上尾市地域公共交通活性化協議会「市民公募」の不都合な真実とは
上尾市は来年度に向けて、上尾市地域交通活性化協議会の委員を「公募」しました。
しかしながら、その実態については、数々の疑念が生じるものでした。とりわけ、公募の条件については、まさに「後出しジャンケン」と言えるものであることがわかりました。
今記事では、地域公共交通活性化協議会の「不都合な真実」についてお伝えします。
長目の記事ですが、上尾市の実態についてお読みいただければ幸いです。
No.387
🔸「委員公募」について、『広報あげお』では…
以下が、昨年11月の『広報あげお』の記事です。
上の『広報あげお』2025年11月号に記載のとおり、公募委員に応募する際、①市内在住 ②年齢 の他、次の条件が示されていました。
③公共交通問題に関心があり、継続して会議に出席できる。
④2026.04.01の時点で、市内の公共交通事業の職に携わっておらず、当該事業に関して利害関係がない。
⑤市民公募委員として、市の他の審議会に2つ以上在籍していない。
とりわけ私(当ブロブ館主)が関心を寄せているのは、上の条件④です。
この条件は、あとで述べるように、「後出しジャンケン」と言える上尾市の「不都合な真実」に直結するものです。
🔸委員に応募してみました
「この条件なら応募できる」と考え、私は応募してみることにしました。
800字の作文も書きました。テーマは「持続可能な市内公共交通のあり方について」です。
以下、私が提出した作文です。
| 現在、国内の公共交通を取り巻く状況としては、人口減と高齢化に起因する利用者の減少が顕著である。加えて、公共交通に携わる運転手不足や経費の増額も指摘されている。 |
| 上尾市では、令和4年に『上尾市地域公共交通計画』が策定され、コロナによる利用者の減少、生活様式の変化や多様性、IT技術の進展を踏まえた新しい交通サービスの必要性などが示されている。具体的には、上尾駅を中心にコンパクトな路線へ再編すること、桶川駅など隣接市との連携強化により広域移動の利便性を向上させること、民間路線バスとの役割分担を図り、効率的な運行を実現することなどが挙げられている。上尾市内には鉄道(JRとニューシャトル)、民間バス、タクシー、市内循環バス(ぐるっとくん)があり、これらを連携させて「誰もが利用しやすい公共交通」を目指す計画となっている。 |
| その一方で、『上尾市地域公共交通計画』では、「市の公共交通の中心を担うバス交通の利用が低く、自転車等の利用が高いが、今後の高齢化を想定すると、バス交通の利便性向上や利用促進が必要」と指摘されている。 |
| 上尾市が将来的に進むべき公共交通のあり方は、まず、基幹的バス路線の維持がある。駅や公共施設あるいは商業区域を結ぶ基幹的路線は定時運行し、利用者が多い区間は中型や大型バスを運行して、収支率を確保する。費用対効果は、基幹路線は利用者が一定となることが予想されることから、運行コストに対して運賃収入が比較的安定する。市の費用補助も基幹路線に対しては投下しやすいと考えられる。また、需給調整型(予約型)のサービスとして、高齢者などの利用が多い地域などに、デマンド交通を導入することも有効であると思われる。スマホや電話で予約し、AI配車で効率的に運行することが期待される。利用者数や予約率をデータで把握し、運行頻度を調整する。赤字が大きい場合は、地域(自治会や企業)との協働に切り替える。 |
800字というのは、字数としては短すぎます。テーマに即してポイントを絞らなければならないので、思った以上に大変でしたが、それでも国内や市の現状、問題点や課題、今後のあり方などについて網羅したつもりです。
🔸「結果」に至るまでの経緯への「疑念」
年末になって、市から次のとおり短い文書が郵送されてきました。
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「何、これ?」という気持ちで受け取りましたが、知りたい情報が書かれていません。
せめて「何人受けたのか」については記載すべきではないでしょうか。
公募委員選考の過程等については、情報公開請求し、その「回答」が届きましたが、それはまさに上尾市の「不都合な真実」と言えるものでした。
🔸情報公開請求等で判明した事実関係
「不都合な真実」について見ていきましょう。
委員公募の前に開催された「R7年度 第2回上尾市地域交通活性化協議会」の記録や、情報公開請求で、以下の点が判明しました。
| 「公募委員」応募者数 | 9名(採用者2名) |
| 最高点 ~ 最低点 | 108点 ~ 66点 |
| (結果の公開について) 応募者から採点状況の公開を求められたときは、全応募者に対する各審査委員の採点の内訳までを情報提供するものとする。ただし、応募者はアルファベット、審査委委員名は番号等で表記し、公開しないものとする。 |
そこで公開されたのが次の資料です。
上記(結果の公開について)によれば、「各審査委員の採点の内訳」が公開されることになっていますが、公開されたのは「審査委員がつけた点数」であり、後述する「審査項目の内訳」ではありません。
🔸「選考委員」への疑念
「誰が選考委員となるのか」については、次のようになっているようです。

情報公開請求の過程で確認したところ、「上尾市地域公共交通活性化協議会の会長」すなわち「選考委員長」は、上尾市市民生活部長であることがわかりました。
注目すべきは、上の資料の(1)です。
「会長が指名した委員4人」とされています。言い換えれば、「市民生活部長が恣意的に選んだ4人」が選考委員となっているとも言えるのです。
🔸「地域公共交通活性化協議会」の構成は?
