これで「第三者評価者からの意見・提言」と言えるのでしょうか?

市のHP(教育委員会のページ)に『令和7年度 上尾市教育委員会の事務に関する点検評価報告書(令和6年度事業対象)』が、2025年12月26日更新として公表されています。
これは「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)」の規定に基づいて毎年度公表されるものです。
この『点検評価報告書』は、「目標」ごとに「第三者評価者からの意見・提言」が記載されています。ところが、中には「これが第三者評価者からの意見・提言なのですか?」と疑問が生じるような記述もあるのです。今記事では、このことを含めて、教育委員会における「第三者」の現状などについてお伝えします。

No.384

🔸『点検評価報告書』とは
令和7年度 上尾市教育委員会の事務に関する点検評価報告書(令和6年度事業対象)』は、地教行法により作成することが定められており(下記参照)、現在、市のHP(教育委員会のページ)で公表されています(青字クリックで閲覧できます)。

(教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価等)
第26条 教育委員会は、毎年、その権限に属する事務の管理及び執行の状況について点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を作成し、これを議会に提出するとともに、公表しなければならない。
2 教育委員会は、前項の点検及び評価を行うに当たつては、教育に関し学識経験を有する者の知見の活用を図るものとする。

教育委員会は毎年度『点検評価報告書』を作成・報告しなければなりません。
公表された『点検評価報告書』は、前年度(令和6年度)の教育行政の各事業について、教育委員会自らが評価し、それについて「教育に関し学識経験を有する者の知見の活用を図る」とされています。

🔸「第三者評価者からの意見・提言」とされていますが…
では、教育委員会が「第三者評価者」としている方は誰なのでしょうか。
『点検評価報告書』には、以下の3名の方のお名前が掲載されています。

特徴的なのは、「元校長」がこの中に入っていることです。
「元校長」の肩書の方が「第三者」として入ると、どういう「意見・提言」になるのかについては、今記事の後半で実際の「意見・提言」を示したうえで検証していきます。

🔸17年連続で「元校長」が第三者評価者に
では、『点検評価報告書』の第三者評価者として「元校長」が入ったのは、いつ頃からなのでしょうか?
市HP(教育委員会のページ)には、H20年度(=H19年度の事業の評価)以降、現在までの『点検評価報告書』が掲載されています。
それによれば、H20年度は弁護士と大学教授の2名が第三者評価者でした。
その後の(H21年度から現在までの)17年間にわたって、すべての年度の『点検評価報告書』で「元校長」が第三者評価者として入っているのです(実数は5名)。

🔸元教育委員=「元校長」が「第三者評価者」に???
次に、「元教育委員が元校長の肩書で『点検評価報告書』の中で意見・提言をすること」について見ていきます。

「教育に関し学識経験を有する者」は、『点検評価報告書』において第三者の視点から前年度の教育施策について意見や提言を述べることになっています。
一方、市HP(教育委員会のページ)に掲載されている「教育委員会のあらましによれば、「教育委員会」とは「教育長と教育委員の合議体(=教育施策を決定したり執行する側)であると説明されています。

すなわち、教育委員は、自ら執行する側だった年度の教育施策について、第三者の立場から意見を述べたり提言することはできないのはあたりまえのことなのです。

しかし、その「まさか」という事態が、2017年に上尾市教育委員会で起きているのです。

資料に基づき、事実関係を検証してみましょう。

まず、平成29年度の『点検評価報告書』の第三者評価者は以下のとおりです。
(=平成28年度の教育施策についての意見・提言をおこないます

 

次は、平成28年度の『点検評価報告書』の冒頭部分です。

この資料に掲載されている「元校長」の方は、平成28年9月30日まで教育委員でしたが、平成29年度の『点検評価報告書』では「第三者評価者」になっているのです
これは、どう考えてもおかしな話です。

自らが教育委員として決定・執行した教育施策について、翌年度になってから今度は「第三者評価者」として意見を述べたり提言できるものでしょうか? 否、絶対にできないはずです。

ですが、残念なことに、それがまかり通ってしまうのが、上尾市教育委員会なのです。
例示した「元校長」は、教育委員会から「第三者評価者をお願いしたい」と話があったとしても、「自分は教育委員だったので、第三者評価者にはなれない」と断るべきでした
しかしながら、実際には、以後3年間にわたって「第三者評価者」として意見・提言を述べているのです。教育委員会も狡猾で(というより、後ろめたさがあったのか)、「元教育委員」ではなく「元校長」の肩書を使っています。

🔸「元校長」は「第三者評価者」として何と言っているのでしょうか
では、今回公表されたばかりの『令和7年度 上尾市教育委員会の事務に関する点検評価報告書(令和6年度事業対象)』の中で、「元校長」はどのような意見・提言を述べているのでしょうか。ひとつだけ、具体的な例を挙げてみましょう。

