上尾市長は「無責任な教育委員会」を側面から手助けするのですか?
学校に勤務する教育職員の時間外勤務について、当ブログでは高い関心を寄せていますが、直近では No.334 記事 & No.335 記事で取り上げてきました。
上尾市教委は、R6年度末までに「時間外在校等時間=月45時間以内」を100%にすることを目標に掲げています。
その根拠となる「規則」ですが、実は「致命的欠陥があること」から、私(当ブロブ館主)は実効性を持たせるために「政策提言」をしました。今記事では、私の「政策提言」についての上尾市長の説明がどのようなものであるのか、などについてお伝えします。
No.336
🔸守らなくてもペナルティが無い「業務量の管理規則」
学校教職員の「在校等時間(=時間外勤務時間)」を定めた規則は「上尾市立学校教職員の業務量の適切な管理等に関する規則」(教育委員会規則)です(青字クリックで全文表示。以下、今記事では『業務量管理規則』と略します)。
学校教職員の「時間外勤務時間」について、月45時間、年間360時間と定めたこの『業務量管理規則』の致命的な欠陥は「規則の中身を守らなくとも、校長も教委も何らのペナルティが無い」という点にあります。
『業務量管理規則』は、ペナルティについて定めずに、「3 前2項に定めるもののほか、教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の健康及び福祉の確保を図るために必要な事項については、別に定める」で終わっています。
情報公開請求によって得た情報によれば、最後に書いてある「別に定める」とは「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」(以下、今記事では『働き方改革基本方針』と略)であることが明らかになっています。
『働き方改革基本方針』では、月45時間を守らない場合の学校への「ペナルティ」については言及されていません。つまり、『業務量管理規則』も『働き方改革基本方針』も実効性は無いのです。
🔸「政策提言」を提出しました
上述の「ペナルティが無い規則」についての改善策として、私は7月に上尾市長宛てに「政策提言」を提出しました。その内容は以下のとおりです。
(上尾市長への「政策提言」は、上尾市のHPから送信できます)
現行の「上尾市立学校教育職員の業務量の適切な管理等に関する規則」には、罰則規定がありません。いくら「時間外在校時間(=実質的な時間外勤務)」の上限を定めたとしても、法律や条例に違反していることは明白でありながら、同規則に罰則規定が無いことから、各学校の校長も教育委員会も何らの責任を負うわけではありません。 |
したがって、同規則を実効性のある規則にするために、罰則規定を付記する必要があります。このまま現状を放置しておけば、法令違反の状態が恒常化することは目に見えています。具体的な罰則としては、口頭または文書注意等が想定されますが、形として残るものでないと意味がありません。 |
同規則に罰則規定を設けることについて、現場の教職員からは反対意見は出ないと考えられます。むしろ反対をするのは、今まで学校の教育職員の実質的時間外労働に依拠してきた校長と教育委員会でしょう。一日も早く同規則に罰則規定を設けることを政策提言いたします。 |
読んでいただければお分かりだと思いますが、私は「上尾市立学校教職員の業務量の適切な管理等に関する規則」には罰則規定が無い(=実効性が無ければ、まさに「絵に描いた餅」になってしまう)ことを改善するために「罰則規定」を設けたほうが良い、という趣旨で「政策提言」を提出したのです。
🔸返ってきた「回答」は?
しばらくして、上尾市長名で、次のような「回答」が届きました。
この「回答」を見て、私は愕然としました。
なぜなら、私の「政策提言」の真意、すなわち、現状の『業務量管理規則』に実効性を持たせるために罰則規定を設ける必要がある、という点に全く言及していないからです。
これでは、上尾市長が「無責任な教育委員会」を側面から手助けすることになってしまうでしょう。「政策提言」への回答であるならば、『業務量管理規則』に実効性を持たせる方策を示すべきなのです。
🔸再度「政策提言」を提出
上記回答を受け、私は再度「政策提言」を提出しました。
その内容は次のとおりです。
《前回の政策提言とそれに対する「回答」について》 私は市民として2024.7.17付けで「上尾市立学校教職員の業務量の適切な管理等に関する規則」に実効性を持たせる趣旨から、同規則に罰則規定を設けることを政策提言しました。この提言に対し、2024.8.5付け「上広第217号文書」が郵送されてきました。 |
《上広第217号文書」について》 私の政策提言を読んでいただければ明らかですが、政策提言の趣旨は「教育職員の業務量の適切な管理」を定めた「規則」について、いかに実効性を持たせるか、ということです。現状では、「上尾市立学校教職員の業務量の適切な管理等に関する規則」を守らなくとも、校長に対しても教育委員会に対しても何らのペナルティも無いのです。これでは、同規則はまさに「絵に描いた餅」であると言われても仕方がないでしょう。しかも、このことは上尾市長も教育委員会は百も承知であると思われます。 |
