20年間「全員一致・異議無し」の上尾市教育委員の「役割」とは?
1/14~1/29まで、市内公民館(上尾・大石・大谷・原市・平方・上平)で「上尾市学校施設更新計画基本計画(素案)」について意見を聴く「地域公聴会」がおこなわれました。
私も公述人として1回、傍聴人として2回参加し、公述人の意見はもとより、当日の日程の最後に傍聴人からの意見も聴くことが出来ました。その中で、「なぜ教育委員は公聴会に来ないのか」という疑問が参加者から続出しました。今記事では、このことを含め「上尾市教育委員の果たす役割とは何か」についてお伝えします。
No.259
🔶地域公聴会で「教育委員に対する疑問」が続出
私が傍聴した上平公民館での公聴会では、公述人から次のような意見が出されました。
「学校規模の適正化方針」は、地域の声を十分に受け止める姿勢に欠けます。教育委員会の中で特に責任の重い教育委員は「公聴会」や住民説明会に出て市民の声を聞くべきだと思います。 |
また、上尾&原市公民館でも、「教育委員はなぜこの場に来ないのか」「そもそも、教育委員は基本計画を提出する立場ではないのか」といった傍聴人からの発言もありました。公聴会では市会議員の方が何人も傍聴していたことを考えれば、「なぜ教育委員は誰も地域市民の声を聴こうとしないのか」は、当然の疑問と言えます。
🔶市教委事務局/教育総務部次長の「ウソ」
私も上平公民館での公聴会の席上、「教育委員会事務局として、教育委員に公聴会に参加してもらうよう伝えたのか。成人式(二十歳のつどい)には教育委員に出席を依頼し、公聴会については出席を依頼しないのか?」と尋ねました。
これに対し、当日事務局として出席していた清水教育総務部次長は、「成人式も地域公聴会も、そうした(催しの)予定がある、と伝えた」と述べています。
しかしながら、すでに公開されている昨年12月の教育委員会定例会の会議録を見れば、教育総務部次長が「ウソ」を言っているのは明らかです。
このとおり、教育委員に対して「二十歳のつどい(成人式)」については出席を依頼していますが、地域公聴会については言及していません。
なぜ教育総務部次長が「ウソ」までついて教育委員をかばうのか、大変疑問です。
🔶各教育委員への書簡(質問)を出しました
地域公聴会で「なぜ教育委員は地域公聴会に出ないのか」との疑問が出されていることもあり、1/25に教育委員に宛てた質問(書簡)を教育総務課経由で渡してもらいました。
その内容は以下のとおりです。
202301各教育委員あて書簡
〇印を付けて返せばよいだけですが、一応期限は2月末までとしました。
教育委員がどのような回答をするのか、それとも前回と同様に、市民からの質問には「完全スルー」するのか、その結果については当ブログでお伝えしていきます。
🔶教育委員の法的根拠は?上尾市は地教行法を守っている?
各自治体には教育委員が置かれています。その根拠は「地方教育行政の組織および運営に関する法律(地教行法)」によります。条文を確認してみましょう。
地教行法(上尾市の教育委員に関する条文) |
第3条 教育委員会は、教育長及び四人の委員をもつて組織する。ただし、条例で定めるところにより、…市の教育委員会にあつては教育長及び五人以上の委員…をもって組織することができる。 |
第4条2項 委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化(以下単に「教育」という。)に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。 |
第4条5項 地方公共団体の長は、第二項の規定による委員の任命に当たつては、委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するとともに、委員のうちに保護者である者が含まれるようにしなければならない。 |
このように、地教行法では「教育長+4人の教育委員」が原則ですが、上尾市では「教育長+5人の教育委員」で組織できること、また、教育委員は「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するものであること」、市長は任命にあたっては「教育委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮すること」、「教育委員には保護者が含まれるようにしなければならない」ことがそれぞれ定められています。
では、上尾市ではどうでしょうか?
まず、「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有する」という面では、それぞれの教育委員が就任の際に「上尾市の教育行政について私はこう考える」などの見解や論文等が市民に示されたわけではなく、根拠は無いと言わざるを得ません。。
また、教育委員会定例会の会議録を読めば分かることですが、各教育委員からの発言は、毎回、市教委事務局案には賛成の立場での、当たり障りのないものとなっています。
教育委員が任命される際には「年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮すること」と定められているにもかかわらず、男性4名・女性1名と偏っていること、また、各教育委員の年齢も近いことから、現在の上尾市教育委員は、地教行法第4条5項に抵触していると考えられます。
🔶現在の上尾市の教育委員の役割を考えると、5人必要ですか?
