上尾市議会での「おかしな答弁」&「法律の趣旨を無視した議案」

上尾市議会での一般質問が終了しましたが、関心を寄せている質問と答弁を私は中継録画で見ていました。
その中で、「これはどう考えてもおかしな答弁だな」と思ったことが何度かありました。
また、今回上程されている議案の中に「法律の趣旨を無視しているのではないか」と思われるものが含まれていることにも疑問を感じています。
前記事の「不可解な議案第12号」に続き、今記事では、市議会での市教委答弁と、「法律の趣旨を無視した議案」についてお伝えします。

No.212

🔶説得力に著しく欠け、矛盾だらけの学校教育部長答弁
3月16日の池田達生議員の一般質問で、教職員の働き方改革に関する質問と、それに対する学校教育部長の答弁がありました。それは次のようなやり取りです。

池田達生議員の質問の概要 (教職員の働き方改革に関して)
「上尾市立小・中学校における働き方改革基本計画」は、令和2年9月に発行されています。その中に、「範囲が曖昧なままに行っている実態があり、これらの業務の中には、必ずしも教職員が担う必要のない業務が含まれています」との記述があります。
この時期はコロナ感染症の渦中の時期で、教育業務以外の清掃・消毒など、必要外と思われる業務がありました。しかしながら、この働き方改革基本計画には、コロナ関連の業務が全く含まれていません。それはなぜなのか伺います。
瀧沢学校教育部長答弁
教職員の「働き方改革基本方針」を策定した令和元年の時点では、新型コロナウィルス感染症による影響がこれほどまでに長期化すると予想しなかったためでございます。

これは全く説得力に欠ける、おかしな答弁と言わざるを得ません。

瀧沢学校教育部長は「働き方改革基本方針」の策定が令和元年(2019年)であると答弁していますが、「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」は、池田議員の指摘のように、令和2(2020)年9月1日~令和4(2022)年8月31日となっています。
策定したのが令和元(2019)年というのであれば、翌年の9月まで、約1年(?)もの間、新型コロナウィルス感染防止に何も取り組まなかったというのでしょうか。
この「働き方改革基本方針」が発出される前の教育委員会定例会(2020年7月)では、6月議会での質問と答弁について報告がされています。
その中で、鈴木茂議員の「学校再開後に再開前と想定していた事 と違っていたことはあったか 。 あればその内容は」という質問には、瀧沢学校教育部長は、「予想以上に教職員による消毒作業に時間がかかっている状況がございます」と答弁したと報告しています。

上述のように、瀧沢学校教育部長は、池田議員にも「予想以上に教職員による消毒作業に時間がかかっている状況がございます」と答弁しているのを見ると、学校教育部長=市教委事務局は予想(想定)が甘いのではないか言わざるを得ません。

この後の質疑も見てみましょう。

池田達生議員の質問(続き) (教職員の働き方改革基本方針の発出時期と主体)
令和2年9月の「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」は、上尾市教育委員会が発行となっています。ところが、調べたところ、どの教育委員会(定例会・臨時会)の議題にも上がっていない。
すなわち、教育委員会の会議ではいっさい論議されていないで発行されていますが、その理由は。
瀧沢学校教育部長答弁
教育に関する基本的な計画すべてを必ずしも教育委員会の議案とはしていないためです。なお、策定にあたっては、県の基本方針に基づき、学校の意見を聴取して作成しています。

これも全くひどい答弁です。
なぜならば、上尾市教育委員会のHPには、「教育委員会のあらまし」として、次の説明がされているからです。

(教育委員会) 上尾市教育委員会は教育長と5人の委員により組織され、教育、学術および文化に関する事項について大所高所からその基本的な方針などを決定します
(教育委員会事務局)
教育委員会の権限に属する事務を処理するため、教育長の統括の下に事務局が置かれています。

このように、上尾市では、教育委員会は基本的な方針などを決定し、事務局は事務を処理するために置かれている、と明記されています。
したがって、「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」についても、育委員会定例会の議題とするべきなのは当然です。

また、「学校の意見を聴取して(基本方針を)作成」と学校教育部長は答弁していますが、一般質問だけでなく、市議会の文教経済委員会での答弁からも、学校教育部長の言う学校の意見」とは、すなわち校長の意見だけであることは明らかです。ですから、上記の質問に先立つ池田委員の質問「学校現場の声を聞くと、学校での働き方改革を阻害しているのは指導課訪問と委嘱研究発表ではないか」という、至極まっとうな質問や意見にはまともに応えられないのです。

現場の教職員の実感と、市教委事務局と極めて親和性の高い校長の言うことと、どちらが信用できるかは、少し考えればわかることです(いつ市教委事務局に異動になるかわからない校長が、市教委事務局に異を唱えるはずはありません)。
池田議員の指摘にあるように、学校現場の教員の生の声を聞くことや、当面、指導課訪問は2年に1度、委嘱研究は6年に1度にすべきです。
さらに、学校では教員の数が足りないのですから、もともとは県費教職員(すなわち、いずれは学校に戻る職員)で現在指導課に配置されている職員(指導主事)を現行より半減するなどして、市教委事務局から学校現場に戻すべきです。

学校における働き方改革で最も効果のある方法、それは、できる限り学校に対しての上尾市教育委員会事務局の関与を減らすことに尽きます。同時に、現在上尾市教育委員会事務局に15名も配置されている「指導主事」を、とりあえず8名程度に減らすことです。

🔶地教行法の規定を無視した「追加議案38号」
上尾市議会3月定例会議案(追加送付)となっているのは、「議案38号」です。
これは、中野教育委員(教育長職務代理者)が3月末で辞任するために、新たに矢野誠二氏を教育委員として任命することに同意を求めるという議案ですが、「法律の趣旨を無視した議案」であるとも言えます。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)には、次の規定があります。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律 
(任命)
第四条 教育長は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育行政に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。
2 委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化(以下単に「教育」という。)に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。
(第3項・第4項 略)
5 地方公共団体の長は、第二項の規定による委員の任命に当たつては、委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するとともに、委員のうちに保護者(親権を行う者及び未成年後見人をいう。第四十七条の五第二項第二号及び第五項において同じ。)である者が含まれるようにしなければならない。

では、上尾市の場合はどうでしょうか。地教行法の規定どおりでしょうか。
もしも矢野誠二氏が教育委員になった場合、男性4名(年齢も似通っています)
・女性1名となり、少なくとも性別については偏りが生じることになります。ですから、新しい教育委員には女性がなるべきです。

教育委員の選出の不透明さと合わせて、性別に偏りが生じることから、当ブログでは、矢野誠二氏が教育委員になることに反対します。
(もう1件、教育長人事に関しての「追加議案」があると思われますが、今のところ提出がされていないようです。)

◎今記事では、池田市議の質問とそれに対する学校教育部長の答弁、および追加議案が地教行法の趣旨から外れていることについてお伝えしてきました。

なお、「追加議案38号(新しい教育委員の任命についての同意議案)」に関して、私は情報公開請求書を申請し、3月24日に処分通知が渡されることになっています(下部にズーム機能・改ページ機能あり。全2頁)。
ブログ用

新教育委員の選出経緯の不透明さについて、上尾市(教育委員会)はどのような処分(公開決定・非公開決定等)をし、どう説明するつもりなのでしょうか。そうした結果については、折を見て、当ブログでお伝えしていきます。
お伝えした以外のことについても、今の市教委の姿勢は大変問題が多いと言えます。
今後も引き続き上尾市政・教育行政を注意深く見ていきたいと考えています。