「教育委員会定例会の審議を市民に傍聴させない」理由は何ですか?
去る1/29の教育委員会1月定例会で、傍聴していた市民は司会の西倉教育長から「(議案審議を非公開とするので)退室するように」と言われました。また、これについて「ちょっと待ってください。この議案については市民に傍聴していただいても良いのでは?」などと異議を唱える教育委員は一人もいませんでした。
ところが、教委定例会の直後に開かれた総合教育会議では、明らかにこの議案の中身と思われるものが、学校教育部長から説明されているのです。つまり、教委定例会を非公開審議にした意味は無いことになります。
総合教育会議に出席していた教育長や教育委員、説明役の学校教育部長や教委事務局職員が陥った「自己矛盾」を含めて、「教育委員会定例会の審議を市民に傍聴させなかった」教育委員会に、市民を退室させて非公開審議とした正当な理由はあるのでしょうか。
今記事では、このことについてお伝えします。長目の記事になりますが、資料も含めてじっくりとお読みください。
No.386
🔸「非公開とする理由が無いのでは?」と思われる議案とは
教育委員会の定例会・臨時会については、以前から「傍聴人に退室を求める」「最初から非公開を前提としている」審議は数多くあります。その中には、「個人名が特定される」あるいは「公表前の人事案件」などの理由で「非公開の会議」とされるケースもあります。
私(当ブログ館主)は、それらの議案も公開せよ、と言っているわけではありません。
今回、私が「公開しても問題無いのでは?」と考えているのは、1月の教育委員会定例会で審議された次の議案(とりわけ議案第1号)です。

私はこの議案が出された1月定例会を傍聴していましたが、司会進行役の教育長は、小さな声で「議案第1号・2号は…議会に提出するため…(ゴニョゴニョ)…非公開の審議といたします」と言っていたようです。何とかわかったのは、「市議会に提出するので非公開の審議とする(つまり、傍聴人は退出しなさい)」ということでした。
以下、傍聴人が退席を余儀なくされた「議案第1号」について検証していきます。
🔸条例のどこをどう変えようとしているでしょうか
「市議会に出すから」といって非公開の審議とされた「上尾市いじめ問題対策連絡協議会等の設置に関する条例の一部を改正する条例」とは、どの部分を変えるのでしょうか。
この条例は、以下の3つの協議会や委員会について、設置の目的等が示されています。
整理してみましょう。
| 協議会・委員会の名称 | 設置者 | 目的・実態 |
| 上尾市いじめ問題対策連絡協議会 | 教育委員会 | 委員20人。市教委の方針等を確認する組織。 個別の事案を調査するわけではない。 |
| 上尾市いじめ問題調査委員会 | 教育委員会 | 重大事態について上尾市立の小学校又は中学校における調査が困難な場合に、当該重大事態について調査を行う。※実際に機能したのは1回 |
| 上尾市いじめ問題再調査委員会 | 市長 | 市長の諮問に応じ、上記調査委員会による調査の結果について必要な調査を行うものとする。 =調査委員会が「ダメ出し」された場合に再調査をする。※実際に発足したのは1回。 |
上記の協議会・委員会の中で、教育委員会が「何とかしたい」と考えているのは、2番目の「いじめ問題調査委員会」だと思われます。
なぜなら、先日大きく新聞報道もされた「いじめ重大事態」が要因となっているのは明らかだからです。
この「重大事態」については、学校における調査が困難な場合にもかかわらず、市の条例に定められている第三者機関である「調査委員会」に調査を任せませんでした。
その代わりに、「自分たち指導主事たちだけが調査主体となる(=教育委員会方式)」で調査をしたものの、被害者の保護者からは全く信用されずに「行き詰まり」状態に陥っているのは新聞報道のとおりです(詳しくは、No.383記事をごらんください)。
教育委員会は、この「自己矛盾」を何とかしたいと考えたのでしょうか?
教育委員会1月定例会では「非公開の審議」とされてしまったことから、「条例をどう変えようとしているのか」については、傍聴する市民には正確にはわかりません。
ただし、同じ日、教育委員会定例会終了後すぐに開催された「総合教育会議」で、この条例の一部を改正する中身がどのようなものであるか市長に伝えられたのです。
🔸「総合教育会議」では「非公開の中身」が語られています
1月の定例会の終了後すぐに市役所内の別の部屋で開かれた「総合教育会議」とは、市長が主宰するものであり、法律(地教行法)によって開催が義務づけられています。
定例会で「傍聴人は退室を」と言われた私は、この会議も傍聴しました。
会議の次第は次のとおりですが、終了まで「非公開の会議」とはなりませんでした。
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会議の議題の(2)は、「いじめ問題再調査委員会の提言を受けた再発防止策について」となっています。この中で、学校教育部長は次の資料を示しています。

