市長も否定できなかった、上尾市教育委員会の「異常とも言える状態」

当ブログで言及しているとおり、上尾市教育委員会の議案採決をともなう会議(定例会・臨時会)では、20年の長きにわたって「全員一致・異議なし」の状態が続いています。
私(当ブログ館主)は、ほぼ毎回教育委員会定例会を傍聴していますが、議案採決の際は「どうせ毎回同じで、今回も全員一致・異議なしだろう」と思っていました。
しかしながら、あらためて定例会の『会議録』と司会(教育長)による採決の方法、さらに教育委員の意思表示の態度に着目すると、まさに現在の上尾市教育委員会の「異常な状態」が浮かび上がってきました。

私がこの問題の対応策として具体的に市長に「政策提言」したところ、市長は上尾市教育委員会の「異常とも言える状態」を否定できませんでした。
今記事では、私がおこなった「政策提言」に関連してお伝えします。

No.359

🔸教育委員会の議案採決について「政策提言」しました
私はほぼ毎月、教育委員会定例会を傍聴しています。最近、あらためて各議案の採決とそれに対する教育委員の意思表示について疑問が生じ、その改善のために「市長への政策提言制度」に基づき、以下の提言ををおこないました。

私はひとりの市民ですが、教育委員会の定例会は、ほぼ毎回傍聴しています。
定例会の中で、議案の採決について「これはおかしい」と思う点があります
たとえば、公表済みの今年1月の定例会の会議録には、次のように記載されています。
(西倉剛 教育長)これより採決いたします。
「議案第2号 上尾市学校給食施設基本計画の策定について」
原案のとおり可決することにご異議はございませんか。
   〜委員全員から「異議なし」の声〜
会議録はこのとおりですが、私が傍聴している範囲では、司会の教育長が「ご異議はございませんか」と述べたあと、教育委員全員から「異議なし」の声が発せられるわけではありません
軽く頷いている教育委員がほとんどであると思われます(定例会での教育委員と記録者との距離と、傍聴者である私と教育委員の距離は、ほぼ同じです)。
つまり、会議録の記載は実際の会議の様子は反映していないと考えられ、その意味で疑念が生じています。
このような実態について、市民からの疑念を払拭するためにも、司会者のすすめ方を次のように変更することを施策提案いたします。
(1)司会者である教育長は、議案の採決にあたり、教育委員に対し「挙手による意思表示」を求めるようにします。
(2)記録者は、「全員賛成」あるいは「賛成4名・反対1名」のように記録します。
教育委員会事務局(教育総務課)に調べていただいたところ、上尾市教育委員会定例(臨時)会での議案についての採決は、20年以上にわたり「全員一致・異議なし」であることが判明しています。
この事実は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の趣旨を想起すれば、20年以上の長きにわたって「全員一致・異議なし」という状況は、むしろ「異常な状態」であると言えます。
裁決方法を可視化するように変更することにより、教育委員会の定例(臨時)会が、議案によっては意見が分かれるという「正常な状態」になることを望みます

では、この「政策提言」についての市長の回答はどうだったのでしょうか。

🔸「政策提言」への上尾市長からの「回答」
3月19日付けで、上尾市長から私の「政策提言」への「回答」が届きました。

🔸市長の「回答」から分かること
市長の「回答」では「上尾市教育委員会会議規則」第10条について言及しています。
同条の規定は次のとおりです。

「上尾市教育委員会会議規則」
第10条 採決は、教育長が委員に対し、問題について異議の有無を諮る方法によって行う。
2 前項の規定にかかわらず、教育長は、必要と認めたときは、委員に対し1人ずつ賛否の意見を求める方法又は記名若しくは無記名投票の方法によって採決することができる

実態としては、司会者である教育長は、定例会(臨時会)での議案の採決の度に、毎回「ご異議ございませんか」とばかり述べています。
つまり、「教育長が必要と認めたとき(=委員に対し1人ずつ賛否の意見を求める)というケースは皆無であるということになります。

私が「市長への政策提言」で例示した『上尾市学校給食施設基本計画の策定について』も、西倉教育長は「委員に対し1人ずつ賛否の意見を求める必要があると認めなかった」ことになります。

🔸事実関係にみる「全員一致・異議なし」の異常さ
教育委員会での議案審議での「異常さ」がよく分かる例としては、「平方幼稚園閉園」の問題が典型的です。
以下は、2019年7月の教育委員会定例会『会議録』からの引用です。


このとおり、司会者である池野教育長(当時)は、平方幼稚園を閉園するという極めて重要な問題でさえ、教育委員に1人ずつ賛否を問うことをしていないのです。
こうして教育委員会で決めた「平方幼稚園閉園」については、周知のように、市議会で2度にわたって否決されることになりました。
平方幼稚園は最終的には閉園となりましたが、教育委員会の採決結果が市議会(民意)とはかけ離れていた典型的な例と言えるでしょう。

🔸教育委員会3月定例会では、相変わらずの状態が…
政策提言で、私が傍聴している範囲では、司会の教育長が「ご異議はございませんか」と述べたあと、教育委員全員から「異議なし」の声が発せられるわけではありません
と指摘している点について、市長からの「回答」では、
委員の発言内容が傍聴者に聞こえない旨のご指摘」というように、問題をすり替えていますが、それでも「教育長を通じて委員に伝達し、状況の改善に努めてまいります」と回答しています。

ところが、市長の回答(3/19)のあとの教育委員会3月定例会(3/24)では、残念ながら、市長回答にある「状況の改善は全く見られませんでした。教育委員のお歴々は、それまでと同様に、教育長の「ご異議ございませんか」との声に、ほとんどの議案に対し、無言でうなずくのみでした。

🔸「教育委員会は異常な状態と言える」との指摘を否定しない市長
私が「市長への政策提言」に記載した次の指摘と提言、すなわち、

20年以上の長きにわたって「全員一致・異議なし」という状況は、むしろ「異常な状態」であると言えます

この指摘について、市長は回答の中で否定していません
そこで私は、次のとおり情報公開請求しました。

請求人は「市長への政策提言」の中で、
「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の趣旨を想起すれば、20年以上の長きにわたって「全員一致・異議なし」という状況は、むしろ「異常な状態」であると言えます。
裁決方法を可視化するように変更することにより、教育委員会の定例(臨時)会が、議案によっては意見が分かれるという「正常な状態」になることを望みます。」
以上のとおり述べていますが、市長はこの請求人の指摘について否定していません。
そこで、20年以上にわたって議案の採決が「全員一致・異議なし」とされている「異常事態」とも言える状況について、合議体としての上尾市教育委員会の見解が判別できる文書・資料等

少し考えれば分かることですが、「20年間にわたって、すべての議案に対し全員一致・異議なし」というのは、明らかに正常な状態ではありません。
教育委員が5人とされている理由について、教育委員会は「多様な意見を尊重するため」などと言っていますが、そうであれば、議案によっては「賛否が分かれる」というのが普通でしょう。

上記の情報公開請求に対して、教育委員会がどのような文書・資料等を出してくるのか、その結果については、分かりしだい当ブログでお伝えします。

🔸教育長は「再任」されましたが…
3月議会最終日に、西倉教育長の再任の同意を求める議案が提出されました。
結果は「再任」とされましたが、全員一致ではありませんでした
また、「再任には賛成するが、市民から多くの質問が届いている」ということで討論に参加した議員の発言について、教育委員会側から「事実誤認なので発言の削除を」との強いクレームがあったということです。
当ブログでは、このことについても、事実関係を調べていきます。

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