「いじめ問題調査委員への公金の不当な支出」に関する請求人の陳述
おとといの2月13日、「いじめ問題調査委員会委員の報酬および費用弁償の返還に関する措置請求」(長いですが、監査委員事務局が付けてくれた「事件名」です)に関して、請求人としての陳述に出席しました。
傍聴のために足を運んでいただいた方々、ありがとうございました。
今記事では、住民監査請求での請求人の陳述などについてお伝えします。
No.312
🔸今回の住民監査請求を整理すると
1月30日に「住民監査請求(=上尾市職員措置請求書)」を事実証明書とともに提出。
受理されたので、監査の一環として「請求人による陳述」をすることになりました。
陳述の会場は議会棟4階の第3委員会室。
監査委員3名を目の前にして、私(当ブログ館主)が陳述するという形式であり、時間は約30分でした。傍聴者の他、立会人として市教委事務局(指導課)の課長と主幹が会場に姿を見せていました。
陳述では、請求人である私から、今回の住民監査について、次の3点に整理できることを述べました。
(1)「いじめ問題調査委員会」は、上尾市教育委員会に置かれる「附属機関」であり、「附属機関」を組織する委員の任免は「教育委員会の決裁」が必要不可欠であること。 |
(2)「いじめ問題調査委員」の委嘱については、上尾市教育委員会の定例会・臨時会を通じて「議案」として審議されたことが一度もないこと。 |
(3)現在の「いじめ問題調査委員」については、正式に「教育委員会決裁」を受けて委嘱されたものではないことから、正当性が認められず、「いじめ問題調査委員」と称される方たちに支払われた報酬および費用弁償については、公金の「不当な支出」と言えること。 |
以上の事実から、請求人は地方自治法第242条第2項の定めにより、「いじめ問題調査委員」と称される方たちに支払われた、過去1年分の報酬、および費用弁償計420,000円の返還を求めるものです。 |
続いて、当日提出した《新たな証拠①~⑦》も含め、裏付けになる文書や法令等の説明をし、事実関係に間違いがないことを説明しました。
🔸「新たな証拠」から「事実関係の一覧表」
7種類の《新たな証拠》を提出しましたが、ここでは、内2つを紹介します。
新たな証拠 ③附属機関等
「教育機関の附属機関」の委員の任免(委嘱や任命)については、「教育委員会の決裁」すなわち、定例教育委員会での議案審議を必要とします。
上の表は、17ある「教育委員会の附属機関」のうち、「いじめ問題対策連絡協議会」と「いじめ問題調査委員会」の2つの附属機関の委員については、定例会での議案となっていないことを示すものです。
もうひとつ、《新たな証拠》から。
新たな証拠 ④調査委員一覧等
この資料は、過去10年間の「上尾市いじめ問題調査委員」の一覧と、上尾市における「いじめ問題調査委員会」の委員の委嘱については、教育委員会の定例会・臨時会を通じて議案とされたことが2014年(平成26年)以降一度もないという事実を示しています。
委員数は5名であり、この中で、井川氏・柿崎氏・森田氏に共通しているのは「市内の元中学校長」という点です(この問題について特集した当ブログの以前の記事を読んだ方から、いじめ問題調査委員の「人選」についての疑問も寄せられています)。
以下の理由により、「元校長」がいじめ問題の調査(または再調査)の委員になるのは避けたほうがよい、と私は考えています。
お隣の桶川市でも「いじめ重大事態」が起き、「調査委員会」の調査では不足ということから「再調査委員会」が発足しました。
しかしながら、それまで委員として入っていた「元校長」は「再調査委員会」には入っていません。おそらく、どうしても学校寄りの発言となり、第三者機関としての役割が果たせないという判断ではないかと考えられます。
ですから、上尾市でも、「再調査委員会」の委員には、「元校長」は入れるべきではないと私は考えます。なお、市長の記者会見で、「いじめ問題再調査委員会」が今年度中に発足することが発表されています。
もう一度上の表に戻ると、大澤氏・平山氏・相川氏・和氣氏については、10年・5期にわたって「委員」とされてきたことがわかります。つまり、元校長である1名を除いた4名の方は、10年間同じメンバーであるということになります。
忘れてはならないのは、「上尾市いじめ問題調査委員会」として実際に調査をおこなったのは、今回市内中学校で起きた「いじめ重大事態」が初めてであるという事実です。
🔸監査委員からは「誰が支払ったらいいと思いますか?」との質問
私からの陳述のあとで、監査委員からは「請求書にある金額(42万円)は誰が支払ったらいいと請求人は考えますか?」との質問がありました。
私は次のように答えました。
「手続き上の重大な瑕疵(かし=過ちのこと)があったことについて責任を負うことから、教育長をはじめとした市教委事務局が支払うべきであると考えます」
🔸さっそく「陳述の効果」が
「請求人による陳述」が終了してから市教委のHPを閲覧したところ、「第1回いじめ問題対策連絡協議会」の開催結果が市教委のHP(指導課のページ)に掲載されました(開催からなんと8か月経過しています)。
これは「いじめ問題調査委員会」とは別の会議開催結果ですが、「教育委員会決裁」を受けていないことは「いじめ問題調査委員」と同様なのは、上の《新たな証拠》(教育機関の附属機関)を見れば明らかです。
以下は、2月13日付けで更新されたHPです。
「いじめ問題調査委員会」の開催結果ではありませんが、私の陳述を聞いた後で市教委指導課に動きがあったのは間違いありません(一番下の文の下線部を【会議の開催結果】とすべきところ、【会議開催のお知らせ】になってしまっているのは、急いで掲載したからかもしれません)。
🔸「相当な注意力をもって調査する」ことについて
上尾市HP(監査委員事務局のページ)では、市民が住民監査請求をすることについて、次のように説明されています。
今回の住民監査請求もそうですが、地方自治法の定めにより、監査請求の対象となるのは、過去1年間の範囲なのです。
1年より前の「公金の違法・不当な支出」については、監査委員事務局の説明にあるように、「その行為を相当な注意力をもって調査しても、客観的にみて知ることができないといえること」に該当しなければ住民監査請求することができない、とされています。
つまり、私たち住民は、日頃から「あれ?この公費支出はおかしいのでは?」との疑問が生じたら、情報公開請求制度なども使い、公表されていない事実も含めて、関心を寄せていく必要があります。
2月7日の総合教育会議で、市教委事務局から「イングリッシュサロン」なる企画が語られました(前出の市長記者会見(リンク先再掲)でも予算計上の話がされています)。
この企画については、疑問点がいくつも生じています。なお、総合教育会議に出席していた教育委員の方たちからは批判的観点での発言はおろか、疑問も出されませんでした。
市教委指導課主導の「イングリッシュサロン(原文がカタカナ表記になっています)」なる企画についての疑問点の幾つかについては、この話を総合教育会議で聞いた当日(2月7日)に情報公開請求をしました。
私はこの企画そのものに反対です。情報公開請求の結果も含めて、監査委員事務局がいう「相当な注意力をもって」当ブログでお伝えしていくつもりです。