『素案』の修正226箇所で問われる「事務局」と「教育委員」の資質

2/21に上尾市教育委員会2月定例会が開かれ、傍聴しました。
定例会の
席上、「上尾市学校施設更新計画基本計画案」、「上尾市学校給食基本方針(素案)」、「令和5年度上尾市教育行政重点施策」がそれぞれ協議されました。
関連して配布された資料としては、学校施設更新計画『素案』についての公聴会の公述記録、同じく『素案』に対する市民コメント(意見一覧)なども含まれています。

「協議」された「上尾市学校施設更新計画基本計画案」は、市民からのコメント等に基づき修正されていますが、その数は、なんと226箇所に及んでいます。
修正前の『素案』は、事務局と庁内検討委員会とで(案)を作成し、教育長や5人の教育委員が目を通したはずです。しかしながら、これだけの数の修正を余儀なくされたことは、必然的に市民の意見や指摘が理にかなっていることの反映であり、同時に、教育委員会事務局と教育委員双方の資質が問われることになります。
今記事では、これらのことについてお伝えします。

No.262

🔶地域公聴会・市民コメントの結果は
2月定例会では、1月に実施された「地域公聴会」と、昨年12月末から1月まで募集された[市民コメント]の数的概要が示されました(PCでご覧の方は下部にズーム機能有)。
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朱書きしてあるとおり、公聴会での公述人の陳述で『素案』への賛成意見はゼロ
また、各公民館とも教育長・教育委員・教育総務部長の出席はありませんでした。

なお、公述人の陳述は市教委HPで公開(クリックで公述記録に飛びます)されています。
49人分の公述記録を全部読むのは大変ですが、いずれも貴重な意見ばかりです。

また、『素案』についての市民コメント(意見一覧)も公開されています。こちらはA3版で20頁近くあり、96人(373件)から意見が寄せられています。私が見た限り、賛成意見は2人。賛成・反対どちらとも判断がつかない意見が3件ほどあります。

その一方で、
「小規模校の良さについての記述が無い」
「通学距離の案がアンケート結果と違う」
「まずは少人数学級を」
「なぜ上尾市が学校統廃合を進めるのか理解できない」
「中一ギャップなどという、ありもしない概念を使わないでほしい」
「学校統廃合よりも、いじめ問題や不登校問題解決のほうが重要」
など、圧倒的に多かったのは『素案』への反対意見でした。

🔶数多い「教育委員への不信」意見
公述記録には、上尾市の教育委員への不信・不満を訴える意見が数多く見られます。
その中の幾つかを挙げてみます。

(大谷公民館での公述より)P22
(教育委員が)5人いたら1箇所ずつでも順繰りにしてね。聞くような場をぜひとも教育委員会の皆さんの努力で引き出してもらい、それが教育委員会がお金を出して雇っているわけですから、それぐらいのことは少しやっていただきたいな、という風な思いであります。
(平方公民館での公述より)P33
すでに市内で4回の地域公聴会が行われましたが、教育委員の方々の参加がありません。どうしてでしょうか。計画を作成し、議会に提案する立場にある教育委員にもかかわらず、なぜ地域住民の意見を直接聞く地域公聴会に出席されないのか?
(上平公民館での公述より)P42
教育委員会の中で特に責任の重い教育委員は公聴会や地域住民の、地域住民への説明会に出て市民の声を是非聞くべきだと思います。

同様に、市民コメントにも「教育委員は公聴会に出るべきである」との意見が寄せられています。全く公聴会に出ない教育委員の資質が問われます。

すでに当ブログでお伝えしたとおり、教育委員全員には、「地域公聴会になぜ出ないのか」というごく簡単な質問をしています(青字クリックで当該記事に飛びます)。
期限は2月末ですが、今のところ返信はありません。徹底的に市民を無視するつもりなのでしょうか。

🔶市民コメント提出により変更された箇所は
私(当ブログ館主)が提出したことによって、変更(修正)されたのはどこでしょうか。
主なものを挙げてみます。

素案』P36 ”Topic” 下部に「各教員は担当する校務分掌によって出張が決まる」との記述があるが、現行の「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」によれば、「教育委員会が主催する研修及び会議の見直し」が方針として掲げられている。『素案』はこの方針との整合性が無い

この意見について、市教委事務局が変更したのは

上記の「原則として~負担を生むことにもつながります」全面削除されました。
これは至極当然の話であり、私は以下の内容で情報公開請求もおこなっています。

 上尾市教育委員会および校長会は、「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」に則り、研修等について見直しや縮減する立場です。それにもかかわらず、なぜ「担任する学級を不在」とし、「授業を計画通りに進めることができなくなる」まで「出張」を優先しなければならないのか、なぜ「素案」のこの記述となったのかが合理的に説明できる文書・資料等。

情報公開請求の「処分」は3月2日に示されますので、後日当ブログでもその結果についてお伝えします。

 

『素案』P46 原市地区の生徒指導目標の中に「無言清掃」があるが、学校を自分たちで清掃をするのはなぜなのか、正当な理由が示されていない。清掃時無言である必要がどこにあるのか。コロナ前から(無言清掃は)市内で流行していたが、薄気味悪く、違和感を覚える

では、私が提出したこの意見を受けて、どのように変更されたのでしょうか。

変更前に掲載されていた図像。〖場〗の中に「無言清掃を徹底し、自ら清掃場所を探し、校舎の隅々まできれいにすることができる」の文言があります)


(以下は変更後。上記の図像は無くなり、児童生徒の活動の写真に変更されました
写真のすぐ上の文章は全く変更ありません。

「無言清掃」(最近は、「膝つき無言清掃」が流行しているようです)への違和感を指摘したところ、以上のように変更されました。このことについても、教育委員からの指摘はありませんでした(教育委員同士で「無言清掃は是か非か」などの議論は皆無)。

🔶「市教委事務局&教育委員の資質に問題あり」
以上のとおり、地域公聴会への教育委員の参加は全くありませんでした。
2月定例会では、公述記録についての教育委員からの意見や感想はほとんど出されませんでした。それは、『素案』への賛成意見を陳述する公述人が誰一人いなかったことから、教育委員は皆「感想を言おうにも、言えなかった」からだと思われます。

このことからも、現在の教育委員会定例(臨時)会とは、「上尾市教育委員会事務局の案を全員一致・異議なしで追認する装置」であることが分かります。

当ブログで度々指摘しているとおり、平方幼稚園閉園問題を含め、「20年間全員一致・異議なし」で議案を通過させてきた教育委員の責任は重大です。

同時に市教委事務局は、自らが提案した『素案』について、教育委員が目を通した段階では特段指摘が無かったものの、市民から多くの指摘がされた結果、226箇所もの修正をせざるを得なかった事実を重く受け止めなければならないでしょう。
「修正したからいいだろう」ではなく、「全面見直し」や「白紙撤回」を望む声も多数あることを肝に銘じる必要があります。

今回の公聴会では、「教育委員はなぜ来ないのか」という指摘や疑問が多くの公述人から出されました。まさに今、上尾市教育委員会事務局と教育委員の資質に問題があることが、市民の間でも明らかになってきています。

今記事で述べてきたこと以外にも、市教委事務局&教育委員の資質にかかわることは多く、それらに関しては情報公開請求をしています。
当ブログでは、引き続きこの問題について深掘りしていきます。