「よりましな教育委員会」にするための「陳情書」を市議会に提出しました

8月24日、請願・陳情の締切日に、個人として「陳情書」を市議会に提出しました。
「教育長および教育委員選出の透明性を確保し、会議活性化のために教育委員の定数増員を求める陳情」という長いタイトルの陳情書です。
今記事は、このことについてお伝えします

No.180

🔶上尾市の教育委員会は今のままではダメ
9月議会に間に合うようにと、原稿を何度か書き換え、期限ギリギリで提出した陳情書の内容は以下のとおりです。

教育長および教育委員選出の透明性を確保し、会議活性化のために教育委員の定数増員を求める陳情      2021年8月24日
上尾市議会議長  大室 尚  様  (陳情人)住所・氏名・連絡先
要旨
❶上尾市教育委員会教育長および教育委員については、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(以下、「地教行法」)第4条の規定により、市長が議会の同意を得て任命することになっています。しかしながら、「なぜこの人が教育長(教育委員)に最も適任なのか」「どこからこの人の名前が出てきたのか」すなわち人選の経緯については明らかにされていない実態があります。以上のことから、教育長及び教育委員選出の透明性の確保を求めるものです。
❷「上尾市教育委員会の委員の定数を定める条例」により、上尾市の教育委員は現在5名となっています。けれども、実態としては、教育委員会の会議においては教育委員同士による「議論」は皆無であり、事務局から提案された事項について一言二言質問やコメントをするのみであって、提案された事項を追認するという状況が少なくともここ20年にわたり続いています。上尾市の教育に責任を持つ教育委員であれば、教育委員同士での教育論議があってしかるべきだと思われることから、教育委員会会議での活発な議論を喚起する一つの方法として、教育委員の定数増員を求めるものです。なお、それにともなう教育委員報酬については、条例改正を経て、総額での減額を求めます。
理由❶「教育長および教育委員選出の透明性を確保する」ことについて
❶―1 地教行法の規定
「地教行法」第4条第1項では、「教育長は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育行政に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。」と定められており、同法同条第2項では、「委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化(以下単に「教育」という。)に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する」と定められています。
❶―2 上尾市の現状
しかしながら、「人格が高潔で、教育行政に関し識見を有するもの」言わば「教育長有資格者」、あるいは「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもの」言わば「教育委員有資格者」は数多(あまた)いる中で、「なぜこの人が上尾市の教育長(教育委員)として最適任なのか」「どこからこの人の名前が出てきたのか」という疑問は解消されておらず、関連情報が市民に公開されることはありません。陳情人は、教育長や教育委員が交代する度に「教育長(教育委員)として適任であること」および「人選にあたり、どこから名前が出てきたのか」それぞれ判別できる文書・資料について行政文書公開請求をおこなっていますが、毎回「当該文書は不存在のため非公開とする」との処分が通知されます。 こうした事実から、教育長および教育委員にかかる人選についての透明性が確保されているとは言い難い状況が続いています。
❶―3 現教育長の資質
現教育長については、2019年2月20日および2020年4月24日の2度にわたり、すでに支払われた給与あるいは出張費の一部返還を求める住民監査請求が起こされています。その結果、監査委員からの厳しい指摘を受け、教育委員会として規則改正等の措置をせざるを得ない事態となりました(住民監査請求の詳細については、上尾市HP監査事務局「住民監査請求」を参照してください)。
また、市議会で2度にわたり否決された平方幼稚園廃園条例を最初に提案する際の事前の教育委員会(2019年6月定例会)の席上、前教育長職務代理者が「平方幼稚園の役割は終わった」という趣旨の発言をしていますが、それに異を唱えることも無く、「閉園することが妥当」として同幼稚園廃園条例を推進する旨発言しています(詳細は会議録参照)。
さらに、昨日(8月23日)市議会にて開催された「第2回   上尾市学校施設更新計画調査特別委員会」では、現教育長は当初は会議に出席していたものの、約1時間ほどで「公務のため」中座するという状況がありました。通常考えれば、全議員が出席している調査特別委員会を途中で抜けなければならないほどの「公務」は無いと考えられますが、教育長に質問が及ぶ前に中座したのではないかという疑念も生じています。