今回の『点検評価報告書』に掲載されている
目標Ⅴ  多様なニーズに対応した教育の推進(『H7 点検評価報告書』P41~P54) は、

施策1 特別支援教育の推進
施策2 学校教育相談の充実
施策3 就学支援の充実
施策4 グローバル化に対応する教育の推進

に分かれており、それぞれ教育委員会自らの評価がされ、最後に「第三者評価者からの意見・提言」が掲載されています。

この項目(「目標Ⅴ  多様なニーズに対応した教育の推進」)についての「元校長」の意見・提言は以下のとおりです。
『点検評価報告書』には誰がどの「意見・提言」を述べているかについては明示されていませんが、読めばすぐに「元校長」が書いたとわかります。


「施策1」から「施策4」までの内、2つの施策しか意見・提言が書かれていません。
しかも、「施策4」と「施策2」とを取り違えています。
ですが、「元校長」が第三者評価者となる「致命的な誤り」は別のところにあります。
それはどういうことでしょうか。

そもそも、『点検評価報告書』に寄せる第三者の意見・提言については、

*客観性
*中立性
*事業の成果や課題の分析
*改善に向けた提言

などが求められます。
つまり、事業に直接関わった人の「体験談」や「主観的感想」ではなく、 データや事実に基づく評価が期待されますが、とりわけ「元校長」の記述(上記枠内)の後段は、それとは真逆な「意見・提言」になっています。

具体的には、次の点が指摘できます。

第三者評価者自身が「団長として引率した経験」を語っている。
これは、第三者というより「事業の当事者」としての感想です。

*評価の根拠が「涙を見た」「目的達成を確認できた」という主観的感想。
→ 感情的な場面の描写は、評価としての客観性に欠けます

*「各校4名派遣が理想的」と、予算増を前提とした希望を語っている
→ これは、政策提案というより、個人的願望に近い表現です。

しかも、中学生海外派遣についての事業費の予算 21,084千円が 23,380千円 に増加していることについて、「第三者評価」では何らの言及もありません
また、市内の中学3年生 1,794名中22名の参加者で、生徒1人あたり100万円以上の公費が投じられているという、極めて選別的な予算の使い方がされていることには、まったく言及していないのです。

この例からも、「元校長が『点検評価報告書』の第三者評価者になる」ことが、いかにおかしなことであるかは明らかです。
来年度については、「元校長」ではない方が第三者評価者になることを望むものです。

🔸「いじめ問題調査委員会」委員の選任で学習したはずでは?
当ブログNo.382記事でお伝えした、R4年に起きた「いじめ問題重大事態」の問題について昨年12/25に開催された市議会全員協議会の席上、議員から
「いじめ問題調査委員会に、第三者とは言えない委員がいた、の意味は?」
と問われた総務課長は
「校長OBが入っていたから(第三者とは言えない)」と答弁しています。 さらに、
「今後は第三者委員会になどに、こういった学校関連のOBであるとか、関係者を入れないということでよろしいか?」
との質問に、指導課長は
「第三者委員会にはOBは入れない」
と明確に答弁しています。

教育委員会は、「元校長」が入っていた「いじめ問題調査委員会」の報告が「ダメ出し」された経験を踏まえ、『点検評価報告書』においても、「元校長」が「意見・提言」するのにふさわしいのか否かを考えるべきです。

少し考えればわかることですが、基本的に「元校長」の発言は「学校寄り・教育委員会寄り」になるのは当然です。
それは、《小・中学校の校長・教頭(候補者を含む)であった者が、19名(R7年度)も市の教育委員会事務局の職員(指導主事や部課長)となっている》という事実と無縁ではありません。

もともとは学校に勤務していた(=県費採用)教員は、教育委員会事務局の職員となったあと、最終的には学校に戻ります。これは、「採用したところ(=県)が退職金を払う」という不文律があるためです。
ですから、校長や教頭(候補者を含む)は、いつ教育委員会の事務局職員となるかがわからないため、おのずと教育委員会の批判はしなくなります(できません)。
一方で、教育委員会事務局の職員となった者は、いつ自分が学校に戻るかわからないため、「自分で自分の首を絞める」ようなこと(校長・教頭への「指導」など)は控えめになるでしょう。こうした、いわば悪しき慣習が身についているのが今の教育委員会であるとも言えるのです。
こうした現状を改善するためには、現行の人事体制を変える必要がありますが、実際にはハードルが高いかもしれません。ですが、当面、当ブログでお伝えしているような現状を市民が共有していくことが必要ではないでしょうか。

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