市民が知らない「上尾市教育委員会定例会の不都合な真実」とは
上尾市教育委員会8月定例会(8/19)を傍聴しました。
市教委事務局と教育委員とのやりとり(議論とは程遠いものですが)を聞いていて、「え? それはおかしいな」と思う場面が何回かありました。
これは、市民が知らない「上尾市教育委員会定例会の不都合な真実」と言えるものです。
今記事では、このことについてお伝えします。
No.235
🔷なぜ「改定案」だけ定例会の議題になるの?
今回の定例会では、「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針の改定について」という「議案」がありました。事務局から「改定案」の説明があり、そのことについて教育委員から当たり障りの無い質問やら意見やらがポツポツと出され、全員一致で採択という、いつものパターンでした。
ですが、ちょっと待ってください。この流れには、ものすごく違和感があるのですが…。
「改定案」というからには、元となる「基本方針」があるはずです。
上尾市教委のHPを見ると、「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」というのがちゃんと掲載されているのです。
2年前に決定したはずの「基本方針」については、教育委員会定例会の議題になったことは、ただの一度もありません。「議案」どころか、「報告」すらされずに、いつのまにか市教委のHPに掲載されていたのです。
教育委員会8月定例会では、元となる「基本方針」が2年前に議案にならなかったにもかかわらず、「改定案」がいきなり議案になったことへの説明を求める教育委員からの発言はありませんでした。
でも、そのことを5人の教育委員は知っているはずなのです。
というのも、私が教育委員あてに提出した書簡に、この問題が入っているからです。
【5名の教育委員に向けた「3つの質問」の書簡を渡してもらいました】参照)。
「働き方改革基本方針」に関する質問は以下のとおりです。
【質問 その1】 「教育に関する基本的な事項の一つである 『上尾市立小・中学校における働き方基本方針』 が、いずれの教育委員会定例会でも議事として取り上げられなかったことについてどうお考えですか」 |
この質問についての教育委員からの回答は、いまだにありません。
「改定案」の中身は、「多くの教員は、相変わらず月45時間以上の時間外勤務をしているので、働き方改革の推進を」というものです。
「働き方改革懇談会」なる会合を実施したようですが、「委嘱研究」や「指導課訪問」の軽減などの意見は見当たりません。その理由は、出席者が「各校の主幹教諭または教務主任」ということから、「教頭予備軍」とも言える層であり、教育委員会事務局への「遠慮」や「忖度」があるからだと思われます。
以上のような経緯はあるものの、今回、教育委員会事務局は「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」の改定版を教育委員会定例会の「議案」にせざるを得ませんでした。それは、当ブログの以前の記事【上尾市議会での「おかしな答弁」&「法律の趣旨を無視した議案」】でもお伝えしたように、教職員の時間外勤務の状況についての情報公開請求や、市議会での池田議員による質問によるところが大であると考えられます。
以上のとおり、市民の知らない「教育委員会定例会の不都合な真実」の一つ目は、元の基本計画は報告すらしなかったにもかかわらず、その改訂版を何食わぬ顔で議案にし、いつもどおり「全員一致・異議なし」で通過させた教育委員のお歴々についてでした。
🔷5月定例会で明言したことを完全無視する事務局と教育委員
毎年度実施することが法律(地教行法)で義務付けられている「教育委員会の事務に関する点検評価報告」。これについては、教育委員会5月定例会で、池田教育総務課長は次のように発言し、スケジュールも示しています。
教育委員会5月定例会 会議録より (池田教育総務課長)次に、今後のスケジュールでございます。(中略) (点検評価報告は)8月の教育委員会までに評価をまとめて、協議させていただきます。 |
