市教委事務局(指導課)の「隠ぺい体質」が露呈し、[審査請求]へ
このところ、当ブログの記事として取り上げたい問題が多くなっています。
教育委員会12月定例会で協議された事項(学校施設更新計画基本計画素案、小中一貫教育基本方針、学校給食基本方針など)、また、市議会の一般質問で当ブログの記事で紹介した写真が活用された件、あるいは上尾市図書館の利用者サービスの変化、etc…
それぞれ重要な問題ですが、今記事では、当ブログで独自に調べた、上尾市の「いじめ問題」対策のために設置された機関の会議録の扱いについてお伝えします。
そこであらためて露呈したのは、市教委事務局(指導課)の「隠ぺい体質」です。
情報公開請求の内容にそぐわない「処分通知」が市教委から渡されたため、私は次の段階である[審査請求]をおこないました。
※今記事では、私がおこなった情報公開請求書や、市教委から発出された処分通知書等、現物の控をいくつか提示したうえで、現状についての問題点を説明します。
No.253
🔶上尾市に設置されている「いじめ問題対策機関」とは
国の「いじめ防止対策推進法」(以下、「法」と略記)に基づき、上尾市では「上尾市いじめ対策連絡協議会等の設置に関する条例」により、いじめ防止対策のための機関が設置されています。ここでいう「いじめ」の定義は以下のとおりです。
「法」第2条第1項に規定する「いじめ」とは(定義) |
第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う、心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。 |
上尾市教育委員会事務局以外に、市に設置されている「いじめ防止対策」のための機関は次の3つです。名称が似ていますが、以下、それぞれの「所掌事務」と「委員」について簡単な説明をつけました。
①「いじめ問題対策連絡協議会」 |
所掌事務:市内小中学校におけるいじめの現状把握と分析、いじめ防止対策の推進等 |
会長:学校教育部長 委員:20人以内。市教委が委嘱または任命。 |
特別非常勤職員の報酬 会長:日額 7,000円 委員:日額 6,000円 (条例で会長は学校教育部長=常勤公務員なのに、日額が決まっているのは変ですね) |
②「いじめ問題調査委員会」 |
所掌事務:重大事態について小中学校で調査困難な場合に調査を行う。 |
委員長:委員の互選による 委員:(1)弁護士 (2)医師 (3)心理・福祉等に関する専門家 (4)識見を有する者 (5)市教委が必要と認める者 ∴委員は5人以内 |
特別非常勤職員の報酬 委員長:日額 16,000円 委員:日額 15,000円 |
③「いじめ問題再調査委員会」 ※委員は現在のところ決まっていません。 |
所掌事務:市長の諮問に応じ、調査結果について必要な調査をおこなう。 担当=総務課 |
委員長:委員の互選による 委員:識見を有する者・市長が必要と認める者 ∴委員は5人以内 |
特別非常勤職員の報酬 委員長:日額 16,000円 委員:日額 15,000円 |
🔶「いじめ問題調査委員会」情報公開請求の結果は
これらの設置機関について、「委員名」と「会議録」を情報公開請求しました。
言うまでもなく、情報公開請求は「市民が市政に参画する」ための「知る権利」の行使であり、最大限認められなければなりません。また、今回も「処分通知=公開・非公開の通知」を受け取る際には、担当課と何度か日程の調整をしています。
今回の「情報公開請求書」は以下の内容です。
11-5 いじめ問題調査委員会関連
この結果、「いじめ問題対策連絡協議会」は委員名簿・会議録とも公開。
「いじめ問題再調査委員会」は、委員がまだ決まっていないことが判明しました。
当ブログでは、「いじめ問題調査委員会」に着目しました。同委員会についての「行政文書一部公開決定通知書」は以下のとおりです(PCで当ブログを読んでいる方は、文書の下部のズーム機能をお使いください)。
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私はこの文書を12/20に受け取りました。担当者は指導課の主幹で、11/12に文化センター大ホールで開かれた「集い」で「会場内の録音・録画・撮影は禁止」と発言した司会者でもあります。
🔶「文書非公開」により、上尾市教委の「隠ぺい体質」が露呈
上記「一部公開決定通知書」の「公開できない部分及び理由」には、「上尾市個人情報保護条例により非公開とする」とあります。しかしながら、私は「個人が特定される部分は黒塗りで可」としたうえで情報公開請求をおこなっています。
なお、言うまでもありませんが、「個人が特定される部分」の「個人」とは「いじめ」の当事者を指します。
「第1回いじめ問題調査委員会」の会議録は全面公開され、以下はその1頁目です。
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ところが、驚くべきことに、第2回・第3回の会議録は全て非公開とされたのです。
1頁目は「個人が特定される記述」は無いと考えられることから、私は次の手段に移ることにしました。
🔶「審査請求」は「市民的不服従」の手段です
こうした場合の「市民的不服従」の方法として、「審査請求」があります。
以下が私が上尾市(担当=総務課)に提出した「審査請求書」です(全2ページ。最下部に出てくる矢印をクリックすれば、改ページできます)。
ブログ用 審査請求書
私がこの「審査請求書」を提出したのは、12/22の「教育委員会12月定例会」が終了した後でした。すると、午後になって、審査請求の担当課である総務課から以下のメールが送られてきました。
情報公開請求の処分決定の取消しについて(市総務課からのメール) |
令和4年12月15日付け「行政文書一部公開決定」処分(上教指1866ー2号、受付番号4-0419)につきまして、指導課に確認したところ、処分の決定を取消す方向となりました。 つきましては、準備が整い次第、指導課からメールでご連絡いたしますので、今しばらくお待ちくださいますようお願いいたします。 |
これは、市教委指導課の職員から最初に示された「非公開部分」を「公開処分」とする、という意味なのです。
🔶もし「審査請求」をしていなければ
考えなければいけないのは、「もし、審査請求をしなければ非公開のままだった」という事実です。こうした「公開・非公開」の処分は条例に基づきおこなわれているはずですが、「権限」を持っている担当課の、言わば「さじ加減」で処分が決まってしまう面があることは否めません。
情報公開請求の過程で、本来は市と市民の共有財産である文書や資料について、「市の担当課や職員は、自ら作成した文書や保有している資料等を[私物化]しているのではないか」と思わせることがあります。
それを避けるために、審査請求という市民のための制度があるのです。
🔶「いじめ問題」=「隠ぺい」という悪しき対応は避けるべき
以上述べたとおり、「個人が特定される情報は黒塗りで可」と断ったうえで上尾市教育委員会に対して情報公開請求をした結果、個人の特定とは関係ない部分までもが「非開示」とされてしまいました。やむなく審査請求をおこない、市教委事務局の判断の誤りが明らかにされる見込みである、というのが今回の経緯です。
全国の多くの自治体においても、「いじめ問題」についての情報が教育委員会により隠ぺいされてしまうことが、当事者にとっても深刻な問題となっています。
今回、情報公開請求の結果、上尾市教育委員会事務局(指導課)の「隠ぺい体質」の一面が明らかになりましたが、現在、上尾市でも「いじめ」「不登校」の増加が顕著になっています。個人が特定される情報以外の「市と市民の共有財産である情報」、すなわち、「いじめ問題」で市がどのように取り組んでいるのか、また、協議会や委員会の会議録などの文書や資料等は市民に公開されるべきであると考えます。