「教育委員は市教委事務局の提案には基本的に賛成」ということで思い出されるのは、2019年6月の教育委員会定例会です。このとき、教育長と教育委員は「全員一致・異議無し」で平方幼稚園の廃園を決めました。
しかも、この協議はなんと非公開でおこなわれたのです。会議録を見てみましょう。
上尾市教育委員会 2019年6月定例会/会議録より(該当部分を抜粋)※役職名は当時のもの |
(細野宏道 教育長職務代理者) …(平方幼稚園の)役割は終わったのではないかと思います。 |
(池野和己 教育長) それでは、本件につきましては、教育委員会といたしましては、(平方幼稚園は)閉園することが妥当であるとすることでよろしいでしょうか。 ~委員全員から「はい」の声~ (池野和己 教育長) それでは、そのような方針で、今後、利用者の方や地域の方に丁寧に説明し、ご理解をいただくよう事務局にお願いいたします。 |
この会議録から、いとも簡単に平方幼稚園の廃園を決め、利用者や地域住民への説明は事務局に丸投げしているのが分かります。
平方幼稚園の廃園案は、この後2度にわたって議会で否決され、切羽詰まった市教委事務局は、「園児募集をしない」という「禁じ手」を使い、廃園に突き進むことになります。
現在問題となっている「学校施設更新計画基本計画」においても、平方幼稚園廃園を画策した際の状況とよく似ています。地域や住民への説明等は事務局に丸投げで、基本的に市教委事務局案に賛成の立場からの発言に終始していると言えます。過去20年間、議案に対して「全員一致・異議無し」が続いている理由がここにあります。
上述の「教育委員への質問」への回答に、次の選択肢があります。
( )教育委員は、過去20年間にわたり、教育委員会定例会や臨時会において、「異議なし・全員一致」で事務局作成の議案に賛成してきたので、地域公聴会に行ったとしても自分の役割は今までと同様であり、変わらないから。
教育委員のお歴々が、ご自分の果たしている役割を客観視出来ていれば、この選択肢に〇印がつけられるでしょうが、果たしてどうでしょうか。
こうしたことを考えると、たとえ地教行法により「教育長+5人の教育委員」を置くことができるとしても、現状が続くようであれば、上尾市の教育委員は5人置く必要は無いと言えます。
🔶教育委員会を活性化するにはどうしたら?
その一方で、地教行法で「教育委員は5人以上置くことができる」とされていることから、他の自治体に倣って、定数を8人にする(報酬は総額を按分する)という方法もあります。
その場合には、教育委員が就任する際に「上尾の教育行政をどうするか」についての見解を示してもらい、それを市民に公開すれば、間違いなく現在より緊張感のある、しかも活発な教育委員会定例会になると思われます。
残念ながら現在では全く見られない「教育委員同士による教育的議論」が必要です。
ここでいう「教育的議論」とは、たとえば、「〇〇委員の主張について、私は同意(または不同意)します。なぜならば,このデータが示すとおり……だからです」などといった、極めて論理的かつ知的な議論のことです。
◎今記事では、上尾市の教育委員が地域公聴会に顔を見せないのはおかしい、という市民の疑問は当然であるとの立場から教育委員の役割を考えてきました。
今後、もしも市教委事務局の思惑通り(私は反対ですが)学校の統廃合が定例会等の議題となった場合、求められることの一つは、教育委員同士による教育的議論なのです。
いつも本質を突く情報提供とコメントに敬意を申し上げます。
今回の件は、私も大谷地域の公述人の一人として「なぜ教育委員に出席するよう要請しないのか?少なくともそれなりの金員を負担しているなら、教委・市としてこのような(公聴会のような)場に、出席を要請するべきだ。と発言しました。合わせて文化センターの講演会について500名の定員があるにかかわらずやっと二けたの参加者にとどまった現状と責任について、どのように考えるか?についても発言しました。
勿論なんの見解が示されるわけはないのは承知ですが、葉痛言しながら主催者側の反応を見ておりましたが、「神妙に」聞いてくれたようにも思いました。これは私の勝手な解釈です。
とりあえずのご報告まで、
コメント、ありがとうございます。
大谷公民館でも「教育委員の出席を要請するべきである」という意見を述べていただいたのですね。
基調講演会の件も、おっしゃるとおりです。観客がなぜ集まらなかったのか、反省なり総括がされるべきです。
ほとんどの地域で同様の意見が出されたことは、市教委事務局としては考えざるを得ないでしょう。
今後の市教委事務局の対応や、教育委員の発言に要注目だと思います。