修旅引率者に「休憩時間はバス車中で」と指示する「元学校教育部長」

上尾市教育委員会事務局の職員(とりわけ、学校教育部長)であった者が、退職する前に学校現場に戻るというのは、「(教育界という狭い世界での)常識」となっています。
理由は、「退職金は誰が払うのか(上尾市が払うのか、それとも埼玉県が払うのか)
」ということに尽きます。
上尾市としては、学校教育部長というポジションのまま退職されると、上尾市が退職金を払わなければならないので、非常に困るのです。もともと埼玉県で採用された職員に「上尾市が退職金を払う義理は無い」のですから。

そうした「元学校教育部長」が、学校現場でどのような発信をしているか、どのような姿勢でいるかについて、当ブログでは高い関心を寄せています。
今記事では、以前は上尾市教委の学校教育部長の職にあった今泉達也氏が「林間学校や修学旅行の際の休憩時間はバス車中で取るように」と指示した事実についてお伝えします。

No.283

🔶おかしくないですか?「休憩はバスの中で取ること」なんて
今記事で例に挙げる今泉達也氏は、元上尾市教委の学校教育部長であり、昨年度まで上尾小学校の校長でした。当ブログでは、以前にも今泉氏が書いた『上尾小学校だより』の酷い内容と文章についてお伝えしました(No.241記事「これが校長の指示・伝達・指導なのですか? 先生方が気の毒です」)。

次の文書は、上尾小で昨年度の林間学校&修学旅行引率者に向け、今泉氏から出されたものです(情報公開請求によって入手しました)。
中身は、林間&修旅の勤務超過分について、夏(冬)休み中に「勤務時間の割振り変更」をしなさい、というものです。
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1枚目の「令和4年度 林間学校における勤務の割り振りについて」の右肩(2泊1日)は、元校長である今泉氏の注意力の無さが表出していると言えます。また、この文書によれば、休憩時間60分のうち30分~60分を[バスの車中]で取るように校長から指示されています。

しかし、この措置は、明らかに労働基準法に抵触しています。

労働基準法(※強調のため色替えあり)
休憩)
第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
③ 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない

労基法の条文を示すまでもなく、どう考えても、林間や修学旅行のバスの中で「休憩」を取ることは無理でしょう。

[関係のないことを根拠にする校長の悪質さ]
上記引率者向け文書では、《根拠》として「教員特殊業務手当」が示されています。
しかしながら、この手当は、修学旅行等が特殊な業務であることに着目し手当を支給するというものであり、「勤務時間の割り振り」とは関係がありません
このように、
関係のないものを持ち出して「勤務時間の割り振り」の根拠にするという手法は、極めて悪質といえるものです。

🔶ツイッターの投稿では
今泉氏の例だけでなく、他の自治体でも同じようなことがあるようで、ツイッターでは次のような投稿も見られます。

このように、ツイッター投稿では、「バス車中での休憩」を認めている教育委員会が「分かっていない」ことを指摘しています。

🔶「林間・修旅は時間外勤務ではない」と言い放つ市教委事務局
実は、情報公開請求でこの指示文書が開示になった際に、担当である学務課もツイッター投稿と同様の反応(=なぜ、休憩時間とみなすのか。教育委員会は分かっていない)でした。それどころか、「林間学校・修学旅行の引率は時間外勤務ではない」と言うのです。

[学務課の「林間・修旅は時間外勤務ではない」との説明とは]
市教委の学務課は、次のように説明しています(色替えは強調のため)。

*埼玉県の「義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例」第7条第2項により、次のように定められている。
2 義務教育諸学校等の教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であつて臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとする。
一 校外実習その他生徒の実習に関する業務
二 修学旅行その他学校の行事に関する業務
三 職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務
四 非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務

この条例は、教員に時間外勤務を命じることができる、いわゆる「限定4項目」の埼玉県条例版ですが、上尾市教委学務課が強調するのは、「臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限る」という文言です。
つまり、「通常の林間・修学旅行」であれば、前もって何時間勤務ということがわかっているのだから、「割り振り変更」で対応せよ、という説明です。
しかしながら、この条例の「運用について」では、次のようにも謳われているのです。

*「義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例」第7条の運用について
1日7時間45分を超えて勤務を命ずる場合には、その勤務を命じた時間について、勤務を命ずる日を含む週又は翌週等において調整する。

すなわち、今泉氏の指示「夏(冬)休み中に割り振り変更せよ」については、原則から外れているということになります。言い訳としては「翌週等」の「等」の拡大解釈だと思われ、「実施した日から8週間以内」という解釈がまかり通っているようです。

上尾小が「元学校教育部長」のいた学校であることが影響しているのか、もともと問題意識が欠如しているのかのどちらかだと思われますが、市教委事務局がこのような姿勢では、「働き方改革」どころか、労基法を無視したものであり、上尾市内の他の学校でも同様ではないかと危惧しています。

🔶「元学校教育部長」の発言や所業に要注目
このところ、「上尾市の教育委員会って何様(なにさま)?」という市民の声が当ブログにも届くようになりました。
その背景として、「学校施設更新計画基本計画」が実は「小規模校潰し」を狙っているものだということが市民の間にも浸透しつつあることが挙げられます。

当ブログで何度か指摘しているとおり、上尾市教育委員会事務局と市内小中学校の校長との「異常な親和性」に多くの市民が気づくことが、上尾の教育行政を考え、改善していくうえで大変重要です。

学校教育部長は、市議会の一般質問等での答弁を求められる立場でもあります。
学校現場に戻った「元学校教育部長」(今年度は中央小や大石北小)が、学校現場においてどのような発言をしているのか、校長としてどのような姿勢で臨んでいるかについて、市議会答弁との整合性の問題も含め、当ブログでは引き続き情報公開請求等により明らかにしていきます。