上の資料の右側部分を拡大してみましょう。

【今後の取組】と題された文言には、
「調査委員会(=いじめ問題調査委員会のこと)の所掌事務に関する内容の一部改正」
とあります。
また、その中身の説明として、次の文言があります。
「重大事態の発生時に加えて、定期の調査委員会を開催し、いじめの防止等のための対策を実効的に行うことができる体制を構築する」
つまり、教育委員会定例会で傍聴人に対して退席をさせた「議案1号」の中身を「総合教育会議(=傍聴可)」の席上で説明しているのです。これでは、定例会で傍聴人を退席させて「非公開の審議」にした意味はまったくありません。
🔸「教委が過剰に反応して審議を非公開にする」という問題
まず、検証する必要があるのは、「どういう時に教育委員会の会議を非公開とする(すなわち、傍聴人を退席させる)のか」です。
実は、このことについては、以前から問題になっていました。それは、教育委員会が「過剰に反応して」公開しても問題無い審議についても「非公開の会議」としてきたからです。
この問題は、『審議会等の会議の公開に関する指針』を確認する必要があります。
| 審議会等の会議の公開に関する指針 |
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1 目的
この指針は、審議会等の会議を公開することにより、その審議の状況を市民に明らかにし、審議会等の運営の透明性、公正性を確保するとともに、市政に対する市民の理解と信頼を深め、もって開かれた市政の推進に寄与することを目的とする。
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2 定義
この指針において「審議会等」とは、地方自治法第138条の4第3項の規定に基づき設置された附属機関及び規則、要綱等に基づき設置された委員会、協議会等をいう。(注:教育委員会を含みます)
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3 会議の公開
審議会等の会議は、次に掲げる場合を除き、公開するものとする。
(1) 当該会議において上尾市情報公開条例第7条第1号から第7号までの規定に該当する情報に関し審議する場合
(2) 当該会議を公開することにより、公正かつ円滑な審議が著しく阻害され、会議の目的が達成されないと認められる場合
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4 公開又は非公開の決定
審議会等の会議の公開又は非公開の決定は、審議会等の長が当該審議会等に諮って行うものとする。
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5 会議開催の事前公表
審議会等は、会議を開催するに当たっては、当該会議を開催する日の1週間前までに(注:教育委員会はなぜか5日前までにとしています)次の事項を記載した会議開催のお知らせを情報公開コーナー、支所及び出張所において公表するとともに、市のホームページに掲載するものとする。ただし、会議を緊急に開催する必要が生じたときは、この限りでない。
(1) 会議名
(2) 開催日時
(3) 開催場所
(4) 会議の議題
(5) 公開・非公開の別
(6) 傍聴の定員(会議を公開する場合)
(7) 傍聴の手続(会議を公開する場合)
(8) 非公開の理由(会議を非公開とする場合)
(9) 問い合わせ先
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6 公開の方法等
(1) 審議会等の会議の公開は、会場に傍聴席を設け、希望する者に傍聴を認めることにより行うものとする。
(2) 審議会等は、会議を公開するに当たっては、会議が公正かつ円滑に行われるよう傍聴に係る遵守事項を定め、会議開催中における会場の秩序維持に努めるものとする。
(3) 審議会等は、傍聴者に対し会議資料(非公開情報が記載されているものを除く。)の配布又は閲覧に努めるものとする。
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7 会議録の作成
審議会等は、上尾市会議録作成要領により会議録を作成するものとする。
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8 会議録及び会議資料の公開
審議会等が公開した会議の会議録及び会議資料は、情報公開コーナーに備え付け、一般の閲覧に供するものとする。
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9 運用状況の公表について
市長は、審議会等の会議の公開の運用状況について、年1回公表するものとする。
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この「教育委員会の会議の公開・非公開の基準について」は、教育委員会定例会でも説明がされています(2020年4月)。その時の「報告事項」を見てみましょう。
当時の説明者は池田教育総務課長でした。注目すべきは、下線部です。
たとえば、市議会に提出する案件であることをもって、非公開とするものでないということにご留意ください。
と明確に説明されています。また、教育委員からは次の質問がありました。

教育委員(教育長職務代理者)の「公開・非公開の基準を変更したのか」との質問に対し、教育総務課長は
「市民の方から会議公開・非公開の根拠について間違えた発言があったという指摘を受け(あらためて全事務局職員に周知した)」
と述べています。
ここで教育総務課長が言及している「市民の方」とは、私のことでしょう。
私は、この件について情報公開請求等を通じて次のような指摘をしてきました。
| 市議会での学校教育部長並びに教育長による答弁(=会議の公開・非公開は<審議会等の会議の公開に関する指針>による、という答弁を指します)以降、教育委員会会議を非公開とすることについて、公には新たな見解や謝罪等は示されていません。 にもかかわらず、請求人が再三再四指摘しているとおり、市教委教育総務課職員は「教育委員会の会議は<審議会等の会議の公開に関する指針>の適用を受けない」「会議の非公開については地教行法逐条解説に基づいている」と述べており、その解釈がいつ変更されたのかさえ明らかにしようとしません。 |
以前からこのような経緯があるにもかかわらず、今記事で見てきたように、「審議を公開するか否か」の判断は、教育委員会の「さじ加減」で決まっているのです。
🔸教育委員会は「審議非公開」の正当性を説明する義務があります
今記事では、1月の教育委員会席上で市民を退席させて「非公開の議案審議」としたものの、すぐ直後に開かれた総合教育会議(傍聴可)においてその議案の中身が説明されていることの矛盾を指摘しました。
はたして、総合教育会議に出席していた教育長や教育委員、説明役の学校教育部長や教委事務局職員は「自己矛盾に陥っていること」に気づいているでしょうか。
すでに述べたとおり、6年前の教育委員会定例会では、「市議会に提出する案件であることをもって、非公開とするものではないということにご留意ください」と説明されています。
どうやら、定例会に出席していた教育委員会関係者は、その事実を「わかっていない」ように思われます。
2020年4月に上記の説明がされた当時と現在では、教育長・教育委員の中で現在残っているのは小池智司教育委員(教育長職務代理者)だけです。
あとの方は、全員入れ替わっていますので、「会議の公開・非公開」についての基本知識は、当時の教育総務課長(現教育総務部次長)などから当然伝えられるべきです。
当ブログでは、この問題についてさらに深掘りしていきます。
