「様々な変化が目に見える」今の上尾市図書館を使いこなすために

「このところ、上尾市図書館の企画や利用者サービスが(いい意味で)変わってきた」と思っている人は、図書館のヘビーユーザーに限らないかもしれません。
今記事では、そうした変化も確認しつつ、上尾市図書館を使いこなすための「利用者リテラシー」とはどういうものであるかについて考えていきたいと思います。

No.254

🔶利用者サービスに変化が
上尾市図書館のHPに、二つの[事業報告]が掲載されています。
令和4年度【図書館】まつり事業報告]と[データベース活用講座事業報告]です。
私はこれら二つの事業それぞれ1回ずつ参加しましたが、終了したイベントが今回のように[事業報告]として図書館のHPに掲載されるは初めてではないでしょうか。
こうしたことは利用者サービスの目に見える変化とも言え、利用者としては歓迎します。

私が参加した、図書館まつりの「書評合戦」についても、参加者の写真とともに、短めの文ですが要領よく報告がされています。他のイベントについても同様で、全体的に雰囲気や参加者の様子が伝わってきます。
また、データベース活用講座は、私は[朝日新聞クロスサーチ編]に参加し、後日、本館のPCで利用してみました(朝日新聞クロスサーチは、自宅では利用できません)が、使い勝手は良いと思いました。
実際に検索してみて、重要性を再認識したのは、著作権についてです。

🔶軽視できない「著作権」
自分以外の誰かが書いた文章や作品は「著作物」であるため、「著作権法」の保護の対象となります。「新聞で発表したのだからいいだろう」と軽く考え、結果的に「著作物」を無断で転載するのは、違法行為です。
上記朝日新聞クロスサーチ 著作権についてでは、「著作権者の許諾を得ずに利用できる場合」について、次のように定めています。

〇私的使用のための複製ならば可(著作権法第30条)
個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」と定義されています。
インターネット上で記事や写真を掲載することはNGです。インターネットに載せれば大勢の人がアクセスでき、「家庭内その他これに準じる限られた範囲」ではないため、「私的使用とは言えない」からです。

〇引用
一般に、公表された他人の著作物の一部を利用することを「引用」といいますが、著作権法第32条では、次のように規定しています。
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない

〇引用の条件
(1)主従の関係(質的にも量的にも)
引用する側の本文が「主」、引用部分が「従」という関係にあること
本文に表現したい内容がしっかりとあって、その中に、説明や補強材料として必要な他の著作物を引いてくる、というのが引用です。
*引用部分の方が本文より短いことが必要です。「朝日新聞に次のような記事があった」と書いて、あとはその記事を丸写しにしたものや、記事にごく短いコメントをつけただけのものは引用とはいえません。
(2)明瞭区分性
*引用部分がはっきり区分されていること。引用部分をカギかっこでくくるなど、本文と引用部分が明らかに区別できることが必要です。
(3)出所の明示
*通常は引用部分の著作者名と作品名を挙げておかなければなりません。検索結果を使うときは「朝日新聞〇〇年〇月〇日朝刊(「朝日新聞記事クロスサーチ」から)」といった表示が必要になります。

◎当ブログでも、以前1度だけ使用した画像について「クレジットが無い」とのコメントが寄せられたことがあります。それ以降、「著作権」については気をつけていますが、これも「ルールを守る」ということに尽きます。

※「朝日新聞クロスサーチ」で記事を検索してみました。記事の中身はマスキングしてあります。右下に「無断複製転載を禁じます」の表示があります。
IMG_20221228_0003
※朝日新聞では「記事を転載したい」という質問への見解が示されています。おおむね上記「朝日新聞クロスサーチ」と同様ですが、どうしてもという場合は有料になるとの案内もあります。

🔶コピー機の場所が変わったことに気がつきましたか?
「著作権」関連で別の話です。
最近、上尾市図書館(本館)2階のコピー機の設置場所が変わったことに気づいた方は、さほど多くはないかもしれません。
実は、利用者が本来提出するべき「複写申込書」の数と、コピー機のカウンター数が合わないことが判明したので、「貸出カウンターの脇にコピー機を置けばよいのでは?」ということで、私が提案したものです。
実際には、次のような数字となっています。
【2022年6月9日~2022年7月1日】
*「資料複写申込書」に書かれているコピー枚数の合計……379枚
*コピーカウンターのトータル使用枚数の合計………………698枚
おそらく、コピー枚数に差が出る理由は、利用者が複写申込書を出すことなくコピーをしたということでしょう。カウンターのすぐ脇にコピー機が移動したことで、このようなことは少なくなると思われます。
著作権法でも図書館の資料の複写は条件付きで認められていますが、大事なことは、こうしたことも含め、ルールを守って図書館を利用しましょう、ということです。

🔶作業中BGMとしての「NAXOS(ナクソス)」
このブログを読んでいただいているみなさんは、PCなどでの作業中に、どんなBGMを流していますか?
私は最近、上尾市図書館のサービスのひとつである「NAXOS(ナクソス)」を利用しています。ナクソス・ミュージック・ライブラリーで聴くことができるのは大半がクラシックですが、作業する際に聴くには最適です。
上尾市図書館のHPにも案内がありますが、手続きとしては、図書館のカウンターで「ナクソスを利用したい」旨申し出ると、ログインのための「ユーザーID」と「パスワード」が発行されます。
IMG_20221220_0002
ただし、ルールがあります。
その主なものは、「録音はできない」ことと、「使用期限は初回ログインから14日間」ということです。ですから、継続するには図書館カウンターに行く必要があります。
しかしながら、2週間に1度くらいは図書館に足を運ぶことがあっても、さほど苦にはならないのではないでしょうか。

🔶リクエストカードは手書きで
「実際に図書館に足を運ぶ」という意味では、リクエストカードも、直接カウンターに申し込む必要があります。ですが、カウンタースタッフの方の手間等を考慮すれば、「現状でやむを得ないのではないか」と私は考えています。
最近私が申し込んだリクエストカードを一例として挙げてみましょう。

IMG_20221220_0004

上の記入例について、若干補足します(下線部)。
*書名は『  』(二重カギ)で括(くく)ると better です。
*例では出版社(アスコム)のHPで発売日と「ISBN(国際標準図書番号)」を調べて記入しています(上尾市図書館では、発売日前の本はリクエストできません)。
ISBNを記入することで、カウンタースタッフが資料を調べやすくなります。

※現在、この本は私の「利用者メニュー」の「予約中一覧」の一覧に掲載されています。
つまり、リクエストが通ったということになります。

🔶図書館利用者の「リテラシー」とは
図書館情報学研究者である根本彰は、その著書『情報リテラシーのための図書館』において、「情報が氾濫する社会を生きる私たちにとって、第一次資料の保存庫であり、公共の情報サービス機関である図書館は、信頼のおける、身近な情報拠点」だとしています。
そのうえで、根本は「情報リテラシー」について、次のような定義を紹介しています。

 情報が必要なことを認識したときに、必要な情報を効果的に探索し、評価し利用することができる人になるのに要求される一連の能力

すなわち、図書館利用者の「リテラシー」とは、「公共の情報サービス機関であり信頼のおける身近な情報拠点」である図書館を最大限利用することができるようになるために要求される能力、と言えるでしょう。

冒頭で述べたように、上尾市図書館の利用者サービスが変わってきた今こそ、今記事で述べた幾つかの利用方法を含め、上尾市図書館を使いこなしていきたいものです。