「定例教育委員会」と「総合教育会議」を傍聴して気づいたこと(その2)

前の記事の続きです。市民が傍聴できる会議や審議会の予定は、私が「市長へのはがき」に投稿したことが契機となったのか、市のHPにまとめて掲載されるようになりました。ただし、その中には「傍聴するだけ時間の無駄だったな…」と思わずにはいられない会議もあります。「総合教育会議」は、その典型と言えます。

No.139

🔷中身の薄い「総合教育会議」
「総合教育会議」を初めて傍聴しましたが、20分以上も傍聴の市民を待たせた割には、中身と言えるのほどの内容は無く、結論から言えば、「傍聴する価値の無い会議」という印象を持ちました。この「総合教育会議」とは、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地教行法)で各自治体に設置することが定められています。

「総合教育会議」とは(上尾市の場合)
(趣旨)上尾市長と上尾市教育委員会が充分な意思疎通を図り、市の教育の課題等を共有して、教育行政の推進を図る。
(構成員)市長と教育長と全ての教育委員
※上尾の場合は、他に副市長と教育委員会事務局も出席しています。

「総合教育会議」は、地教行法で第1条に規定されていることを考えても、上尾市にとって重要な会議に位置付けられているはずなのですが…
それにしては中身は「お粗末」です。

形としては「教育委員が市長に教育施策について説明する」となっているはずが、教育委員が、同席している事務局(学校教育部長)に「これはどうなっているのか」などと質問して、誰が説明者の立場なのかわからなくなるようなやり取りで、思わず失笑が漏れる場面もありました。

その中で市長が盛んに興味を示したのが、こちらのデータです(下部にズームあり。PC閲覧を推奨)。

上尾市立小・中学校学力調査結果

これは、「第3期上尾市教育振興基本計画」(全92頁)の28頁を転記したものですが、市長は「中学校の学力が下がっていますね」と何度も発言していました。それに対して、教育長や教育委員は答えません(答えられない、というのが正確かもしれません)。仕方なく教委事務局の答えが「成績が下がっているように見えるのは…グラフのマジックと言いますか…」というものでした。これには、傍聴していて「なんじゃ?それは?」と、呆れてしまいました。
確かにこのグラフは、縦軸をゼロから始めれば、中学校の学力調査の下がり幅は目立たないかもしれません。
問題はそういうことではありません。この調査に意味があるかどうかが肝心です。調査対象者が年度によって違うので、当然「得点平均」は多少の違いが出てくるのは当然です。以前の教育委員会の会議の中で、小学校の平均値が多少上がっているように見えることについて、事務局(指導課)は、「委嘱研究指定の効果と思える」と説明しています。

果たしてそうでしょうか。私は今の市教委の最大のネックは「委嘱研究指定」だと考えています。コロナ禍の前は、研究発表会の前日の夜に指導課職員が発表校にやってきて、下足用の扉に「御来賓の名札がきちんと貼ってあるか」「順番はどうか」などのチェックをしていた、というのは、発表校の職員は誰もが見聞きしてきたことです。
そのために、上平小では発表前月の時間外勤務が141時間を超えるという実態があり、それは市議会の一般質問でも取り上げられました。

市長は、根拠があるとは思えない「学力向上」にやたらと関心を示す前に、教職員の時間外勤務の実態はどうなのか、コロナ禍で教員への負担は増しているのであれば、その解決策はどうなっているのか、まず、そのことを心配すべきなのです。

🔷市長が定めるべき「大綱」は、市教委に丸投げ
「総合教育会議」は、上述の「地教行法」により設置することになっていますが(地教行法第1条の4)、その前提として、以下のように「大綱」を定めることになっています。

地教行法第1条の3
地方公共団体の長は、教育基本法第十七条第一項に規定する基本的な方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱(以下単に「大綱」という。)を定めるものとする。

しかしながら、上尾市のHP(秘書政策課)には、次のように掲載されています。

上尾市では、「上尾市教育振興基本計画」の基本理念・基本方針・基本目標をもって、本市の「教育・学術および文化の振興に関する総合的な施策の大綱」に代えることが承認されました。

つまり、本来は首長(市長)が定めるべき「教育・学術および文化の振興に関する総合的な施策の大綱」については、市教委に丸投げしていることになります。何度も当ブログで事実を示し指摘をしていますが、現在の市教委に「丸投げ」するのは、かなりリスクが高く、市長は無責任であると言わざるを得ません。
「総合教育会議」で「見せかけの学力」だけに関心を寄せたり、「自分の子供の頃はこうだった」(副市長)のような、言わば雑談のような話をするのではなく、現在学校現場でどのようなことが起こっているのかについて真剣に向き合うことが市長には求められます。

今回の「総合教育会議」を傍聴して、あらためて「今の市長は、きちんと教育問題について向き合っているとは言えないのではないか」との感想を持ったしだいです。

“「定例教育委員会」と「総合教育会議」を傍聴して気づいたこと(その2)” への2件の返信

  1. 記事に書いてあった、聖火トーチのごり押しや市議会からの告発、総合教育会議で現市長が言ったことなど、今の市長が市長でいる限り上尾は「お先真っ暗」ですね。

    1. コメント、ありがとうございます。

      私の中での極めつけは、聖火トーチの展示を1日で小中学校全校に巡回させようとしたことですね。
      今はただの「オリンピック大好きおじさん」とでも言うべき人です。
      あとは、告発の行方がどうなるか、それについては関心を寄せています。

現在コメントは受け付けていません。