

  1. 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」は、上平新図書館建設計画でも参考にされ、
    その実態は延床面積など推進者にとって都合のいい箇所だけでした。
    当然、司書などの基準は無視された。
    再びその轍を踏ませないよう市民の監視が不可欠です。

    1. そのことも含めて、昨日図書館職員と1時間半ほど話をしました。
      上尾市で司書として採用したのち、上尾市のみならず、県立図書館や上尾周辺の市町への異動も視野に入れてはどうか、との提案もしました。
      キャリア形成の面で言えば、最後は司書資格を有した図書館長として勤務するようになれば、今とは状況が変わってくるではないかと考えています。
      大事なのは、市民・図書館・市教委・市行政を巻き込んだ広範な議論だと思います。

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