❶―4 現状を打開するために
こうした不明瞭な人選のプロセスを避けるために、現行の法体系の範囲内での現状打開の方法について述べます。まず、教育長として適任であるかどうかについて、就任前に市民にも広く情報を公開する必要があると考えます。具体的には、教育長を公募し、候補者には「上尾の教育行政をどうすすめていくのか」について文書で表明してもらい、それを市民に公表し、「教育長選考委員会」等の選考機関を経て、市長が市議会に同意を求めるなどの方法が考えられます。このようにして選出された教育長であれば、市民からの信頼も現在よりも得られるものと思われます。
また、教育委員についても同様であり、現状では「なぜ、どのようにしてこの人の名前が出てきたのか」については不明瞭であり、選出の透明性が求められます。現在のように、就任後に書かれた「雑感」としての「教育委員のリレーエッセイ」(教育委員会HPに掲載)などではなく、就任前に「上尾の教育の方向性をどう考えるのか。教育の課題は何か」などのテーマで、文書による教育委員としての意見表明を市民に公開することが必要なのではないでしょうか。
理由❷「会議活性化のために教育委員の増員を求める」ことについて
❷―1 地教行法の規定
「地教行法」第3条では、その前段で「教育委員会は、教育長及び四人の委員をもつて組織する。」と定められていますが、上尾市においては、同条但し書きを援用し、「上尾市教育委員会の委員の定数を定める条例」で教育委員を5名としています。
❷―2 上尾市教育委員会の現状
この5名を含む教育委員会の会議について、陳情人は毎回傍聴をしていますが、残念ながら、事務局提案の議案や報告事項について、教育委員から一言二言「当たり障りのない」コメントがされ、議案については、毎回「全員一致・異議なし」で可決されている実態があります。なお、陳情人が情報公開請求して得た情報では、少なくともここ20年間「全員一致・異議なし」の状況が続いていることが判明しています。
6月24日の市議会全員協議会において、教育総務部長は、“「学校更新計画」については教育委員による「議論」が必要です”と述べています。この場合の「議論」とは、教育委員相互の議論であることは自明です。しかしながら、現状では、上述のように事務局の提案に教育委員がコメントするだけの実態があります。また、喫緊の課題として、現在検討の俎上にある「学校施設更新計画」に関連して、小中一貫教育についての方向性を議論する必要も生じていますが、現在までのところ教育委員相互の議論はされていません。
❷―3 現状打開の方策と文科省の通知文書
こうした現状を打開するためには、教育委員会の会議を活性化する必要があります。そのための方策として、教育委員を増員して、新たな考えや意見を相互に述べ合う場面を設定することを求めるものです。陳情人は増員幅を3名と考えています。
このことに関して、文部科学省は、2014(平成26)年7月17日付けで「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の 一部を改正する法律について(通知)」を発出しています。その中で、教育委員について次のような記述があります(下線は陳情人によります)。
“各地方公共団体の条例で定めるところにより、委員を5名以上とすることも可能であり、委員数の上限は法律上定められていないことから、教育委員会が行う施策について多様な民意を幅広く反映させる等のため、委員の数を5名以上とすることも積極的に考慮されるべきこと。”
すなわち、上尾市の教育委員を3名増員して8名にすることは、文科省も通知で推奨しているという事実があり、全国的には奈良県生駒市での実例もあります。
❷―4 増員後の教育委員の報酬等について
最後に、教育委員が8名に増員された際の報酬の扱いと、就任に当たっての配慮事項について述べます。
現行では「上尾市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例」により、教育長職務代理者は月額75,000円、教育委員は月額64,000円、月額総計331,000円が支払われています。教育委員を8名とした場合には、定員と報酬についての条例改正が必要になります。教育長職務代理者は月額42,000円、教育委員については月額40,000円、月額総計322,000円に減額とすること、および増員の際には、任期満了日が同一になることを避ける配慮(就任年月日をずらす等)も合わせて求めるものです。
陳情は以上です。

 🔶「よりましな教育委員会」にするために
何度か当ブログで指摘してきたように、教育長および教育委員の資質や姿勢、それに加えて教育委員会事務局のすすめようとしている方針には大いに問題があります。
今まではそのことが市民や保護者に問題視されてきませんでしたが、平方幼稚園問題や現在の「学校更新計画=学校統廃合計画」などを通じて、教育長と教育委員の姿勢や対応の拙さが露見しています。
少なくとも「今よりもましな教育委員会」にするために、今回私が提出した陳情書で訴えた内容は有効な手段であると考えています。