糟谷質問で暴かれた、市教委の不都合な真実(2) -「修学旅行問題」-
昔から当たり前のようにおこなわれてきた小中学校での修学旅行。特に中学校の修学旅行については、費用や行先の決め方、日程、あるいは先生方の超過勤務などの多くの問題点があります。今記事では、市議会での糟谷質問で浮かび上がってきた修学旅行にまつわる市教委の不都合な真実についてお伝えします。
記事No.48
■小学校で最も高額なのは尾山台小。
■中学校では費用に12,000円以上の差。
以下は、今年度に実施された修学旅行の保護者負担費用が高い順に表示したものです(高・低それぞれ3校ずつ表示。小学校は、日光方面と鎌倉方面とに分けてあります。実施時期は2019年)。
[小学校]鎌倉方面(6校)
(負担額の高い順)
尾山台小 7/3~7/4 鎌倉・小田原方面 24,359円
中央小 11/20~11/21 鎌倉方面 20,870円
原市小 11/20~11/21 鎌倉方面 20,649円
(負担額の低い順)
平方小 6/12~6/13 鎌倉・東京方面 18,877円
上平北小 5/30~5/31 鎌倉・横浜方面 19,020円
上尾小 6/19~6/20 東京・鎌倉・湯河原方面 20,412円
[小学校]日光方面(16校)
(負担額の高い順)
今泉小 9/3~9/4 日光方面 22,589円
芝川小 5/29~5/30 日光方面 22,518円
平方北小 5/30~5/31 日光方面 22,359円
(負担額の低い順)
瓦葺小 6/4~6/5 日光方面 17,992円
富士見小 11/7~11/8 日光方面 18,202円
大石北小 5/28~5/29 日光方面 18,433円
[中学校]関西方面(11校)※大谷中のみ大阪に行っています。
(負担額の高い順)
太平中 5/30~6/1 京都・奈良方面 64,802円
上尾中 6/2~6/4 京都・奈良方面 64,071円
上平中 5/29~5/31 京都・奈良方面 63,393円
(負担額の低い順)
大谷中 7/2~7/4 京都・奈良・大阪方面 52,667円
西中 7/3~7/5 京都・奈良方面 52,705円
原市中 7/9~7/11 京都・奈良方面 53,321円
※小学校の場合は、同じ日光方面でも学校によって差があることがわかります。これらは、バス代の差によるものと考えられます。また、必ず業者を通しているので、その手数料(パーセンテージ)も検証されなければならないと思われます。
※中学校は、学校によって大きな差があります。大谷中と太平中とでは、何と 12,135円 違います。市議会では、この差が生じていることについて、糟谷議員が質問しています。
■的外れな伊藤学校教育部長の市議会答弁
糟谷議員の質問:
「それでは、修学旅行の費用が最大で64,800円という学校、一番低くて52,600円という学校で、12,000円以上の差があるんですって、これは非常に負担感が保護者にあるということからしてもこれが適正な額の範囲と考えられるのかどうか、そこの認識をお尋ねします」
伊藤潔 学校教育部長の答弁:
「各学校では複数の旅行業者に見積もりを依頼して内容と価格を考慮したうえで利用業者を決定しておりますが、実施時期や学校規模により宿泊費等の差が生じております」
この伊藤潔 学校教育部長の答弁は、的外れと言わざるを得ません。なぜならば、参加生徒数は、太平中125人、大谷中119人で、ほぼ変わりません。実施時期は学校により異なりますが、問題は宿泊先です。
◇太平中は「からすま京都ホテル」2泊で29,160円
◇大谷中は「日昇館尚心亭」同じく2泊で18,630円
以上のように、宿泊先が異なるため、10,530円の差があるのです。
つまり、伊藤学校教育部長の答弁は、費用の内訳・明細を確認しないものであると指摘できます。
ここでもお分かりのように、市議会という公的な場でさえも、市教委は平気で的外れで間違った答弁をするのです。
糟谷議員は、この答弁を聞いて、こう発言しています。
「その差をできるだけ小さくするということはぜひやっていただきたい。私が調べたところだと、決して大きな学校と小さい学校という差じゃなかった。これは大体規模が同じくらいの学校でも差が生じているのですね。宿泊費にすごく差があるんですよ、よく細かく見ると。そういうことも含めて、時期とかがあるかもしれない、だけれども、人数ではないということ、そのへんをよく見ながら、決してそれを良いとは思わないから言うのですが、公平な負担に是正していただくよう、求めておきます」
■他にも修学旅行に関しては多くの問題が
今記事の冒頭で、修学旅行(特に中学校)については、行先の決め方や日程、あるいは先生方の超過勤務など多くの問題があると述べました。ひとつひとつの問題については、別途情報公開請求もおこなっている最中でもあることから、ここでは重要なポイントを指摘し、次回以降、ブログ筆者が知り得た情報をお伝えしていきます。
[行き先と日程]
小学校がおおむね前年度に学校側が次年度の日程や行先を決めるのに対して、中学校は2年前にすでに日程が「決められて」います。
この経緯について情報公開請求を求めたところ、「文書不存在」の処分となりました。その通知文書には備考欄に次の記述があります。
「小・中学校ともに、予定を立てる際または申込む際に、校長・教頭・教務主任等が口頭で確認しているため、文書は不存在。」
この文言はよく読むと、まさに修学旅行に関する「不都合な真実」が隠されていると考えられます。中学校が修学旅行の実施時期の2年も前に「申込む」とは、いったいどういうことなのか。
ブログ筆者は、このことについてある「仮説」を持っていますが、それについては、新たな事実が判明した時点でお伝えいたします。
[超過勤務の問題]
想像するのは比較的容易だと思われますが、とりわけ中学校の修学旅行の引率をする先生方は大変です。朝早くの集合時刻になる前から生徒の集合場所で待ち、現地での生徒の就寝後の打ち合わせなど、休む暇はありません。その緊張が生徒の解散時刻まで続きます。
具体例として、大石南中の先生方の修学旅行中の勤務実態を見てみると、「修学旅行に関する実績簿」によれば、初日から 17・17・13時間となっています。正規の勤務時間は7時間45分×3日=23時間15分ですから、差し引きで23時間45分超過していることになります。
この超過時間は、「勤務の割り振り変更」として修学旅行から8週間以内に振り替えることになっていますが、実際のところは、やむを得ず夏季休業中になってしまいます。
ここで、あり得ないことですが、振替時間の「値切り」がおこなわれるのです。前の例で示した大石南中の場合は、23時間45分超過にもかかわらず、割り振り変更は12時間のみ、とされてしまうのです。
実は、これは市内で一律になっていることから、校長たちが示し合わせて「割り振り変更時間の値切り」をしたと容易に推測できます。
このように、修学旅行をめぐっては、様々な問題があります。市議会の糟谷質問にもありましたが、ブログ筆者は「なぜ行き先が京都・奈良でなければいけないのか」ということに強い関心を持っています。
そのことも合わせ、修学旅行の問題については今後もお伝えしていきます。