《他の教育委員会規則でのペナルティの定め》 では、他の教育委員会規則では、「規則を守らない場合のペナルティ」は定められていないのでしょうか? そんなことはありません。たとえば、「上尾市教育委員会傍聴人規則」では次のとおり定められています。 |
「上尾市教育委員会傍聴人規則」(違反に対する措置) 第7条 教育長は、傍聴人がこの規則に違反したと認めるときは、注意を与え、なお従わないときは、その者に退場を命ずることができる。 |
教育委員会定例会等の会議の中で、あまりにも的外れの発言だったり、提案者の文書の読み間違えが頻繁だった場合には、傍聴していて、思わず声が出てしまうこともあるでしょう(実際に私自身が経験しています)。それが数回続いた場合には(つまり、この規則を守らなかった場合)「退場を命じられる」という重いペナルティが定められているのです。 |
《再度の政策提言》 ◎「上尾市立学校教育職員の業務量の適切な管理等に関する規則」を実効性のある規則にするために、以下の文言(案)を加えます。 (規則遵守の確認と指導) 第4条 上尾市教育委員会は、毎年度、市内小中学校に対し、本規則が遵守されているか否かの確認をおこなうものとする。 2 前項における確認の結果、本規則が遵守されていないことが明らかな学校に対しては、その原因と対策を文書で提出することを求め、必要に応じて指導をするものとする。 以上を私からの政策提言とします。 |
🔸重要なのは教育長と教育委員会の「本気度」です
上記のとおり、私は再度「政策提言」をおこないました。このことについては、「回答を少し延長してほしい」と上尾市の広報広聴課から電話がありました。その時にも、政策提言の趣旨を理解してほしい旨伝えました。
本来なら、「教育職員の業務量の適切な管理」について、いかに実効性を持たせるか考えるのは教育委員会の仕事ですが、残念ながら教育委員会の「本気度」は今のところ全く見えてきません。
重要なのは、教育長と教育委員会の「本気度」です。現に、教育長は「教員の働き方改革は重要課題である」と市議会答弁でも明言しています。
ただ単に「言うだけ」でなく、「本気で取り組む」という姿勢を見せてほしいものです。
当ブログでは、この問題について、引き続き情報公開請求等で入手した資料などをお伝えしていきます。
令和5年9月議会で学校教育部長は、令和6年度の教職員の業務量の削減の取組について「働き方改革推進委員会、働き方改革懇談会の意見等を踏まえ、検討していく」と答弁しています。
働き方改革推進委員会は校長・教頭が委員となっていますが、トンデモナイ発言が散見されます。
A 校長「仕事量を減らさず早く帰るのが改革」
B 教頭「中学校は部活動があり、難しい状況です。まずは目標月80時間ゼロに取り組んでいます」
『業務量管理規則』に定められた月45時間以内を守ろうとする気は最初からありません。
極めつけは『業務量管理規則』を学校に守らせる立場の学務課長の発言です。
学務課長「働き方改革で、先生方の負担軽減のイメージについてですが、教職員の意識改革は学校現場ではどうでしょうか。数字としては月45時間、年360時間と出していますが」
「数字としては」・・・この発言について学務課長は面談した際に、教育委員会規則を守る意識が無いという意味であることを認めました。学務課長はその場ではこれから規則を学校に守らせると約束しましたが、その後もやる気は全く見られません。
また、学校教育部長は令和6年度の教職員の業務量の削減の取組について、すでに半年が経過しているのに方針を示していません。
教育委員会・学校管理職がこれでは、教員の方の長時間労働が改善されるのは大変難しいと思います。
コメント、ありがとうございます。
「働き方改革推進委員会」は、昨年の7月に制定されていますが、会議録はHPで公表されていませんね。私はR5年度第1回の会議録は入手しましたが、それ以降手元にありません。直近の文を情報公開請求で入手する必要がありそうです。
教育委員会事務局(学務課・指導課)の職員が業務量の削減に消極的なのは、自分たちが学校現場に戻った時に苦労したくないのと、今いる校長たちに恨まれたくないからでしょうね。
市の広報広聴課の職員と話をしたら、教育委員会事務局の職員がいずれは学校現場に戻ることを知らなかったですね。市役所7階は、市役所内部でもアンタッチャブルな存在になっているようです。
以前、市長政策室次長と話をしたとき教育委員会が法令を守らずに勝手なことをしているので、指導するよう求めたら「あそこは別会社だから」と言われました。
しかし、それはおかしいと思います。教育委員会の責任者である教育長は市長が任命するので、市長には任命責任があり、市長には教育長を罷免する権限もあるので、普段から教育委員会がおかしなことをしていないかチェックしておく責務があると考えます。
市長は公約に「子育て・教育環境のさらなる充実」を掲げながら、問題山積の教育委員会を放置するという姿勢を取っており問題だと思います。
「市役所7階(教育委員会事務局のこと)」は別世界である、とはよく聞きますね。
私は、現在の教育委員会が好き勝手をしている原因は、学校と教委事務局との人事異動にあると考えています。
学校の校長や学校教育部長を経験した者が歴代の教育長になっていますが、「輪番制」のようですね。
思い切って教育行政学の学者を教育長にするなど、思い切った対策が必要ですね。