ところが、8月定例会では、「翌月以降とさせていただく」などの説明が事務局から出なかったのはもちろん、教育委員からも「点検評価についてはどうなっているのですか?」という質問すらないのです。こんな状況では、「5月定例会で教育総務課長が述べたことはいったい何だったのか」と疑問が生じると同時に、上尾市教育委員会事務局&教育委員に強烈な不信感が湧いてきます。しかも、私の知る限り、昨年度も全く同じ状況であり、何度も同じ「ビデオテープ」を見せられているようなものです。
私は市民として到底納得できないため、次の内容で情報公開請求を申請しました。
(5月定例会での池田教育総務課長の発言と8月定例会の状況を示したうえで) |
1.なぜこのような事態(5月定例会で「8月に協議する」と明言しておきながら8月定例会の席上、「点検評価」について事務局も教育委員もひと言も触れないという事態)になっているのかについて、市民に対して合理的に説明できる文書・資料等。 |
2.<8月の定例会では「点検評価」について議事にしない>ということを事務局から教育委員に伝えたことが判別できる文書・資料等。 |
3.各教育委員から<8月の定例会では「点検評価」については議事にしないのか>という質問が事務局に寄せられたことが判別できる文書・資料等 |
4.「点検評価」に関する今後のスケジュールが判別できる文書・資料等。 |
もしも情報開示の結果(処分通知)が「文書不存在により非公開」ということになれば、結局は教育委員会事務局も教育委員も「何もしていないし、何らの関心もない」ということになります。この結果については、当ブログでお伝えしていきます。
以上、市民の知らない「教育委員会定例会の不都合な真実」の二つ目は、5月定例会でしっかりと「<教育委員会の事務に関する点検評価報告>については8月に協議する」と公言したにもかかわらず、「そんな話、しましたっけ」とでも言うようにスルーした教育総務課長&それについて何も言わない教育委員たちでした。
🔷8月定例会では他の重要な報告も
今回の教育委員会定例会では、上述の議案以外にも、「小中一貫教育導入に向けた先進都市視察について」や、「民間スイミングスクールを活用した水泳授業のモデル実施校の選定について(4校)」などが報告されました。
それぞれが重要な問題であり、ブログ記事としては分量も長くなることから、次回以降にお伝えする予定です。
私も傍聴していて疑問に思ったのは、「ブログ館主さん」と少し違いますが、「働き方改革基本方針改定案」については議題として採決されているのに、「民間スイミングスクールを活用した水泳授業のモデル事業実施校」については、「報告事項」としてスルーされているということです。これについても今回初めて出されたものであり、議案とすべき事項ではないのでしょうか。単に「報告事項」として済まされるのなら、これからも「民間スイミングスクールを活用した水泳授業」はどんどん際限なく広がっていくのでしょうか。ただ、モデル事業となった4校は原市小を除くと「適正規模校」ではなく「小規模校」か「準小規模校(こういう定義があるとは思いませんが)」なのは、水泳授業に連れていくスクールバスの定員が多すぎて「モデル事業」が失敗したら困るからではないかと思っています。往復にかかる時間も15分以内としていますが、平方東小から上尾スウィンSSの距離はかなりあると思います。それでも引率に必要な教員を抑えられる小規模校にしたのは、意図的だと思われてなりません。統廃合の対象となった学校が2校も含まれているのは、どういう意図があるのかは定かではありませんが…。
記事をアップしてから間髪を入れずにコメントをいただき、ありがとうございます。
ご指摘の点については、おそらく、教育委員会事務局は次のように考えているのでしょう。
3月定例会で「上尾市立学校の水泳事業及びプール施設のあり方基本方針」が決定されました。
その「基本方針」の文言の中に「なお、民間プールを活用した水泳授業の実施にあたっては、教育的効果を検証するためモデル事業を実施する」とあるので、それを根拠にして民間委託に突き進んでいると思われます。
その後、6月定例会で「モデル事業の選定基準」なるものを市教委事務局がやりやすいように決め、今回の学校発表となったのではないでしょうか。
しかしながら、ご指摘のとおり、「小規模校」でなければこの「モデル事業」が成功しないであろうことは事務局は承知していると思います。
なにがなんでも「うまくいった」という「実績」を作りたいのだと思います。
私が意外だったのは、33校中15校も「希望なし」だったことです。さほど民間施設の活用については必要性に乏しいという証左ではないでしょうか。