公表されている来年度の「上尾市地域公共交通活性化協議会」の構成を見てみましょう。
黄色表示は公募委員2名枠です。また、「子ども未来部」は委員から外れるそうです。
つまり、市民生活部長は、黄色枠以外の4名を「指名」し、会長を含めた5名が「選考委員」となったことがわかりました。
🔸「採点基準」は「絵に描いた餅」= 800字では無理
大変問題なのは、情報公開請求により公開された「採点基準」です。
項目ごとに確認していきます。





いかがでしょうか。
[これらの項目を全部含めて、800字で書く]ことが応募者に求められているのです。
🔸「模範解答を見せてください」と頼むと、担当課職員は…
情報公開請求での面談の際、「これらを全部含めて、800字で書けと言うのは無理では? 模範解答を見せてください」と私が言うと、担当課(交通防犯課)の職員は、
「模範解答はありません」
と答えたのです。
「では、担当課職員として、800字で模範解答を書けますか?」と尋ねると、
「書けません」
ということでした。
つまり、上記の採点基準「優良」の模範解答を800字で書くのは無理なのです。
(AIに頼んでも、全項目優良で800字では書けないのではないでしょうか)
🔸「後出しジャンケン」の「不都合な真実」
今記事冒頭で、『広報あげお』掲載の「委員公募」の条件について言及しました。
もう一度、その条件を確認します。
*2026.04.01の時点で、市内の公共交通事業の職に携わっておらず、当該事業に関して利害関係がない。
つまり、公募の条件として、「以前公共交通事業に携わったキャリア」の有無については触れられていないのです。
ですが ー 上述の「採点基準」の(3)は、次のようになっているのです。「優良」以下の「評価」も含めて見てみます。
「審査観点」には、「応募者が公共交通の計画・運営・研究等に関する専門的な知識や経験を有しているか」とあります。
『広報あげお』の条件には無かったにもかかわらず、「公共交通の計画・運営・研究等に関する専門的な知識や経験を有しているか」を採点基準として、おまけに「職歴や研究履歴に関する記述がない。または全く関連性がない」応募者は0点だそうです。
これって、市民公募の手段として、ちょっと酷いのでは?
最初からそういうキャリアを有している方を求めているのであれば、その旨公募の段階で『広報あげお』にも書くべきです(たとえば、「公共交通に関する専門的知識や経験を有している方を求めています」など)。
少なくとも、事前にそのように書いてあれば、私は応募しませんでした。
市のやり方は、まさに「後出しジャンケン」そのものです。
🔸「地域公共交通活性化協議会」の実態は…?
では、肝心の「地域公共交通活性化協議会」の実態はどうなっているのでしょうか?
公表されている「令和7年度 第2回地域公共交通活性化協議会」の会議録から、その一端を見ていきます。
ごらんのとおり、「代理出席」者が3名。欠席者が8名(内2名は市職員)もいたことがわかります。提案された議事について、代理出席者が積極的に発言したり、ましてや反対の意思表示をすことは考えられませんし、欠席者がこれだけ多いのでは、最初から「異議無し・全員一致(どこかで聞いたような…)」の会議となることは目に見えています。
🔸公募委員の「選考方法」と「協議会」のあり方は再考を
今記事では、市の「地域公共交通活性化協議会」の委員公募に関して、情報公開請求等を通じて明らかになった「不都合な真実」についてお伝えしました。
記事の中で言及したとおり、公募委員に求めている役割(キャリアや知識など)が『広報あげお』等に示されずに公募されたことは、市として最悪の手段であったと言えます。
また、「協議会」そのものが代理出席や欠席者が多いことから、本当に実のある中身になるのかについても疑問が生じます。
上尾市として、今回選ばれた「公募委員」が次回の会合に出席した際に戸惑いが生じないための方策を講じる必要があるのではないでしょうか。
